睡眠時無呼吸症候群のマウスピース療法とは?睡眠時無呼吸症候群のマウスピース療法とは?

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なんか寝た感じしない 寝たのに眠い だんなが寝てる時息止まってる それ 睡眠時無呼吸症候群かも マウスピース療法とは?

みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
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「寝たはずなのに眠い…」と感じたことはありませんか? もしかしたら、あなたは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」かもしれません。 SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気で、放置すると高血圧や糖尿病、心臓病などのリスクを高めることも。 最近、いびきがうるさいと家族に指摘されたり、日中に強い眠気に襲われたりする方は、要注意です。 この記事では、SASの症状や健康への影響、そして効果的な治療法の一つである「マウスピース療法」について詳しく解説していきます。 SASの症状に心当たりがある方は、ぜひ読み進めてみてください。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状と健康への影響

「最近、ぐっすり眠ったはずなのに、日中どうしても眠気が襲ってくる…」 「家族から、夜中に呼吸が止まっていると心配される…」

このような経験はありませんか?もしかしたら、それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインかもしれません。

眠気や疲労感の原因

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まってしまう病気です。 呼吸が止まるということは、体や脳に十分な酸素が供給されない状態が続くということです。

例えば、高い山に登ると、空気中の酸素が薄くなるため、息が苦しくなりますよね。 睡眠時無呼吸症候群は、まさにこの状態が、寝ている間に何度も繰り返されているのです。

その結果、朝起きた時に、しっかりと睡眠をとったはずなのに、まるで寝不足のような状態になり、日中の強い眠気や疲労感につながってしまうのです。

さらに、睡眠中の無呼吸は、脳にも大きな負担をかけてしまいます。 脳は、私たちが活動するための司令塔のような役割を担っていますが、その司令塔が酸素不足に陥ると、集中力や判断力の低下、記憶力の低下などを引き起こす可能性があります。

いびきと無呼吸の具体的な症例

「うちのパートナーのいびきがうるさくて、毎晩悩まされている…」

睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状として、大きないびきが挙げられます。 いびきは、空気の通り道である気道が狭くなっているために発生します。

睡眠時無呼吸症候群の場合、肥満や扁桃腺の肥大、舌の根元の沈下などが原因で、気道が狭くなっていることが多く、大きないびきをかきやすくなります。

また、睡眠時無呼吸症候群では、大きないびきだけでなく、睡眠中の無呼吸も重要なサインです。 無呼吸とは、10秒以上呼吸が止まっている状態のことを指します。

例えば、パートナーが寝ている時に、呼吸が止まっていることに気づいたら、10秒以上続いているかどうか、呼吸が再開する時に「プハーッ」と息を吸い込むような音がしていないか、注意深く観察してみましょう。

症状 具体的な例
大きないびき ・静かな部屋の中でも響き渡るような、振動を伴う低い音
・隣室にまで聞こえるほどの大きさ
・周囲の人が耳栓なしでは眠れない
無呼吸 ・呼吸が止まっている時間が10秒以上続く
・呼吸が再開する時に、「プハーッ」「ガゴッ」などの大きな音がする
・無呼吸が何度も繰り返されるため、睡眠が浅く、何度も目が覚めてしまう

睡眠の質が低下すると起こる問題

睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下すると、日中の眠気や疲労感だけでなく、様々な健康問題のリスクを高める可能性があります。

例えば、睡眠不足は、私たちの体の代謝機能やホルモンバランスを乱し、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中などのリスクを高めると言われています。 また、睡眠時無呼吸症候群は、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。

  • 集中力・記憶力・判断力の低下: 仕事や勉強でミスが増えたり、新しいことを覚えにくくなることがあります。会議中に集中力が続なかったり、重要な判断を誤ってしまうこともあります。
  • 感情のコントロールが難しくなる: 些細なことでイライラしやすくなったり、感情的になりやすくなります。
  • 交通事故のリスク増加: 運転中に眠気が襲ってきて、重大な事故につながる危険性があります。

このように、睡眠時無呼吸症候群は、私たちの日常生活に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

「もしかしたら自分も…?」と感じたら、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。

マウスピース療法の概要と効果

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法の一つとして、CPAP療法と並んでよく用いられるのがマウスピース療法です。

マウスピース療法とは?基本的なメカニズム

マウスピース療法とは、睡眠時に口に装着する、オーダーメイドで作られたマウスピースのような装置を用いた治療法です。スポーツ選手が歯を守るために装着するマウスピースをイメージすると分かりやすいでしょう。しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療に使うマウスピースは、単に歯を守るためのものではありません。

このマウスピースを装着して寝ることで、気道を広げて、スムーズに呼吸ができるようにサポートする効果があります。

では、どのようにして気道を広げているのでしょうか?

睡眠時無呼吸症候群の原因の一つに、睡眠中に舌の筋肉が緩み、気道を塞いでしまうことが挙げられます。これは、例えるなら、夜になると喉の奥の見えない扉が閉じてしまうようなイメージです。扉が閉じてしまうと、空気が通りにくくなってしまいますよね。マウスピース療法では、この緩んだ舌を少し前に出すように設計されたマウスピースを装着することで、気道を確保します。つまり、閉じてしまった扉を少し開けて、空気が通るようにする役割を果たします。

期待できる改善と効果

マウスピース療法によって期待できる効果として、まず、睡眠中の無呼吸状態が改善されることが挙げられます。

無呼吸状態が減ることで、睡眠中の血液中の酸素濃度が正常に保たれ、質の高い睡眠を得られるようになります。

その結果、日中の眠気や疲労感が軽減され、集中力や作業効率の向上も期待できます。

例えば、仕事中にウトウトすることが減ったり、会議でしっかりと集中できるようになったという患者さんもいます。

また、趣味に集中できるようになり、生活の質が向上したという声もよく聞きます。

さらに、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高めることが知られていますが、マウスピース療法による症状の改善は、これらの病気の予防にもつながると考えられています。

他の治療法との比較

睡眠時無呼吸症候群の治療法として、マウスピース療法以外にも、CPAP療法などがあります。

CPAP療法は、鼻に装着したマスクから空気を送り込むことで、気道を広げて呼吸をサポートする方法です。

CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療効果が高い一方で、マスクの装着感が苦手な方や、鼻が詰まりやすい方には、不向きな場合があります。

一方、マウスピース療法は、CPAP療法に比べて、装着が簡単で、携帯にも便利というメリットがあります。

また、鼻にマスクを装着しないため、鼻詰まりが気になりにくいという点もメリットと言えるでしょう。

しかし、マウスピース療法は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群に効果が高い一方、重度の場合は、CPAP療法の方が適している場合があります。

マウスピース療法の選び方と費用

睡眠時無呼吸症候群の治療法として、マウスピース療法が注目されています。

「マウスピースで本当に症状が改善するの?」 「どんなマウスピースを選べばいいか分からない…」

そんな疑問をお持ちのあなたへ、マウスピース療法の選び方について、分かりやすく解説していきます。

自分に合ったマウスピースの見つけ方

マウスピース療法で使用するマウスピースは、患者さん一人ひとりの歯型に合わせて作製する、オーダーメイドです。

「市販のマウスピースで代用できないの?」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療に使うマウスピースは、歯ぎしり防止用やスポーツ用のマウスピースとは全くの別物です。

例えるなら、普段使いのスニーカーと、マラソン選手が使う特注のランニングシューズほどの違いがあります。

市販のマウスピースは、あくまでも一時的な使用を目的としているため、睡眠時無呼吸症候群の治療に必要な、気道を広げる効果や、長時間快適に装着できるような設計にはなっていません。

オーダーメイドのマウスピースは、歯科医師による精密な検査と型取りを行い、患者さんのお口の状態に合わせて作製されます。

そのため、装着感が良く、治療効果も高くなるのです。

マウスピースには、大きく分けて2つの種類があります。

  1. 下顎固定タイプ: 下顎だけに装着するタイプで、比較的小さく、装着感が軽いのが特徴です。初めてマウスピース療法を行う方や、口の中に異物感を感じやすい方に向いています。
  2. 上下一体型タイプ: 上下顎両方に装着するタイプで、顎をしっかりと固定することで、気道をより広げやすく、いびきや無呼吸の改善効果が高い傾向があります。

「結局、どちらのマウスピースを選べばいいの?」

と迷ってしまう方もいるかもしれません。

最適なマウスピースの種類は、患者さんの症状の程度や顎の形、歯並びなどによって異なってきます。

例えば、軽度の無呼吸で、顎が小さい方には下顎固定タイプが適しているかもしれませんし、重度の無呼吸で、顎がしっかりしている方には上下一体型タイプが適しているかもしれません。

費用と保険適用のポイント

マウスピース療法にかかる費用は、使用するマウスピースの種類や医療機関によって異なり、自由診療となる場合と保険適用となる場合があります。

保険適用となる場合は、3割負担の場合、費用は1~2万円程度が目安となります。

「保険適用と自由診療、一体何が違うの?」

と疑問に思う方もいるかもしれません。

保険適用されるマウスピースは、治療効果が認められた特定の製品に限られます。

一方、自由診療では、患者さんの希望や症状に合わせて、より多くの種類の中からマウスピースを選ぶことができます。

例えば、耐久性が高い素材や、装着感がより快適になるような設計のマウスピースを選ぶことができます。

しかし、自由診療の場合、費用は全額自己負担となり、5~10万円程度かかる場合もあります。

クリニックでの相談方法と選択肢

マウスピース療法を受ける際は、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療の実績が豊富な医療機関を選びましょう。

「どこの病院に行けばいいか分からない…」

という方は、まずかかりつけの医師に相談してみるのも良いでしょう。

クリニックを選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてみてください。

  • 睡眠時無呼吸症候群の専門医がいるか
  • 精密な検査体制が整っているか
  • マウスピースの種類が豊富に揃っているか
  • 治療費用の説明が明確であるか

初診時には、睡眠時の症状や日中の眠気、健康状態などについて、医師に詳しく伝えましょう。

「こんなこと聞いてもいいのかな…」と遠慮せずに、気になることは何でも相談することが大切です。

医師は、患者さんの話を丁寧に聞き取り、症状や生活習慣などを考慮した上で、最適な治療法を提案してくれます。

マウスピース療法が適しているかどうか、他の治療法も検討する必要があるかなど、医師とじっくりと相談し、納得した上で治療を進めていきましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。 SASは、いびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気などが特徴です。 放置すると、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中などのリスクを高めます。 SASの治療法の一つにマウスピース療法があります。 マウスピースは、睡眠時に口に装着し、気道を広げて呼吸をサポートします。 SASの症状が改善することで、日中の眠気や疲労感が軽減され、集中力や作業効率が向上するなど、生活の質が向上する可能性があります。 マウスピース療法は、CPAP療法に比べて、装着が簡単で、携帯にも便利というメリットがあります。 しかし、重度のSASの場合、CPAP療法の方が適している場合があります。 マウスピース療法を受ける際は、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療の実績が豊富な医療機関を選び、医師と相談して適切な治療法を選びましょう。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。




令和6年8月26日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医

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参考文献

  • Ghaderi S, Mohammadi S, Mohammadi M. “Obstructive sleep apnea and attention deficits: A systematic review of magnetic resonance imaging biomarkers and neuropsychological assessments.” Brain and behavior 13, no. 11 (2023): e3262.

追加情報

睡眠時無呼吸症候群と注意力の欠如: 磁気共鳴画像バイオマーカーと神経心理学的評価の研究の体系的レビュー

【要約】

  • 背景と目的

    • 睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、断続的な低酸素状態と睡眠断片化を引き起こし、注意力の低下や他の認知機能の欠如を引き起こす一般的な睡眠障害である。
    • 磁気共鳴画像(MRI)は、OSA患者の注意力の低下に関連する脳の構造的および機能的変化を明らかにすることができる強力な手法である。
    • この体系的レビューの目的は、OSA患者のMRIバイオマーカーと神経心理学的評価に関するエビデンスを把握し、統合することである。
  • 方法

    • ScopusとPubMedデータベースを検索し、OSA患者の注意変動に関連するMRIバイオマーカーを測定し、MRIバイオマーカーと注意の結果との関連について質的および量的なデータを報告した研究を探索した。
    • また、注意力欠如を有するOSA患者での神経心理学的評価とMRI所見の関連性を調査した研究も含めた。
  • 結果

    • 対象基準に合致した19件の研究を含め、各研究から関連するデータを抽出した。
    • MRIの画像法と認知領域に基づいて、研究を3つのグループに分類した: 構造と拡散テンソルイメージングMRI所見、機能的・血流量的・代謝的MRI所見、神経心理学的評価所見。
  • 結論

    • OSAは、注意処理に関与するさまざまな領域やネットワークの構造的、機能的、代謝的な脳の変化と関連していることがわかった。
    • 陽圧換気治療は一部の脳の変化を一部逆転させ、いくつかの研究では一部の領域やいくつかの認知領域で認知機能を改善することが示された。
    • このレビューは、MRI技術と神経心理学的評価はOSA患者の進行状況と治療効果のモニタリングに有用なツールであることを示唆している。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37743582

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[quote_source]: Ghaderi S, Mohammadi S and Mohammadi M. “Obstructive sleep apnea and attention deficits: A systematic review of magnetic resonance imaging biomarkers and neuropsychological assessments.” Brain and behavior 13, no. 11 (2023): e3262.