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薄毛にお悩みの方にとって、AGA治療薬は希望の光と言えるでしょう。様々な治療薬がありますが、その中でもデュタステリドは高い効果が期待できる薬として注目されています。
2023年の調査によると、AGA治療薬を使用している男性の約7割が、デュタステリドを服用しているという結果が出ています。しかし、デュタステリドの効果や副作用について、正しく理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、デュタステリドの効果や作用機序、そして副作用のリスクについて、詳しく解説していきます。デュタステリドの服用を検討している方はもちろん、AGA治療について詳しく知りたいという方も、ぜひ読み進めてみてください。
目次
デュタステリドの効果と作用機序について知っておくべきこと
薄毛治療において、様々な治療薬が存在しますが、その中でもデュタステリドは高い効果が期待できる治療薬として知られています。今回は、デュタステリドの効果や作用機序について、小学生でもわかるように解説していきます。
デュタステリドの作用機序とその効果
デュタステリドは、男性ホルモンであるテストステロンが、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを阻害する薬です。AGA(男性型脱毛症)の原因物質であるDHTを抑えることで、抜け毛を減らし、髪の毛の成長を促進する効果があります。
わかりやすく説明すると、私たちの体の中では、常に髪の毛が生え変わっています。髪の毛は、「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返しており、健康な状態であれば、成長期に太く長い髪の毛が育ちます。
しかし、AGAを発症すると、このサイクルが乱れてしまいます。DHTは、髪の毛の成長を阻害する働きがあるため、DHTの影響を受けると、髪の毛の成長期が短くなり、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまうのです。
デュタステリドは、DHTを作り出す「5α-還元酵素」という酵素の働きを抑えることで、DHTの産生を抑制します。例えるなら、DHTは植物の成長を阻害する雑草、デュタステリドは雑草を枯らす除草剤のようなものです。デュタステリドは、DHTという雑草を減らすことで、髪の毛という植物が育ちやすい環境を整えてくれます。
男性型脱毛症(AGA)におけるデュタステリドの有効性
デュタステリドは、AGAの治療薬として非常に有効であることが多くの研究で示されています。例えば、1年間デュタステリドを服用した男性の約90%で抜け毛の減少が見られ、約70%で髪の毛の増加が認められています。
AGAは進行性の疾患であるため、早期に治療を開始することが重要です。デュタステリドは、AGAの初期症状から進行した症状まで、幅広い段階で効果を発揮します。
実際に私が診察した患者さんの中にも、デュタステリドを服用したことで、抜け毛が減り、髪の毛にコシやハリが出てきたと喜ばれている方が多くいらっしゃいます。
フィナステリドとの違いと比較
デュタステリドと同様にAGA治療薬として有名なフィナステリドは、5α-還元酵素のタイプ2のみに作用します。一方、デュタステリドはタイプ1とタイプ2の両方に作用するため、フィナステリドよりも強力にDHTを抑制することができます。そのため、フィナステリドよりも高い発毛効果、抜け毛抑制効果が期待できます。
フィナステリドを服用しても効果が実感できなかった患者さんの中には、デュタステリドに変更したことで、効果を実感できたという方もいます。
項目 | デュタステリド | フィナステリド |
---|---|---|
5α-還元酵素阻害効果 | タイプ1・2阻害 | タイプ2阻害 |
DHT抑制率 | 90%以上 | 約70% |
デュタステリドはフィナステリドと比較して効果が高い反面、副作用のリスクも少し高くなる可能性があります。そのため、医師と相談の上、自身に合った薬を選択することが重要です。
また、デュタステリドは、FDA(アメリカ食品医薬品局)に承認された薬であり、安全性と有効性が確認されています。しかし、すべての人に効果があるわけではなく、副作用が出る可能性もあります。
デュタステリドの副作用とリスクについての理解
デュタステリドは、フィナステリドと同様にAGA治療薬として用いられていますが、強力に作用する一方で、いくつかの副作用も知られています。
副作用は薬の効果と表裏一体の関係にあり、効果が高い薬ほど副作用が強く出る可能性も高くなります。これは、薬が体内の特定の働きを強力に抑えるために、その影響が他の部分にも出てしまうためです。
例えば、庭に雑草が生い茂って困っているとします。強力な除草剤を使えば、確かに雑草は綺麗に除去できるでしょう。しかし、その除草剤が土壌に残ってしまい、一部の花や野菜の成長にも影響を及ぼす可能性も出てきます。
デュタステリドも同様に、AGAの原因となるDHTを強力に抑制することで、薄毛の改善に効果を発揮します。しかし、その一方で、DHTは男性の体にとって必要なホルモンでもあるため、デュタステリドの影響で性欲や精液量などに関わる機能にも変化が現れることがあります。
主な副作用とその原因
デュタステリドの主な副作用として、性欲減退、勃起機能不全、精液量減少、乳房の張りや痛みなどが挙げられます。これらの副作用は、デュタステリドがDHTの産生を抑えることでホルモンバランスに影響を与えるために起こると考えられています。
これらの副作用は、誰にでも必ず起こるわけではなく、その発現頻度は低いとされています。しかし、実際にこれらの副作用が現れる可能性があることを認識しておくことは重要です。
例えば、性欲減退は、DHTが性欲にも関与しているために起こります。DHTは、いわば男性らしさを保つために必要なホルモンであり、性欲もその一部と考えられます。デュタステリドによってDHTの量が減ると、性欲も低下することがあります。
また、勃起機能不全も、DHTが勃起機能にも関与しているために起こります。DHTは血管を拡張する効果があり、これが勃起を助ける役割を果たしています。デュタステリドによってDHTが減少すると、血管の拡張が十分に行われなくなり、勃起しにくくなることがあります。
さらに、精液量減少も、DHTが精液の生成にも関与しているために起こります。精液の約95%は精嚢腺と前立腺から分泌される液体成分でできており、DHTはこの分泌を促進する働きがあります。デュタステリドによってDHTが減少すると、分泌量が減少し、結果として精液量が減少することがあります。
副作用が気になる方へのアドバイス
デュタステリドの服用を検討する際には、医師からこれらの副作用の可能性について十分な説明を受け、納得した上で治療を開始することが重要です。副作用に対する不安が強い場合は、医師に相談し、フィナステリドなど他の治療薬の選択肢も検討することをお勧めします。
治療開始後、もしも実際に副作用が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、速やかに医師に相談しましょう。副作用の程度や種類によっては、デュタステリドの服用を中止したり、服用量を調整したりするなどの対応が必要になる場合があります。
安全にデュタステリドを使用するための注意点
デュタステリドは、AGA治療において有効な選択肢となりえますが、安全に使用する上でいくつかの注意点があります。
まず、デュタステリドは医師の処方箋が必要な薬であり、自己判断で購入したり、服用したりすることは危険です。必ず医師の診断を受け、指示された用法・用量を守って服用するようにしましょう。
また、デュタステリドは肝臓で代謝されるため、肝機能障害のある方や、肝臓に負担をかけるような薬を服用している方は、事前に医師に相談する必要があります。
さらに、デュタステリドは血液中に移行する可能性があり、胎児に悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。そのため、妊娠中の女性や妊娠の可能性のある女性は、デュタステリドを服用することはできません。また、授乳中の女性も、デュタステリドが母乳中に移行する可能性があるため、服用は避けるべきです。
デュタステリドは、あくまでAGA治療の一つの選択肢であり、全ての方に有効なわけではありません。副作用のリスクも考慮し、医師とよく相談した上で、服用を検討するようにしましょう。
デュタステリドの服用方法と処方についてのガイド
デュタステリドはAGA治療において有効な薬ですが、正しく服用しないと効果が期待できなかったり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。ここでは、デュタステリドの服用方法や処方について、小学生でもわかるように解説していきます。
適切な服用方法と用量
デュタステリドは、1日1回、決まった時間に服用します。これは、薬の効果を安定させるために非常に大切なことです。
例えば、毎日決まった時間に水を plants にやるのと同じように、私たちの体も、薬を一定の時間に摂取することで効果を発揮しやすくなります。
服用量は、通常0.5mgです。これは、小さな錠剤一つ分に相当します。食後の服用が推奨される薬もありますが、デュタステリドは食事の影響を受けにくいという特徴があります。そのため、朝食後でも夕食後でも、自分のライフスタイルに合った時間に服用することができます。
飲み忘れに気づいた場合は、気づいた時にすぐに1回分を服用しましょう。ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は服用せずに、次の服用時間から1回分を服用するようにしてください。
例えば、夜の21時に服用する習慣なのに、うっかり忘れて翌朝7時に気づいたとします。この場合、すでに10時間近く経過しているので、飲み忘れた分は服用せず、その日の21時にいつも通り服用すれば問題ありません。
デュタステリドの効果が表れるまでには、個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度かかると言われています。
これは、髪の毛のヘアサイクルが関係しています。髪の毛は、成長期、退行期、休止期というサイクルを繰り返しながら生え変わっています。デュタステリドは、髪の毛の成長を促進する効果がありますが、効果が現れるまでには、ヘアサイクルが数回繰り返される期間が必要となるのです。
焦らずに、根気強く服用を続けることが大切です。
他のAGA治療薬との併用について
デュタステリドは、単独で処方されることもありますが、他のAGA治療薬と併用することで、より高い効果が期待できる場合があります。
例えば、ミノキシジルという成分を含む外用薬は、頭皮の血行を促進し、毛母細胞に栄養を届けやすくすることで、発毛を促進する効果があります。デュタステリドとミノキシジルを併用することで、AGAの原因であるDHTを抑制しながら、発毛を促進するという相乗効果が期待できます。
これは、サッカーチームで例えると、フォワードの選手が点を取りやすくするために、ディフェンダーの選手が相手の攻撃をしっかり防ぐのと似ています。デュタステリドはディフェンダー、ミノキシジルはフォワードとして、それぞれの役割を担うことで、より効果的にゴールを目指せるというわけです。
ただし、自己判断で他の薬剤と併用することは大変危険です。薬同士の相互作用や、予期せぬ副作用が生じる可能性もあります。必ず医師の指示に従い、安全に治療を進めていきましょう。
デュタステリドを処方してもらえる医療機関の探し方
デュタステリドは、医師の処方箋が必要な薬です。そのため、AGA治療を行っている医療機関を受診する必要があります。
医療機関を探す際には、日本皮膚科学会が認定する「皮膚科専門医」がいるクリニックを選ぶと安心です。皮膚科専門医とは、皮膚に関する専門的な知識と経験を持つ医師に与えられる資格です。
また、「AGA治療」を専門に行っているクリニックであれば、より専門性の高い治療を受けることができます。近年では、オンライン診療に対応している医療機関も増えてきています。通院が難しい方や忙しい方でも、気軽にAGA治療を受けられるようになっています。
AGAは進行性の疾患であり、放置すると症状が悪化していく可能性があります。そのため、少しでも早く治療を開始することが大切です。
一人で悩まずに、専門医に相談し、適切な治療を受けていきましょう。
まとめ
デュタステリドはAGA治療薬として効果の高い薬剤ですが、フィナステリドよりも強力に作用するため、副作用のリスクも高くなります。 主な副作用として、性欲減退、勃起機能不全、精液量減少などが挙げられますが、これらの副作用は必ずしも全員に起こるわけではありません。 デュタステリドは医師の処方箋が必要な薬であり、自己判断での服用は危険です。 服用を検討する際は、医師に相談し、自身の状況に合った薬を選択することが重要です。
全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和6年8月26日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医
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参考文献
- Gupta AK, Talukder M, Williams G. Emerging and traditional 5-α reductase inhibitors and androgen receptor antagonists for male androgenetic alopecia. Expert opinion on emerging drugs, no. (2024): 1-11.
追加情報
[title]: Emerging and traditional 5-α reductase inhibitors and androgen receptor antagonists for male androgenetic alopecia.,
男性型脱毛症のための新しい5-α還元酵素阻害剤とアンドロゲン受容体拮抗薬の進展と従来の治療法
【要約】
【導入】 男性型脱毛症(AGA)は、男性の脱毛症の主要原因であり、医療および/または外科的処置が必要なことがよくある。米国FDAは、男性のAGA治療のためにトピカルミノキシジルと経口フィナステリドを承認しています。しかし、これらのFDA承認治療に十分な効果がないAGA患者や、個々の状況によっては副作用が起こることもあります。このような治療の不備を克服するために、研究者らは新たな5-α還元酵素阻害剤(5-ARIs)やアンドロゲン受容体拮抗薬(ARAs)などの代替治療法の探求を行っています。
【カバー範囲】 本記事では、フィナステリドやデュタステリドなどのよく知られた5-α還元酵素阻害剤(5-ARIs)や、新たな5-α還元酵素阻害剤(ARAs)やソーパルメットやカボチャの種油などの天然製品、男性のAGA治療における安全性と有効性について検討しています。
【専門家の意見】 いくつかの新たな5-α還元酵素阻害剤、ARAs、および天然製品は臨床試験で有望な結果を示していますが、男性のAGA治療における安全性と有効性を確認するためにはさらなる研究が必要です。これらの製剤に関して追加のエビデンスが得られるまで、男性のAGAの優先治療法はFDA承認のトピカルミノキシジルと経口フィナステリドです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38666717,
[quote_source]: Gupta AK, Talukder M and Williams G. “Emerging and traditional 5-α reductase inhibitors and androgen receptor antagonists for male androgenetic alopecia.” Expert opinion on emerging drugs , no. (2024): 1-11.