はじめに
骨粗鬆症は、遺伝や生活習慣、年齢や閉経をはじめとする多くの原因からなる病気です。
60歳代では5人に1人、70歳代では3人に1人、80歳代では2人に1人が骨粗鬆症であると言われています。
骨粗鬆症では骨が脆くなり、骨折をしやすくなります。誰にでもなる可能性があり、生涯に渡って注意が必要な病気です。
骨粗鬆症による代表的な骨折
- 太ももの付け根の骨折
- 背骨の骨折
- 肩の骨折
- 手首の骨折
例えば、太ももの付け根を骨折することで、36%の患者が元通りに歩けなくなります。また、この骨折が認知症の発症や死亡率を高めることが分かってきています。
さらに、一度骨折をしてしまうと、寝たきりや要介護状態になり、家族へ負担をかけてしまうことがあります。
例えば、骨折で介護が必要になり5年間暮らした場合の自己負担額は1,540万円にのぼるとも言われています。また、骨折患者の介護者の68%が退職や転職を余儀なくされています。
骨粗鬆症の検査について
骨粗鬆症の治療を検討するにあたり、いくつかの検査が必要です。
1. 骨密度の測定
骨の状態を知るために骨密度の測定を行います。
最も精度が高いDEXA(デキサ)法と呼ばれる測定方法では、X線を用いてレントゲン写真を撮るように骨密度を測定することができます。
通常のレントゲン撮影よりも被曝量は少なく、定期的な測定が推奨されています。
負担割合 | 検査費用 |
---|---|
1割負担 | 450円 |
2割負担 | 900円 |
3割負担 | 1,350円 |
2. 血液検査
カルシウムやビタミンの値、腎臓の値などを知るために血液検査を適宜行います。
3. 骨代謝マーカーの測定
体の中では、骨吸収と骨形成からなるサイクルによって常に骨が作り替えられています。
そのバランスを知るために、血液検査や尿検査で骨代謝マーカーを調べることがあります。
4. 背骨のレントゲン撮影
骨が脆くなってくると背骨に、自覚のない「いつのまにか骨折」が発生していることがあります。
発生していないかを確認するために、背骨のレントゲン撮影を行うことがあります。
骨粗鬆症の治療について
食事や運動だけでは十分な治療にならない場合も多々あり、重症度やその他のリスク因子に応じてお薬による治療を開始する必要があります。
問診事項や検査結果を総合して、「治療を開始するか?」「どのような治療を選択するか?」をお医者さんと相談しながら決めていきます。
治療方法の選択
骨粗鬆症を治療するお薬には、飲み薬や注射などいくつかの種類があり、効果は薬によって異なります。
飲み薬も多くありますが、定期的に飲むことが出来ない方や、より高い効果を期待する場合に注射薬を用いる場合があります。
重症度に応じた治療
例えば、より重症度の高い骨粗鬆症には、新しい骨を作ることを促すお薬を選びますが、これには飲み薬は無く、注射薬しかありません。
骨折をしないための骨づくりを、主治医の先生とご相談のうえ、今日から始めていきましょう。
治療継続の重要性
治療によって一旦骨密度が改善しても、治療を止めるとすぐに骨密度が下がってきてしまう場合があります。
定期的に骨密度を測定し、生涯に渡って治療を継続していく必要があります。
骨粗鬆症をいち早く発見し治療を開始するために、骨粗鬆症のリスクが高い方は是非、一度骨密度検査を受けてみてください。
監修
株式会社Curelity
告野英利 (Hidetoshi Tsugeno)
共同創業者 代表取締役CEO
プロフィール
2018年 浜松医科大学医学部卒、整形外科専門医、名古屋大学大学院医学系研究科客員研究員。
名古屋大学関連病院勤務ののち、2024年 株式会社Curelityを創業し、代表取締役として「骨粗しょう症診療支援事業」に取り組む。