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天白橋の内視鏡ブログ

そもそも便秘って何ですか?説明できますか?

内科  / 大腸カメラ

便秘。たかが便秘。されど便秘。

お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
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「3日以上排便がない状態が続いたら便秘」と思っていませんか?

実は、毎日排便があっても便秘の可能性があります。便秘の基準は排便回数だけでなく、便の状態や排便時の感覚も重要です。

便秘を放置すると、お腹の張りや痛みだけでなく、肌荒れや口臭、さらには吐き気や頭痛といった症状に繋がることも。

もしかしたら、あなたのその不調、便秘が原因かもしれません。 自身の便秘の状態を知り、適切な改善策を講じましょう。

便秘の定義と基準を知ろう

「最近、なんだかお腹の調子が悪いなぁ」「トイレに行く回数が減ったかも…」と感じているあなた。もしかしたら、それは便秘のサインかもしれません。便秘は、放っておくと様々な体の不調につながる可能性もあるため、 earlycare が大切です。ここでは、便秘の定義や基準、そして便秘が体に及ぼす影響について、具体的に解説していきます。

便秘の基準は排便回数だけではない?

便秘とは、「3日以上排便がない状態」と思っていませんか?

確かに、一般的には、3日以上排便がない状態が続くと便秘と定義されることが多いです。しかし実際には、排便の回数は個人差が大きく、毎日排便がなくても、お腹の調子が良ければ、必ずしも便秘とは言えません。毎日決まった時間に排便がある人もいれば、2〜3日に1回という人もいます。

便秘の診断基準として、一般的には以下の様な点が参考にされます。

基準 説明
排便回数 週に3回未満の排便
便の形状(ブリストル便形状スケール) 1~2型(コロコロとした硬い便、ウサギのフンのような便)が続く
排便に際して苦しいと感じる 排便時に強くいきまないと出ない、時間がかかってしまうなど
その他の症状 残便感(排便後もまだ便が残っている感じ)、お腹の張り、食欲不振、吐き気など

毎日排便がなくても、これらの項目に当てはまらなければ、あまり心配する必要はありません。しかし、これらの項目に複数当てはまる場合や、便秘によって日常生活に支障が出ている場合は、便秘の可能性があります。

例えば、週に2回しか排便がない人がいたとします。この場合、回数だけ見ると便秘と診断される可能性があります。しかし、排便時に苦痛がなく、便の状態も正常であれば、便秘と診断されることは少ないでしょう。

反対に、毎日排便がある人でも、排便に時間がかかったり、残便感があったりする場合は、便秘の可能性があります。

重要なのは、排便回数だけでなく、便の状態や排便時の感覚も考慮することです。

あなたはどのタイプ?便秘の種類と原因

便秘には、大きく分けて二つの種類があります。

  1. 機能性便秘: 腸自体に異常がないのに、腸の動きが悪くなったり、排便に必要な筋肉がうまく働かなかったりすることで起こる便秘です。
  2. 器質的便秘: 大腸がんや腸閉塞など、腸に病気があって起こる便秘です。

機能性便秘はさらに、下記の3つのタイプに分類されます。

タイプ 説明
大腸通過遅延型 腸の動きが全体的に遅く、便がなかなか肛門まで届かないタイプです。
排便機能不全型 腸の動きは正常ですが、排便に必要な筋肉がうまく働かず、便意を感じにくい、いきんでも便が出にくいタイプです。
機能性便排出障害 大腸通過遅延型と排便機能不全型の両方の特徴を持つタイプです。

便秘の原因は様々ですが、食生活の乱れ、運動不足、ストレス、睡眠不足、女性ホルモンの影響などが考えられます。

例えば、食生活の乱れによって食物繊維の摂取量が不足すると、便の量が減り、腸の動きが鈍くなるため、便秘になりやすくなります。また、水分摂取量が不足すると、便が硬くなり、排便が困難になるため、便秘が悪化しやすくなります。

ストレスや睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、腸の動きを悪くするため、便秘の原因となります。

加齢に伴い、腸の動きが鈍くなることも便秘の原因の一つです。また、服用している薬が原因で便秘になることもあります。例えば、痛み止めや胃薬の中には、便秘を引き起こす副作用を持つものがあります。

便秘がもたらす体のサイン:よくある症状

便秘になると、お腹の張りや痛み、残便感といった症状が現れます。また、便秘によって腸内にガスが溜まりやすくなり、お腹がゴロゴロ鳴ったり、おならが出やすくなったりすることもあります。さらに、便秘が続くと、肌荒れや口臭、食欲不振、吐き気、頭痛、イライラしやすくなる、集中力の低下などの症状が現れることもあります。

便秘によって腸内環境が悪化すると、様々な体の不調につながると考えられています。例えば、腸内環境の悪化は、免疫力の低下やアレルギー症状の悪化、肌荒れ、精神不安定などにも影響を与える可能性があります。

便秘は、適切な治療を行うことで改善できる場合がほとんどです。日頃から、生活習慣に気を配り、便秘を予防することが大切です。

便秘を改善するためのセルフケア

便秘は、放っておくと様々な体の不調につながる可能性もあり、早期のケアが大切です。日頃から生活習慣に気を配り、便秘を予防する、あるいは軽度のうちに改善できるよう努めましょう。ここではセルフケアの方法として、食事、運動、生活習慣について解説します。

食生活の改善:便秘に効果的な食事とは?

便秘の改善には、食物繊維を積極的に摂ることが重要です。食物繊維は、人間の消化酵素では分解されない食品成分で、便のかさを増やしたり、腸の動きを活発にしたりする効果があります。便の通過を促し、排便をスムーズにするため、便秘の改善に効果が期待できます。食物繊維が不足すると、便の量が減り、硬くなってしまうため、便秘になりやすくなるのです。

食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれ異なる働きをします。

  • 水溶性食物繊維: 腸内で水分を吸収してゲル状になり、便をやわらかくする効果があります。また、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果も期待できます。水溶性食物繊維を多く含む食品としては、果物(バナナ、りんご、みかんなど)、海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)、野菜(オクラ、納豆、なめこなど)などが挙げられます。
  • 不溶性食物繊維: 腸内で水分を吸収して膨らみ、便の量を増やして腸の動きを活発にする効果があります。不溶性食物繊維を多く含む食品としては、根菜類(ごぼう、れんこん、さつまいもなど)、きのこ類(しいたけ、えのき、ぶなしめじなど)、豆類(大豆、あずき、ひよこ豆など)などが挙げられます。

これらの食物繊維をバランス良く摂るように心がけましょう。野菜は1日350g以上、そのうち1/3は緑黄色野菜を食べるようにすると、十分な量の食物繊維を摂取することができます。

食事のポイント

  • ご飯は白米だけでなく、玄米や雑穀米を混ぜると食物繊維をプラスできます。食物繊維が豊富な上、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれています。
  • 果物は皮ごと食べることを意識しましょう。皮の部分には、果肉よりも多くの食物繊維が含まれていることが多いです。
  • 海藻類は味噌汁やスープなどの汁物に、きのこ類は炒め物や煮物に使うと良いでしょう。汁物に海藻類を加えることで、手軽に食物繊維を摂取することができます。きのこ類は、加熱しても食物繊維が壊れにくいという特徴があります。
  • 豆類はサラダやご飯に混ぜたり、豆腐や納豆などの加工食品もおすすめです。豆類は、植物性たんぱく質も豊富なので、健康的な食生活にも役立ちます。

水分補給も忘れずに!

水分不足になると便が硬くなり、便秘が悪化しやすくなります。食事で十分な食物繊維を摂取していても、水分が不足すると便が硬くなってしまい、便秘の解消につながらないことがあります。こまめな水分補給を心がけましょう。特に朝起きたときは、腸の動きを活発にするためにコップ1杯の水を飲むのがおすすめです。

運動不足解消:便秘解消に効果的な運動

運動不足は腸の動きを低下させ、便秘の原因となります。適度な運動は腸の蠕動運動を促進し、便通を改善する効果があります。激しい運動である必要はありません。日常生活の中で、無理なく続けられる運動を見つけましょう。

おすすめの運動

  • ウォーキング: 軽い負荷で、気軽に始められる運動です。1日30分程度を目安に、毎日続けるようにしましょう。
  • 軽いジョギング: ウォーキングよりも運動強度を高めたい場合におすすめです。
  • ストレッチ: 身体を動かす機会が少ない人でも、簡単に取り入れられます。朝起きたときや寝る前に、全身をゆっくりと伸ばすストレッチを行いましょう。
  • ヨガ: 呼吸とともに行うポーズは、リラックス効果だけでなく、腸の動きを活発にする効果も期待できます。便秘解消に効果的なヨガのポーズもありますので、試してみましょう。
  • 腹筋運動: 腹筋を鍛えることで、腸の動きを活発にする効果が期待できます。

これらの運動を、無理のない範囲で毎日続けるように心がけましょう。毎日運動することで、腸の動きが活発になり、便秘の予防・改善に効果が期待できます。

生活習慣の見直し:規則正しい生活で便秘改善

便秘の改善には、規則正しい生活習慣を身につけることも大切です。睡眠不足や不規則な食生活、ストレスなどは、自律神経のバランスを崩し、腸の動きを悪くする原因となります。

規則正しい生活習慣を心がけましょう

  • 睡眠: 毎日、十分な睡眠をとりましょう。睡眠時間は個人差がありますが、7~8時間を目安にすると良いでしょう。睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、腸の動きを悪くする原因となります。
  • 食事: 朝食は必ず食べるようにし、3食規則正しく食べましょう。また、食事はゆっくりとよく噛んで食べることが大切です。朝食を抜くと、体内時計のリズムが乱れ、便秘の原因になることがあります。
  • 排便: 便意を感じたら我慢せずに、トイレに行きましょう。便意を我慢し続けると、便が腸内に留まり、水分が吸収されて硬くなってしまいます。
  • ストレス: ストレスをため込まないように、適度に発散しましょう。趣味の時間を楽しんだり、リラックスできる音楽を聴いたり、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。ストレスは、自律神経のバランスを崩し、腸の動きを悪くする原因となります。

これらの生活習慣を改善することで、自律神経のバランスが整い、腸の働きが活発になり、便秘の改善に繋がります。機能性便秘の治療において、非薬物療法は有効な選択肢となりえます。2022年に発表された系統的レビューとメタ分析では、食事療法、排便訓練、行動療法を組み合わせた非薬物療法が、機能性便秘の子供の排便回数と便の硬さを改善するのに有効であることが示されました。

天白橋内科内視鏡クリニックでの便秘治療

「便秘かな?」と思ったら、我慢せずに、お気軽にご相談ください。便秘の症状や程度は人それぞれです。天白橋内科内視鏡クリニックでは、患者様一人ひとりの症状や原因、生活習慣に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。

専門医による適切な診断と検査

便秘の原因は、生活習慣の乱れやストレス、持病の有無など、実にさまざまです。便秘の治療法を検討するためには、まずはその原因を特定することが重要になります。

問診では、いつから便秘に悩んでいるのか、どれくらいの頻度で排便があるのか、便の形状や量、排便時の痛みはあるか、残便感はあるか、市販薬の使用経験はあるか、などを詳しく伺います。

身体診察では、お腹を押して、腸の動きや硬さ、痛む場所などを確認します。血液検査では、貧血や甲状腺機能などを調べます。大腸カメラなどの画像検査では、腸の内部の状態を直接観察し、ポリープや腫瘍などの病気が隠れていないかを確認します。

例えば、便秘で悩んでいる患者さんを診察した際、問診で毎日の食生活について詳しく伺うと、食物繊維や水分が不足していることが判明することがあります。また、腹部を触診した際に、腸の動きが低下していたり、特定の部位に痛みを感じたりすることがあります。さらに、大腸カメラ検査を行うことで、腸の動きが悪くなっている部分や、腸の壁が厚くなっている部分が見つかることもあります。

これらの検査結果に基づいて、便秘の原因を特定し、患者様一人ひとりに最適な治療法を検討していきます。

あなたに合った治療法の選択

便秘の治療法は、原因や症状、生活習慣などによって異なります。天白橋内科内視鏡クリニックでは、患者様一人ひとりの状況を考慮した上で、最適な治療法を提案させていただきます。

例えば、食生活の改善指導、運動療法の指導、薬物療法などがあります。

食生活の改善では、食物繊維を豊富に含む食品、例えば野菜、海藻、きのこなどを積極的に摂るように指導します。また水分摂取が少ない方には、こまめな水分補給も推奨しています。

運動療法では、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、日常生活に取り入れやすい運動を提案します。運動不足は腸の動きを低下させる要因の一つとなるため、適度な運動は便秘の改善に効果が期待できます。

薬物療法では、便を柔らかくする薬や腸の動きを活発にする薬などを処方します。便秘の症状が重い場合や、他の治療法で効果が不十分な場合に検討します。薬の種類や服用方法、服用期間などは、患者様の年齢や症状、治療への反応性を考慮しながら慎重に決定します。2022年に発表された系統的レビューとメタ分析では、食事療法、排便訓練、行動療法を組み合わせた非薬物療法が、機能性便秘の子供の排便回数と便の硬さを改善するのに有効であることが示されました。

このように、天白橋内科内視鏡クリニックでは、患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療法を提案いたします。

便秘薬の種類と効果、注意点

便秘薬には、便を柔らかくする薬、腸の動きを活発にする薬など、さまざまな種類があります。効果や作用機序、副作用などが異なるため、自己判断で服用するのではなく、必ず医師の指示に従って服用するようにしましょう。

例えば、酸化マグネシウムなどの薬は、腸内で水分を吸収し便を柔らかくすることで、排便を促します。一方、センナや大黄などの生薬製剤は、腸の蠕動運動を促進することで、排便を促します。また、近年では、腸内細菌のバランスを整えることで、便秘を改善する効果が期待される薬も登場しています。

便秘薬は、適切に使用すれば便秘の症状を改善する効果がありますが、自己判断で使用すると、副作用が出たり、症状が悪化したりする可能性があります。便秘薬の使用を検討する際は、自己判断せず、必ず医師に相談するようにしてください。

まとめ

便秘は、排便回数だけでなく、便の形状や排便時の感覚も考慮して判断する必要がある。便秘には、腸自体に異常がない機能性便秘と、大腸がんなど腸に病気がある器質的便秘の二つがある。便秘を改善するには、食物繊維の摂取、水分補給、適度な運動、規則正しい生活習慣が大切だ。便秘が改善しない場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしよう。

 

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。




令和6年10月5日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

参考文献

  • Wegh CAM, Baaleman DF, Tabbers MM, Smidt H, Benninga MA. Nonpharmacologic Treatment for Children with Functional Constipation: A Systematic Review and Meta-analysis. The Journal of pediatrics 240, no. (2022): 136-149.e5.

追加情報

[title]: Nonpharmacologic Treatment for Children with Functional Constipation: A Systematic Review and Meta-analysis.,

機能性便秘児に対する非薬物療法:系統的レビューとメタ分析

【要約】

  • 本研究は、機能性便秘児に対する非薬物療法の有効性を評価するために、系統的レビューとメタ分析を実施した。

  • 研究では、PubMed、Embase、Cochrane Library、およびClinicalTrials.govから2017年までのデータを収集した。

  • 10件の研究(合計1,402人の参加者)が本メタ分析に含まれた。

  • 結果は、非薬物療法が機能性便秘児の便通回数と便の硬さを改善するのに有効であることを示した。

  • 非薬物療法の効果は、食事療法、排便訓練、および行動療法を組み合わせた場合に最も高かった。

  • 本研究は、非薬物療法が機能性便秘児の治療のための効果的な選択肢であることを示唆している。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34536492,

[quote_source]: Wegh CAM, Baaleman DF, Tabbers MM, Smidt H and Benninga MA. "Nonpharmacologic Treatment for Children with Functional Constipation: A Systematic Review and Meta-analysis." The Journal of pediatrics 240, no. (2022): 136-149.e5.