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アフターコロナの発熱外来のあり方について

みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。

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「咳が止まらない」「熱が下がらない」「味覚がおかしい…」コロナ禍で、発熱などの症状が出ると、誰もが不安に駆られるのではないでしょうか? 特に、小さなお子さんを持つ親御さんにとっては、子供の体調不良は深刻な問題です。

2023年、インフルエンザ流行の兆しが見え隠れする中、コロナウイルス感染症との見分け方や、適切な受診方法を理解しておくことは、家族の健康を守るために非常に重要です。

この記事では、発熱外来の受診のポイントを、具体的な事例や状況に合わせた説明でわかりやすく解説していきます。 発熱外来を受診する前に知っておきたいこと、持ち物、予約方法、検査内容、費用、注意点などを詳しく解説します。

不安な気持ちを抱えながらも、安心して受診できるよう、役立つ情報を提供します。

コロナウイルス感染症とインフルエンザの違いと症状

咳が出たり、のどが痛くなったり、熱が出たり…つらい症状が出てしまうと、「あれ?これって風邪?インフルエンザ?それともコロナウイルス感染症なのかな…」と不安になりますよね。小さなお子さんを持つ親御さんなら、なおさら心配でしょう。これらの病気は、症状だけで見分けるのが難しい場合が多いんです。

例えば、こんな経験はありませんか?

「昨日は熱っぽかったけど、今日はケロッと元気になった!」

これは、もしかしたらインフルエンザウイルスに感染したのかもしれません。インフルエンザは、潜伏期間が1~3日程度と短く、突然の高熱で発症することが多い病気です。まるでスイッチが切り替わったように、急に症状が現れるのが特徴です。

一方、「なんだか体がだるくて、微熱が続いているな…」という場合は、コロナウイルス感染症の可能性も考えられます。コロナウイルス感染症は、2日から長いものでは2週間程度の潜伏期間があり、比較的ゆっくりと症状が現れる傾向があります。

このように、同じような症状でも、原因となるウイルスによって、現れ方が異なる場合があるんです。

コロナウイルス感染症の主要な症状

コロナウイルス感染症は、風邪やインフルエンザと同じように、発熱、咳、のどの痛みなど、様々な症状を引き起こします。まるで、いたずら好きの妖精が、体の中に潜り込んで、色々な場所をくすぐっているように、様々な場所に症状が現れることがあります。

また、コロナウイルス感染症の特徴的な症状として、においを感じにくくなったり、味が分からなくなったりすることがあります。これは、鼻や口の中にある、においや味を感じるセンサーである「受容体」という場所に、ウイルスがくっついてしまうために起こると考えられています。まるで、センサーにいたずら好きの妖精が、いたずらで目隠しをしてしまうようなものでしょうか。

インフルエンザの特徴的な症状

インフルエンザは、インフルエンザウイルスという、まるで小さな忍者のようなウイルスに感染することで起こる病気です。この忍者は、人の体の中に侵入すると、あっという間に増殖し、高熱や関節痛、筋肉痛といった症状を引き起こします。まるで、体中に小さな手裏剣を投げつけているかのようです。

保育園や学校、職場など、人が集まるところでは、この忍者は集団で行動することが得意です。そのため、インフルエンザは、集団発生することが少なくありません。集団の中で、誰かが咳やくしゃみをすると、まるで忍者が分身の術を使うかのように、ウイルスが周りの人に広がってしまうのです。

どちらの病気も注意すべき合併症

コロナウイルス感染症もインフルエンザも、放っておくと肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。特に、高齢者の方や、持病のある方は、重症化しやすいので注意が必要です。

合併症は、まるで、いたずら好きの妖精が、体のあちこちで暴れ回ることで、色々な場所に悪影響を及ぼしてしまう状態です。肺炎は、肺という、呼吸をするためにとても大切な臓器が炎症を起こしてしまう病気です。気管支炎は、空気の通り道である気管支に炎症が起こる病気です。

合併症を防ぐためには、早期に適切な治療を受けることが重要です。発熱や咳などの症状が出たら、自己判断せずに、医療機関に相談するようにしましょう。

発熱外来受診のポイント

急に熱が出ると、誰でも不安になりますよね。もしかしたら、コロナウイルス?インフルエンザ?それとも他の病気?と心配になってしまいます。これは、大人でも子供でも同じです。私自身、小さな子供がいますが、子供が熱を出すたびに、心配でたまりません。

「熱が高い!この咳はひどい…もしかして肺炎になったんじゃないかしら…」

と、不安な気持ちでいっぱいになるお母さん、お父さんも多いのではないでしょうか?

そんな時に頼りになるのが発熱外来です。ここでは、発熱外来をスムーズに受診するためのポイントをわかりやすく解説していきますので、安心して受診してくださいね。

受診前に準備するべき持ち物

発熱外来を受診する際には、いくつかの持ち物があるとスムーズです。持ち物を事前に確認しておくことで、忘れ物を防ぎ、安心して受診に臨むことができます。

  • 健康保険証: これは絶対に忘れてはいけません!保険証がないと、医療費が全額自己負担になってしまいます。
  • 診察券(お持ちの方): 以前受診したことがある方は、診察券があるとスムーズです。
  • マスク: 発熱外来を受診する際は、必ずマスクを着用しましょう。他の患者さんへの感染リスクを減らすために、とても大切です。
  • 体温計: 発熱外来を受診するまでに何度か体温を測っておくと、医師に症状を伝える際に役立ちます。脇で測るもの、耳で測るものなど、体温計には色々な種類がありますが、お持ちの体温計で構いません。
  • メモ帳と筆記用具: 症状や聞きたいことをメモしておくと、診察時に役立ちます。「いつから熱が出たか」「どんな時に咳が出るか」など、症状を具体的にメモしておきましょう。
  • お薬手帳(お持ちの方): 現在服用中のお薬がある方は、お薬手帳を持参しましょう。お薬手帳は、医師があなたの服用している薬を把握するために必要です。服用中の薬がある方は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談してください。
  • 飲み物: 熱があるときは、脱水症状になりやすいので、飲み物を持参しましょう。お茶やスポーツドリンクなど、飲みやすいもので構いません。

予約方法と待ち時間の説明

当院の発熱外来は、完全予約制です。お電話または当院のウェブサイトからご予約いただけます。予約状況によっては、ご希望の日時に添えない場合もございますので、ご了承ください。

 

受診時に行う検査とその内容

発熱の原因を突き止めるために、いくつかの検査を行います。これらの検査を通して、適切な診断と治療法を決定します。

  1. 問診: まずは看護師が、今の症状やいつから続いているかなど、詳しく聞いてくれます。
  2. 体温測定: 体温を測って、熱の上がり具合を確認します。体温は、時間帯や体の状態によって変化しますので、何度か測って記録しておくと良いでしょう。
  3. 視診・触診: のどやお腹などを診たり、触ったりして、体の状態をチェックします。当院の場合は感染リスクを考慮して3を飛ばして4に行くことが多いです。
  4. 必要に応じて、コロナウイルス感染症やインフルエンザの検査を行います。 これらの検査は、鼻やのどに綿棒を入れて、粘液を採取します。症状が出てから7日以内であれば、抗原検査が有効です。7日以上経過している場合は、IgM抗体とIgG抗体を調べる検査が有効です。IgM抗体は、感染の初期に作られる抗体で、IgG抗体は、感染の後期に作られる抗体です。これらの抗体の有無を調べることで、感染の時期を推定することができます。コロナウイルスについては、当院は等温核酸検出検査(NEAR法)で行いますので、一時はやったPCR法とほぼ同等の検査の結果を13分で出すことが可能です。
  5. 血液検査: 血液検査を行うことで、炎症の程度や肝臓・腎臓の機能などを調べることができます。血液検査の結果は、通常数日後に分かります。
  6. レントゲン検査: 風邪が長引いている場合や肺炎の疑いがある場合は、レントゲン検査を行うことがあります。レントゲン検査では、肺の状態を調べることができます。

これらの検査結果をもとに、お医者さんがあなたの症状に合った治療法を提案してくれます。

発熱外来の治療法と費用

発熱外来では、発熱の原因を特定し、適切な治療を行うことを目的としています。検査の結果、細菌感染症と診断された場合には抗生物質が処方されますが、ウイルス感染症の場合には、特効薬がないことが多く、基本的には安静にして、体の免疫力で治すことがほとんどです。

この「安静にして、体の免疫力で治す」という治療法は、一見、何もしないでただ寝ているだけのように思えるかもしれません。しかし実際には、私たちの体は、発熱という症状を通して、ウイルスと勇敢に戦っているのです。

発熱は、体の中に侵入してきたウイルスと戦うための、体の防御反応の一つです。例えるなら、私たちの体は、ウイルスが侵入してくると、熱という名の炎でウイルスを攻撃する、勇敢な戦士と言えるでしょう。そして、解熱剤は、この炎の勢いを一時的に抑える、水鉄砲のような役割を果たします。

解熱剤を使うことで、一時的に熱は下がりますが、ウイルスの活動が弱まるわけではありません。むしろ、解熱剤を使いすぎると、体の防御反応が弱まり、ウイルスが増殖しやすくなってしまう可能性もあります。

ですから、発熱外来では、必要以上に解熱剤に頼らず、体の免疫力を高めることを重視した治療法が選択されます。

受けられる治療法の種類

発熱外来で受けられる治療法は、発熱の原因や症状によって異なります。

  • ウイルス感染症の場合: インフルエンザなど、一部のウイルス感染症には、抗ウイルス薬が有効な場合があります。しかし、多くのウイルス感染症には、特効薬がなく、対症療法が中心となります。
    対症療法とは、病気の原因そのものを治療するのではなく、熱や咳、鼻水といった症状を和らげ、体を楽にするための治療法です。
    例えば、熱が高い場合には解熱鎮痛剤を、咳がひどい場合には咳止めを、鼻水が止まらない場合には鼻水止めを処方します。
  • 細菌感染症の場合: 細菌感染症には、抗生物質が有効です。肺炎や膀胱炎など、細菌感染症が疑われる場合には、抗生物質を処方します。細菌の種類によって、有効な抗生物質が異なるため、医師は、患者さんの症状や検査結果に基づいて、適切な抗生物質を選択します。
  • 原因不明の発熱の場合: 検査を行っても、発熱の原因が特定できない場合があります。このような場合には、原因を特定するための検査を追加したり、経過観察を行ったりします。
    また、原因不明の発熱の中には、膠原病や悪性腫瘍などの病気が隠れている場合もあります。そのため、発熱が長期間続く場合には、専門医への紹介を検討することもあります。

保険適用の詳細と費用の目安

発熱外来の費用は、医療機関や受診時間帯、検査内容、治療内容などによって異なりますが、基本的には健康保険が適用されます。

自己負担割合が3割の方の場合、初診料や検査費用などを含めて、3,000円~5,000円程度の費用がかかることが多いようです。

例えば、

  • 初診料:750円~1,000円程度
  • 再診料:250円~500円程度
  • 検査費用:検査内容によって大きく異なりますが、例えば、インフルエンザの迅速検査キットでは、約2,000円、血液検査では、約1,500円、レントゲン検査では、約3,000円が目安となります。
  • 処方箋料:100円~200円程度
  • 薬剤料:処方された薬の種類や量によって異なりますが、例えば、解熱鎮痛剤(カロナール錠200mg)10日分で、約300円、抗生物質(クラリス錠200mg)7日分で、約500円が目安となります。

ただし、検査項目や処方される薬の種類などによって、費用は大きく変わる可能性がありますので、事前に医療機関に確認することをおすすめします。

また、時間外診療や休日診療の場合は、別途料金が発生することがあります。

高額療養費制度を利用できる場合がありますので、事前にご確認ください。

発熱外来を利用する際の注意点

発熱外来は、発熱のある患者さんを診察するために、院内感染対策を徹底しています。スムーズで安全な受診のために、以下の点にご協力をお願いします。

  1. 事前に電話連絡: 多くの場合、発熱外来は予約制となっています。事前に電話で症状や受診希望日時を伝えましょう。
  2. マスクの着用: 受診時は必ずマスクを着用し、咳エチケットを守りましょう。
  3. 保険証の持参: 受診の際は、必ず保険証をお持ちください。
  4. 正確な症状の伝達: 医師の診察を受ける際に、発熱以外の症状や、過去にかかった病気、服用中の薬などがあれば、正確に伝えましょう。特に、チクングニアウイルス感染症は、デング熱やジカ熱などの他のウイルス感染症と症状が似ていて、誤診されることが多い病気です。そのため、海外渡航歴や、発症前後の具体的な状況などを医師に伝えることが重要です。
  5. 医師の指示に従う: 検査や治療の内容、自宅療養の方法など、医師の指示をよく聞いてください。

発熱は、さまざまな病気が原因で起こる可能性があります。自己判断せずに、医療機関に相談し、適切な診療を受けるようにしましょう。

まとめ

アフターコロナにおける発熱外来のあり方について解説しました。コロナウイルス感染症とインフルエンザは症状が似ており、見分けが難しい場合がありますが、適切な治療を受けるためには、早期に医療機関を受診することが重要です。発熱外来では、問診、体温測定、視診・触診などの検査に加え、必要に応じてコロナウイルス感染症やインフルエンザの検査、血液検査、レントゲン検査を行います。これらの検査結果に基づいて、適切な治療法が選択されます。発熱外来を受診する際は、事前に予約し、マスク着用、保険証持参、正確な症状の伝達など、注意点を守って受診しましょう。

 

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

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令和6年8月20日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医

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参考文献

  1. Andrew A, Navien TN, Yeoh TS, Citartan M, Mangantig E, Sum MSH, Ch’ng ES and Tang TH. Diagnostic accuracy of serological tests for the diagnosis of Chikungunya virus infection: A systematic review and meta-analysis. PLoS neglected tropical diseases 16, no. 2 (2022): e0010152.

追加情報

[title]: Diagnostic accuracy of serological tests for the diagnosis of Chikungunya virus infection: A systematic review and meta-analysis.,

[summary]: ## 【タイトル】 チクングニアウイルス感染症の診断における血清学的検査の診断精度:系統的レビューとメタ分析

【要約】

  • チクングニアウイルス(CHIKV)は発熱性疾患を引き起こし、デング熱やジカ熱などの他のウイルス感染症と誤診されることが多いため、検査が必要となる。
  • 血清学的検査はCHIKV感染症の診断に一般的に使用されるが、報告される感度と特異度が異なるため、その精度は疑問視されている。
  • 本研究では、CHIKV感染症の診断に現在使用されている血清学的検査の診断精度を評価するために、系統的レビューとメタ分析を実施した。
  • メタ分析の結果、抗原検出検査は、急性期の検体に対する良好な診断検査となり、ELISAベースの検査、免疫蛍光アッセイ、および自家製検査では、IgM検出検査は症状発症後7日以降に採取した検体において90%以上の診断精度を示した。
  • 一方、IgM迅速検査(42.3%)、市販検査(78.6%)、および症状発症後7日未満に採取した検体(26.2%)では感度が低かった。
  • IgM抗体はCHIKV感染後2日目から出現し始めるが、本メタ分析では、IgM検出検査は急性期検体には推奨されないことが判明した。
  • IgG検出検査の診断性能は、検査方法や市販品か自家製かによらず、93%以上であった。
  • IgG検出検査では、症状発症後7日以降に採取した検体を用いると、回復期検体でIgG抗体が検出されることを示唆している。
  • 本メタ分析の結果に基づき、検体採取時期に応じて、抗原または抗体ベースの血清学的検査は、CHIKVを確実に診断するために使用できる。
  • 抗原検出検査は、CHIKV感染の急性期(症状発症後7日以内)に採取された検体に対する良好な診断検査となる。
  • 同様に、IgMおよびIgG検出検査は、回復期(症状発症後7日以上)に採取された検体で使用できる。
  • 患者の臨床症状と関連させて、IgMとIgG検査を組み合わせることで、最近の感染と過去の感染を区別することができる。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35120141,

[quote_source]: Andrew A, Navien TN, Yeoh TS, Citartan M, Mangantig E, Sum MSH, Ch’ng ES and Tang TH. “Diagnostic accuracy of serological tests for the diagnosis of Chikungunya virus infection: A systematic review and meta-analysis.” PLoS neglected tropical diseases 16, no. 2 (2022): e0010152.

https://tenpakubashi-cl.com/fever/