どれだけ食べても体重が増えない、周りから「もっと食べなよ」と言われて辛い。痩せ体質の方にとって、体重を増やすのは想像以上に難しい悩みです。
実は、太るためには闇雲に食べるのではなく、栄養の吸収効率を高める食事習慣、筋肉を効率的につける筋トレ、体づくりを支える生活リズムの3つが鍵となります。
当記事では、ガリガリ体型から抜け出したい方に向けて、明日から始められる実践的な方法を段階的に紹介しています。健康的に理想の体型を手に入れる道筋が見えるはずです。
体を変えたいと本気で考えている方は、今すぐ読み進めてみてください。
監修者

天白橋内科内視鏡クリニック院長
野田 久嗣 Hisatsugu Noda
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
がん治療認定医
太れない原因を把握して対策を立てる

体重が増えない悩みを抱えている方は少なくありません。食事をしっかり摂っているつもりでも、なかなか体重が増えない背景には、いくつかの原因が隠れているものです。
体重が増えない主な原因
- カロリー収支のバランス
- 遺伝的な体質
- 消化吸収の状態
- 食事量
- 生活習慣
- 病気の可能性 など
これらの原因を一つずつ確認し、自分の状況に当てはまるものを特定することが、健康的に体重を増やすための第一歩となるでしょう。
医学的な視点も含めた客観的な情報を基に、現状を正しく把握していくことが大切です。
摂取カロリーが消費カロリーを下回っている
体重を増やすためには、摂取カロリーが消費カロリーを上回る必要があります。基礎代謝量とは、生命活動を維持するために最低限必要なエネルギーのことで、私たちが1日に消費するエネルギーのうち約60%を占めているのです。
基礎代謝量は性別や年齢、体重、身長によって異なり、これに日常の活動量を加えたものが1日の必要カロリーとなります。例えば、30代女性で身体活動レベルが普通の場合、1日に約2,000kcal程度が必要とされています。
知らず知らずのうちにカロリー不足になっているケースは珍しくありません。自分の基礎代謝量と活動量を考慮し、実際の摂取カロリーとのバランスを見直すことが重要です。
食事の内容や量を記録してみると、思った以上にカロリーが足りていないことに気づくかもしれません。
遺伝や体質で太りにくいケース
遺伝的要因により基礎代謝が高い体質の方がいます。「肥満遺伝子」と呼ばれる遺伝子の影響で、人によって基礎代謝量に100~200kcalほどの差が生まれることが分かっているのです。
参照元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkouigaku/25/2/25_84/_pdf/-char/ja
体質的に太りにくい人の特徴として、エネルギー消費効率が高いことが挙げられます。同じ量を食べても、エネルギーとして消費されやすい体質の方は、体重が増えにくい傾向があるでしょう。
遺伝だけで決まるわけではありません。日本人の一定数が肥満遺伝子を持っているとされていますが、世界的に見ると肥満の割合が少ないのは、食事や運動などの生活習慣が大きく影響しているためでしょう。
体質を理解した上で、食事の内容や回数を調整するなど、生活習慣で改善できる部分に取り組むことが効果的とされています。
胃腸の消化吸収能力が低下している
食べても栄養が吸収されにくい状態では、体重増加が困難になります。消化吸収とは、食べ物が体内で分解され、栄養素として吸収される過程のことです。
消化酵素の働きや腸内環境の状態が、栄養の吸収効率に大きく影響します。腸内環境が整っていないと、せっかく摂取した栄養素が十分に吸収されず、体外に排出されてしまうのです。
加齢やストレスによって消化機能が変化することもあります。自律神経の乱れが腸のぜん動運動を低下させ、栄養を適切に消化・吸収する機能が落ちることがあるでしょう。
消化吸収能力の改善が体重増加につながる理由は、摂取した栄養素を効率的に体内に取り込めるようになるためです。消化の良い食品を選んだり、食物繊維の摂取量を調整したりすることで、胃腸への負担を減らし、消化吸収能力の向上を図ることができるとされています。
食事量が不足している
食が細い、少食傾向にある人の特徴として、1回の食事量が少ないことが挙げられます。満腹感を感じやすい体質の方は、必要なカロリーを摂取する前に食事を終えてしまうことが多いのです。
食欲不振や満腹感を感じやすい原因は様々です。消化機能の低下や胃の容量が小さいこと、あるいはストレスや自律神経の乱れなどが関係している可能性があります。
1回の食事量が少ないことで総摂取カロリーが不足する仕組みは明確です。例えば、1日3回の食事で十分な量を摂れない場合、必要なエネルギーを確保できません。
食事量を段階的に増やしていく必要性があります。いきなり大量に食べようとするのではなく、少しずつ食事の回数を増やしたり、1回の量を増やしたりする工夫が大切でしょう。消化の良い食品から始めて、徐々に胃腸を慣らしていくことが推奨されています。
ストレスや睡眠不足による影響
ストレスホルモンが代謝や食欲に与える影響は大きいものです。不安や緊張を長時間感じると交感神経が活発になり、消化吸収を促す副交感神経の働きが抑制されます。
睡眠不足による食欲調整ホルモンの乱れも問題です。質の良い睡眠が取れないと、コルチゾールというホルモンの分泌が不安定になり、体重の増減に影響を及ぼすことがあります。
自律神経の乱れと体重変化の関係は密接です。自律神経のバランスが崩れると、消化機能や食欲低下、代謝の変化などが起こり、体重が減少しやすくなります。
精神的要因が身体に及ぼす影響を理解することが重要です。ストレスや睡眠不足は一時的なものであれば大きな問題にはなりませんが、慢性的に続く場合は、生活習慣の見直しや専門家への相談が必要となるでしょう。
病気が隠れている可能性と受診の目安
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。食欲があってたくさん食べているにもかかわらず体重が減少し、動悸や手の震え、多汗などの症状がみられることがあります。
糖尿病では、インスリンが不足して血糖値が高くなり、糖質をエネルギーとして利用できません。そのため、代わりに筋肉のタンパク質や脂肪が分解されて体重が減少します。
消化器疾患として、胃炎や胃潰瘍、腸の病気などがあると、栄養の消化・吸収がうまくいかず体重減少につながります。吸収不良症候群では、食べ物から必要な栄養を体内に取り込めない状態となるのです。
急激な体重減少や他の症状がある場合の注意点として、6~12ヵ月の期間に体重の 5%以上の減少がみられる場合は、医療機関の受診を検討すべきでしょう。発熱や腹痛、下痢、動悸などの症状を伴う場合は、特に注意が必要です。
参照元:https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/020.pdf
医療機関を受診すべき具体的なサインには、食べているのに痩せ続ける、疲れやすい、のどが渇く、といった症状があります。自己判断せず専門家に相談することの大切さは言うまでもありません。
体重減少の背景には様々な疾患が隠れている可能性があるため、気になる症状がある場合は早めに内科や消化器内科を受診しましょう。
太る方法の基本は食事で摂取カロリーを増やす

体重を増やすためには、消費カロリーを上回る摂取カロリーを確保することが必要です。体重増加の基本的なメカニズムは、摂取カロリーが消費カロリーを超えている状態を継続することにあります。
健康的に太るには、ただ単に食べる量を増やすだけでなく、栄養バランスを考えた食事が求められます。これから紹介する食事面での具体的な戦略を実践することで、無理なく摂取カロリーを増やせるでしょう。
1日4~6食に分けて食べる工夫
一度にたくさん食べるのが難しい場合は、食事回数を増やすことで総摂取カロリーを無理なく増やせます。
1日3食に加えて、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間に補食を取り入れることで、1日5~6食にする方法があります。食事の間隔を3~4時間程度に設定すると、空腹感を適度に保ちながらエネルギーを補給できるでしょう。
食事回数を増やすことで、各食事の量を少なめに抑えられます。これにより胃腸への負担を軽減しながら、1日の総カロリー摂取量を増やすことが可能です。一度に多くの量を食べられない方でも、この方法なら継続しやすいといえます。
毎食の主食を増やす
米、パン、麺類などの主食は、効率的なエネルギー源となる炭水化物を豊富に含んでいます。
炭水化物は体を動かすためのエネルギー源であり、脳のエネルギー源でもあります。炭水化物が不足すると、エネルギー不足により疲れやすくなったり、集中力が低下したりする場合があるのです。
主食を増やす際の具体的な目安として、ご飯なら茶碗1杯から1.5杯へ、パンなら1枚から1.5枚へと、いつもより少し多めに盛り付けてみましょう。おかずだけでなく主食をしっかり食べることで、体重増加に必要な炭水化物を適切に摂取できます。
タンパク質・糖質・脂質のバランスを考える
健康的に体重を増やすには、三大栄養素のバランスが大切です。
PFCバランスとは、タンパク質、脂質、炭水化物の摂取比率を示すものです。厚生労働省が示す目標量では、タンパク質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%とされています。
バランスが偏ると、必要な栄養素が不足したり、特定の栄養素を摂りすぎたりする恐れがあります。例えば、タンパク質は筋肉や臓器の構成成分となり、脂質はエネルギー源や細胞膜の材料に、炭水化物は主なエネルギー源として機能するのです。
毎食、主食・主菜・副菜を組み合わせた献立を意識することで、自然とバランスの取れた食事になります。
間食や補食を取り入れるタイミング
食事と食事の間に栄養を補給する「補食」は、摂取カロリーを底上げするための有効な手段です。
効果的な補食のタイミングは、午前10時頃、午後3時頃、就寝2時間前などが挙げられます。食事と食事の間が4時間以上空く場合は、補食を取り入れることで空腹時間を短くし、エネルギー不足を防げるでしょう。
補食におすすめの食品は、おにぎり、バナナ、ヨーグルト、フルーツ、ナッツ類などです。次の食事に影響しない程度の適量を心がけることで、1日の総摂取カロリーを無理なく増やせます。
よく噛んでゆっくり食べる習慣
食べ方も体重増加に影響を与える要素の一つです。
早食いは消化不良を招き、栄養吸収を妨げる可能性があります。食べ物をよく噛むことで、唾液に含まれる消化酵素アミラーゼの分泌が促進され、消化がスムーズになるのです。
ゆっくり食べることで胃腸への負担を軽減できます。食事時間を20~30分程度確保し、一口につき30回程度噛むことを意識してみましょう。よく噛むことで食べ物が細かくなり、消化酵素の作用を受けやすくなります。
体重を増やすために摂りたい食材
体重を増やしたいと考えている方にとって、食材選びは重要です。単にカロリーが高いだけでなく、筋肉の材料となるタンパク質やエネルギー源となる炭水化物、良質な脂質をバランス良く摂取することが大切になります。
ここでは、体重増加をサポートする5つのカテゴリーの食材をご紹介します。
- 炭水化物を多く含む主食
- 筋肉の材料となるタンパク質源
- カルシウムとタンパク質を同時に摂取できる乳製品
- 少量で高カロリーを摂取できるナッツ類とドライフルーツ
- 効率的にカロリーを増やせる植物性油脂
これらの食材を日常的に取り入れることで、健康的に体重を増やすことが期待できます。
米やパンなどの炭水化物
炭水化物は体を動かすエネルギー源として欠かせません。白米、玄米、食パン、全粒粉パンなどの主食は、効率的にカロリーを摂取できる食材です。
炊いた白米は100グラムあたり約156キロカロリーで、茶碗1杯150グラムでは約234キロカロリーとなります。食パンは100グラムあたり約240キロカロリーで、6枚切り1枚でも約160キロカロリーと、手軽にエネルギーを補給できます。
主食の1日の摂取量は、摂取カロリーによって異なるものの、基本形では5から7つ分が目安とされています。おにぎり1個や食パン1枚が1つ分に相当します。
毎食の主食を少し増やすだけで、1日の摂取カロリーを効果的に増やすことができるでしょう。
肉や魚などの良質なタンパク質
筋肉の材料となるタンパク質は、体重増加において重要な役割を果たします。鶏肉、豚肉、牛肉、魚類などの動物性タンパク質は、アミノ酸スコアが高く体内で利用されやすい特徴があります。
魚のタンパク質はアミノ酸スコアが100と高く、良質で体内に吸収されやすいことが知られています。まぐろは100グラムあたり26.4グラム、カツオは25.8グラム、さけは22.3グラムのタンパク質を含みます。
参照元:日本食品標準成分表|文部科学省
肉類も高タンパクで、牛肉にはLカルニチン、豚肉にはビタミンB群が含まれており、脂質や糖質の代謝をサポートします。脂質を抑えたい場合は、赤身肉を選ぶとよいでしょう。
1日のタンパク質摂取の推奨量は、男性が60〜65グラム、女性が50グラムとされています。毎食タンパク質を含む食材を取り入れることで、筋肉量を維持しながら健康的に体重を増やせます。
参照元:日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省
牛乳やヨーグルトなどの乳製品
乳製品は、カルシウムとタンパク質を同時に摂取できる優れた食材です。牛乳200gには約220mgのカルシウムが含まれており、吸収率は約40パーセントと他の食品に比べて高くなっています。
ヨーグルトは牛乳と同様にカルシウムや良質なタンパク質を含み、乳酸発酵によってさらに腸から吸収しやすくなっています。チーズも高タンパク質で、手軽に栄養補給できるのが魅力です。
食事摂取基準では、1日のカルシウム推奨量は男性18から29歳で800ミリグラム、女性18から74歳で650ミリグラムとされています。
間食や食事の補助として乳製品を取り入れることで、飲みやすく手軽に栄養を補えます。
ナッツ類やドライフルーツ
ナッツ類は少量で高カロリーを摂取できる食材です。アーモンドは100gあたり約609キロカロリー、クルミは約713キロカロリーと高エネルギーです。
ナッツに含まれる脂質は主に不飽和脂肪酸で、中性脂肪や悪玉コレステロールの改善効果が期待されます。ビタミンE、ミネラル、食物繊維も豊富に含まれています。
ドライフルーツは、生の果物を乾燥させて水分を蒸発させているため、栄養素が凝縮されています。鉄分、カリウム、食物繊維などが豊富で、自然な糖分がエネルギー源となります。
間食の摂取目安量は1日あたり200キロカロリー程度が推奨されているため、ナッツは25グラム前後が適量とされます。
携帯しやすく、間食や料理のトッピングとして活用できるのも利点です。
植物性油脂を料理に活用する方法
オリーブオイルやごま油などの植物性油脂は、少量でカロリーを効率的に増やせる調味料です。オリーブオイルは大さじ1杯12グラムで約107キロカロリーあり、糖質は0グラムです。
オリーブオイルに豊富に含まれるオレイン酸は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らす働きがあるとされています。また、ビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化成分も含まれています。
炒め物、ドレッシング、仕上げの一滴など、料理の様々な場面で活用できます。サラダに直接かけたり、温野菜にかけたりするだけで、風味とともにカロリーを加えられます。
1日あたり大さじ1杯程度を目安にして、健康的な脂質を摂取しながらカロリーアップを図りましょう。ただし、油は高カロリーなので、摂りすぎには注意が必要です。
太る方法に筋トレを組み合わせる理由
体重を増やしたい場合、食事の量を増やすだけでは不十分な場合があります。健康的に体重を増やすには、食事と運動を組み合わせた総合的な取り組みが求められます。
筋トレを取り入れることで、脂肪だけでなく筋肉量も増やすことができ、見た目の改善や体力向上にもつながるでしょう。ここでは、筋トレの必要性と具体的な方法について解説していきます。
筋肉量を増やして健康的に太る
体重を増やす際、脂肪だけを増やすのではなく、筋肉も同時に増やすことが重要です。筋肉は脂肪よりも密度が高く、同じ体積で比較すると筋肉の方が重いとされています。
筋肉量が増えると基礎代謝が向上し、体温が維持されやすくなるため、冷え性の改善や免疫力の向上も期待できるでしょう。筋トレを継続することで、骨密度の向上や生活習慣病の発症リスクを減らせるとされています。
ただ体重を増やすのではなく、引き締まった体を目指すことで、健康面でも大きなメリットを得られます。
自宅でできる筋力トレーニング
筋トレを始めるにあたって、ジムに通う必要はありません。自宅で器具を使わずに行える自重トレーニングでも、十分な効果を得ることができます。
スクワットや腕立て伏せなどの基本的な筋トレは、特別な設備がなくても実践可能です。自宅で行うことで移動時間も不要となり、継続しやすい環境を作ることができるでしょう。
まずは基本的なトレーニングから始めて、徐々に回数や負荷を増やしていくことが大切です。
スクワットで下半身を鍛える
スクワットは下半身の大きな筋肉群を効率的に鍛えられるトレーニングです。太ももの大腿四頭筋やハムストリングス、お尻の大殿筋など、全身の筋肉が多く集まる下半身を一度に鍛えることができます。
正しいフォームは、足を肩幅に開き、背筋を伸ばしたまま、お尻を後ろに引くようにして腰を落とすことです。初心者は1セット10〜15回を目安に、2〜3セット行うとよいでしょう。
下半身の大きな筋肉を鍛えることで、効率よく筋肉量を増やし、全身の代謝向上にもつながります。
腕立て伏せで上半身を鍛える
腕立て伏せは胸、肩、腕など上半身の筋肉を鍛えられるトレーニングです。大胸筋、上腕三頭筋、三角筋を同時に刺激でき、体幹の強化にも効果があるとされています。
初心者で通常の腕立て伏せが難しい場合は、膝をついた状態から始めることもできます。1セット10〜15回を目安に、無理のない範囲で行いましょう。
上半身の筋肉が発達すると見た目の変化が分かりやすく、モチベーションの維持にもつながります。徐々に回数を増やしながら継続することが大切です。
有酸素運動をやりすぎない
体重を増やしたい場合、ランニングなどの有酸素運動は控えめにする必要があります。有酸素運動は多くのカロリーを消費するため、体重増加の妨げになる可能性があるでしょう。
例えば、体重50kgの人が1時間ウォーキングを行うと約200kcalを消費します。軽いウォーキング程度であれば健康維持に役立ちますが、激しい有酸素運動は避けるべきです。
筋トレを中心に据えて、有酸素運動は補助的に取り入れるバランスが重要です。適度な運動で血行を促進しながら、カロリーの過剰な消費を防ぎましょう。
運動後のプロテイン摂取
筋トレ後は、筋肉の回復と成長をサポートするタイミングです。運動後30分から1時間以内にタンパク質を摂取すると、筋肉を作るスピードが高まるとされています。
プロテインドリンクや食事での補給が効果的で、運動後48時間は筋肉が作られ続けるため、この期間に良質なタンパク質を継続的に摂取することが重要です。ただし、プロテインは食事のサポートとして位置づけ、バランスの取れた食事を基本にすることが大切でしょう。
運動と栄養のセットで取り組むことで、効率的に筋肉量を増やし、健康的な体重増加を目指せます。
太るために改善したい生活習慣
体重を増やすためには、食事や運動だけでなく、日々の生活習慣全体を見直す視点が欠かせません。
睡眠の質やストレス管理、腸内環境の改善、体重記録の習慣化といった要素は、すべて体の健康状態に影響します。
これらの生活面での改善が、結果的に栄養の吸収効率を高め、筋肉の回復を促し、体重増加をサポートするのです。
食べる量や内容だけに注目するのではなく、生活全般のバランスを整えることで、無理なく健康的に体重を増やせるでしょう。
質の高い睡眠をとる方法
睡眠は体重増加において見落とされがちですが、とても大切な要素です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、筋肉の修復や代謝の調整に深く関わっています。
深いノンレム睡眠の時間帯に成長ホルモンの分泌がピークを迎えるため、寝ついてから最初の数時間の眠りの質が特に重要とされています。
一般的に、成人の場合は7〜9時間の睡眠が推奨されています。睡眠時間が不足すると、食欲を増進させるホルモンが増加し、食欲を抑制するホルモンが減少するといった報告もあるのです。質の良い睡眠を確保することで、体内のホルモンバランスが整い、筋肉の回復や体重管理がしやすくなります。
睡眠の質を高めるためには、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控えることが効果的です。ブルーライトは睡眠を妨げる原因となります。
また、寝室を暗く静かに保ち、快適な温度に調整することも大切でしょう。毎晩同じ時間に就寝し、朝も一定の時間に起床する規則正しい生活リズムを心がけることで、体内時計が整い、深い眠りを得やすくなります。
ストレスを軽減してリラックスする
慢性的なストレスは、食欲や代謝に悪影響を及ぼす可能性があります。ストレスを感じると、体内ではコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
コルチゾールが長期間高い状態が続くと、食欲を抑制するセロトニンの分泌が減少し、食欲のコントロールが難しくなることが知られています。
また、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、胃腸の働きが低下し、食欲が減退したり消化機能が低下したりすることもあるのです。慢性的なストレスは、食欲だけでなく、睡眠の質や体の回復能力にも影響を与えるため、総合的な健康管理の観点からも注意が必要でしょう。
ストレスを軽減するためには、深呼吸や入浴、趣味の時間を持つといったリラックス法を日常に取り入れることが役立ちます。軽い運動やヨガ、瞑想なども効果的な方法です。
ストレス管理ができると、食事や睡眠の質が向上し、相乗効果が生まれます。心の健康が身体の健康につながるため、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
腸内環境を整える食生活
腸内環境は、栄養の消化吸収能力に直結する重要な要素です。腸内には数百種類、100兆個以上の細菌が生息しており、これらはその働きによって善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分類されます。善玉菌が優位に働く腸内環境では、栄養の吸収効率が高まり、免疫機能も適切に働くとされています。
腸内環境を整えるためには、発酵食品の摂取が効果的です。ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、漬物といった発酵食品には、乳酸菌や納豆菌などの善玉菌が豊富に含まれています。
これらの善玉菌は、腸内の悪玉菌の繁殖を抑え、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを整える役割を果たすのです。発酵食品に含まれる微生物は、栄養素が吸収されやすい形に変化させる効果もあります。
また、食物繊維の摂取も腸内環境の改善に役立ちます。食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内で善玉菌の増加をサポートします。水分補給や規則正しい食事のリズムも、腸の働きを助ける要素です。腸内環境の改善は、栄養の吸収能力を高め、結果的に体重増加をサポートすることにつながるでしょう。
定期的に体重を記録する
毎日または週に数回体重を測る習慣は、体重増加の取り組みを成功させるために大切です。体重を記録することで、自分の体の変化が可視化され、モチベーションの維持につながります。増減の傾向を把握することで、食事や運動の効果を確認でき、必要に応じて計画を調整できるのです。
体重の記録方法は、ノートに手書きで記録する方法もあれば、体重管理アプリを活用する方法もあります。アプリを使えば、体重の推移がグラフで表示され、変化を視覚的に把握しやすくなります。多くのアプリには、記録忘れを防ぐリマインダー機能や、体脂肪率や筋肉量なども記録できる機能が備わっています。
体重を測る時間帯は、できるだけ毎日同じタイミングに統一すると、正確な変化を把握しやすくなります。朝起きてトイレに行った後など、条件が揃った状態で測定するのが理想的でしょう。
記録を続けることで、自分の体重変化のパターンが見えてきます。焦らず長期的な視点を持ち、小さな変化も前向きに捉えることが、継続の鍵となります。
太る方法でやってはいけないNG行動
体重を増やしたいと思うあまり、かえって健康を損なう方法を選んでいませんか?
実は、太るために行う行動の中には、短期的に体重が増えても長期的に体調を崩してしまう危険な方法があります。栄養バランスの偏りや生活リズムの乱れは、健康的な体重増加の妨げになるのです。
ここでは、多くの人が陥りやすい5つのNG行動を紹介します。これらを避けることで、健康を維持しながら理想の体型を目指せるでしょう。
高カロリーなお菓子ばかり食べる
お菓子やスナック菓子は確かに高カロリーですが、それだけでは健康的に太ることはできません。
こうした食品は糖質や脂質に偏っており、タンパク質やビタミン、ミネラルといった必要な栄養素が不足してしまいます。栄養バランスが崩れると、体調不良を引き起こす可能性があるのです。
また、菓子パンやスナック菓子ばかりに頼ると、不健康な体重増加につながる場合もあります。過剰な糖質や脂質の摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があり、長期的には体調を崩す原因になるかもしれません。
お菓子は補助的なものと考え、主食とおかずをしっかり食べることが大切です。バランスの良い食事を心がけながら、間食として適度に取り入れるのが望ましいでしょう。
夜遅い時間に大量に食べる
夜遅い時間の大量の食事は、消化不良や睡眠の質低下を招く可能性があります。
夜遅くに食事をすると、食事からとったエネルギーが消費されにくいため、余分なエネルギーは体脂肪として蓄積されやすくなります。また、翌朝食欲がなくて朝食が食べられない原因にもなり、生活リズムも乱れやすくなるでしょう。
さらに、夜遅くの食事は睡眠の質を低下させます。食べてすぐ寝ると睡眠中も胃が働き続けるため、消化機能低下を招いて胃痛やもたれを引き起こすのです。
就寝2~3時間前までに食事を済ませるのが理想的とされています。夜間の過食は脂肪蓄積につながりやすいものの、健康的とは言えません。
栄養バランスを無視した食事
特定の食品だけを大量に食べる偏った食事では、健康的に太ることができません。
栄養素の偏りは健康被害や体調不良を引き起こす可能性があります。例えば、脂質の高いジャンクフードなどを食べ続けていると栄養の吸収力が落ちてしまうため、十分なカロリーを摂取していても太りづらくなるのです。
健康的に太るには「何を食べるか」という点も重要です。バランスの取れた食事が持続可能な体重増加の基本となります。
毎食「主食・主菜・副菜」をそろえると自然とバランスのとれた食事となるので、ぜひ意識してみてください。特に気をつけたいのは、三大栄養素と呼ばれる炭水化物・タンパク質・脂質です。多様な食品を組み合わせることで、必要な栄養素を効率よく摂取できるでしょう。
激しい筋トレをやりすぎる
筋トレは適度に行えば効果的ですが、やりすぎは逆効果になる場合があります。
初心者がいきなり高負荷のトレーニングをすると怪我のリスクが高まります。過度な筋トレはカロリー消費が大きく、体重増加を妨げる可能性もあるのです。
また、オーバートレーニング症候群と呼ばれる慢性疲労状態に陥る危険性があります。この状態では、日常生活においても易疲労性、全身倦怠感、睡眠障害、食欲低下などの症状がみられるようになります。
適度な強度で継続することが筋肉量増加には効果的です。筋トレは週2~3回程度の頻度で、1回のトレーニング時間は60分程度を目安にするとよいでしょう。休息日を設けて筋肉の回復を促すことも、健康的な体づくりには欠かせません。
プロテインに頼りすぎる
プロテインは便利な栄養補助食品ですが、それだけでは必要な栄養素を全て補えません。
プロテインはタンパク質を手軽に補給できる便利なアイテムです。特に、食事だけでは十分なタンパク質が摂れない場合に取り入れると良いでしょう。
しかし、過剰摂取が腎臓や肝臓に負担をかける可能性があるという点には注意が必要です。タンパク質を過剰に摂取すると、腎臓ではこれらの老廃物をたくさん処理しなければならなくなるため、負担がかかってしまうといわれています。
プロテインは補助的なもので、食事が基本という考え方が大切です。腎臓は機能低下していても自覚症状が現れにくく日常生活で気づきにくいとされています。
バランスの取れた食事とプロテインの適切な組み合わせを心がけましょう。1回に20〜30gのタンパク質が摂取できれば十分であるといわれています。
男性と女性で異なる太り方のポイント
体重を増やそうと思っても、なかなか思うような結果が出ない経験はありませんか?
実は、性別によって体質やホルモンの影響が異なるため、体重増加のアプローチも変わってきます。男性はテストステロン、女性はエストロゲンといったホルモンが、それぞれの体づくりに大きく影響を与えているのです。
このセクションでは、性別特有の体質を理解することで、より効率的な体重管理を実現する方法をご紹介します。自分の体の特性を知ることが、理想の体型への近道となるでしょう。
女性が健康的に体重を増やすコツ
女性の体は、女性ホルモンの影響によって独特の特徴を持っています。
女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、丸みを帯びた体にしたり月経をコントロールしたりする特質があり、胸や腰回りなど特定の部位に脂肪がつきやすい傾向があります。また、女性ホルモンが月経周期の中で常に大きく変動するため、体重も周期的に変化しやすいのです。
月経周期による体重変動を理解しておくことも大切です。生理の終わりごろから次の排卵の準備をする生理後2週間は、代謝をアップさせる働きのある卵胞ホルモンの分泌量が増加するので、食事管理や運動に適している時期とされています。一方、排卵後の黄体期は体が栄養や水分を蓄える時期のため、体重が増えやすくなります。
過度なダイエット経験がある場合は、より慎重なアプローチが必要です。極端な食事制限は、女性ホルモンのバランスが乱れ、生理不順を引き起こしたり、最悪の場合は生理がとまってしまう可能性もあります。
バランスの取れた食事と軽い筋トレの組み合わせが、女性の健康的な体重増加には効果的です。女性が筋トレを行ってもなかなか筋肉がつきづらいのは、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が男性より少ないためですが、適度な運動は代謝を高め、健康的な体づくりに役立ちます。
男性が効率よく筋肉をつけるコツ
男性は筋肉がつきやすい体質を活かすことで、効率的な体重増加が期待できます。
男性ホルモンであるテストステロンは、筋肉の合成や成長に大きく関わっています。テストステロン分泌量の値が高い男性は、筋肉質でたくましい体つきが特徴で、筋肉量が増えやすく、健康的に痩せる体質の方も多くいます。
テストステロンは筋肉タンパク質の合成を促進し、筋肉量を増加させる「アナボリック作用」があります。この働きによって、男性は女性よりも筋肉がつきやすいのです。体内におけるテストステロンレベルが高い人ほど筋肉がつきやすいことがわかっています。
参照元:https://research.ehime-u.ac.jp/post-ja/post-1557/
高タンパク質食と筋トレの組み合わせが、男性の体重増加には特に効果的です。筋肉づくりにも欠かせないタンパク質をしっかり摂取することで、体内を同化の状態、つまり成長しやすい状況にする必要があります。体がタンパク質不足で飢餓状態を感じると十分なテストステロンが分泌されません。
見た目の変化が比較的早く現れることも、男性の筋肉増加の特徴です。テストステロンがしっかりと分泌されていると、筋肉量が増えたり減ったりすることなく、筋肉のボリュームを維持できるようになります。この特性により、継続的なトレーニングでモチベーションを維持しやすいでしょう。