こんにちは。
天白橋内科内視鏡クリニック 院長の 野田久嗣 です。
50代、あなたは大丈夫?若い頃とは違う体の変化、感じていませんか?
風邪と思っていた症状がなかなか治らない…もしかしたら、それはRSウイルスかもしれません。50代は、免疫力の低下が始まる年代。若い頃のようにすぐに回復しない、そんな経験はありませんか?さらに、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も増加する年代です。これらの基礎疾患は、RSウイルス感染症の重症化リスクを高める危険因子となります。
RSウイルス感染症は、軽症で済むことも多いですが、高齢者や基礎疾患を持つ方にとって重症化は深刻な事態を招く可能性があります。2023年の論文では、60歳以上の臨床試験で、RSウイルスワクチンが関連下気道疾患の発症リスクを82.6%も減少させたという驚きの結果が示されています。
この事実をどう受け止めますか? 「まさか自分が…」と他人事ではなく、今、真剣に考えてみませんか? この記事では、50代がRSウイルス感染症で重症化するリスクと、その予防策として期待される新型ワクチン「アレックスビー(AREXVY)」について詳しく解説します。 あなたの健康を守るために、ぜひ読み進めてください。
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【この記事の著者のご紹介】
みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
内視鏡といえば天白橋。内科もやっぱり天白橋。天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。

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目次
RSウイルス感染症のリスクと50代の特性
RSウイルス感染症は、乳幼児を中心に、あらゆる年齢層で発症するありふれた感染症です。多くの方は軽症で回復しますが、免疫力の低下した高齢者や基礎疾患のある方は、重症化のリスクがあります。
50代は、若い世代と比べると免疫力が少しずつ低下し始める年代です。若い頃は風邪をひいてもすぐに治っていたのに、最近は治りが遅くなった、と感じている方もいるのではないでしょうか。これは、まさに免疫力の低下を示唆している可能性があります。
また、50代は、生活習慣病などの基礎疾患を抱えている方も増えてくる年代です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などは、自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行していることもあります。これらの基礎疾患は、RSウイルス感染症の重症化リスクを高める要因となります。
当クリニックは、内科全般を診療しており、風邪症状や生活習慣病の管理にも対応しておりますので、お困りの際はご相談ください。内視鏡専門医として、消化器系の疾患にも精通しておりますので、総合的な視点から皆様の健康をサポートいたします。
50代におけるRSウイルス感染の重症化リスク
50代になると、加齢とともに免疫機能が低下し始め、RSウイルス感染症が重症化するリスクが高まります。特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、心疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方は、重症化しやすい傾向にあります。
例えば、COPDは、肺の炎症が慢性的に続く病気で、呼吸機能が低下しています。ここにRSウイルス感染症が加わると、さらに呼吸機能が悪化し、肺炎を併発するリスクも高まります。
また、糖尿病の方は、免疫機能が低下しているため、感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向にあります。RSウイルス感染症も例外ではなく、肺炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
2023年に発表された論文では、60歳以上の成人を対象とした臨床試験において、RSウイルスワクチンはRSウイルス関連下気道疾患の発症リスクを82.6%減少させる効果が示されました。これは、ワクチン接種が重症化予防に有効な手段であることを示しています。50代の方も、近い将来ワクチン接種が可能になる可能性がありますので、最新の情報に注意しておきましょう。
RSウイルスの主な症状と影響
RSウイルス感染症の主な症状は、発熱、咳、鼻水、喉の痛みなど、一般的な風邪と非常によく似ています。そのため、風邪だろうと自己判断で放置してしまう方も少なくありません。しかし、RSウイルス感染症は、重症化すると肺炎や気管支炎を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
初期症状は風邪と区別がつきにくいですが、咳が次第にひどくなり、痰が絡むようになる、呼吸が苦しくなるなどの症状が現れたら、RSウイルス感染症の可能性を疑い、医療機関を受診するようにしてください。
特に、呼吸困難や息苦しさ、胸の痛み、意識障害などがみられた場合は、重症化している可能性が高いため、すぐに医療機関を受診することが重要です。
高齢者が注意すべき併存疾患
高齢者は、RSウイルス感染症によって重症化するリスクが高いだけでなく、併存疾患がある場合はさらに注意が必要です。特にCOPD、喘息、心疾患、糖尿病などの疾患を持つ方は、RSウイルス感染症に罹患すると症状が悪化しやすく、入院が必要となるケースも少なくありません。
例えば、COPDの方は、普段から呼吸機能が低下しているため、RSウイルス感染症に罹患すると、さらに呼吸困難が悪化し、肺炎を併発するリスクも高まります。
喘息の方も、RSウイルス感染症によって喘息発作が誘発され、呼吸状態が悪化する可能性があります。
これらの併存疾患をお持ちの高齢者の方は、普段から健康管理に気を配り、RSウイルス感染症の予防に努めることが大切です。また、感染が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。2024年に発表された研究では、RSウイルスワクチンを1回接種することで、2シーズンにわたってRSウイルス関連下気道疾患の発症リスクを約67%減少させる効果が確認されました。高齢者の方にとって、ワクチン接種は重症化を防ぐための有効な手段と言えるでしょう。
アレックスビー(AREXVY)ワクチンの効果と安全性
RSウイルス感染症は、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で発症するありふれた感染症ですが、特に高齢者や基礎疾患のある方にとっては、重症化のリスクが高い危険な感染症です。
50代になると、免疫力は徐々に低下し始め、若い頃よりも感染症にかかりやすくなります。さらに、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も発症しやすくなる年代であり、これらの基礎疾患はRSウイルス感染症の重症化リスクをさらに高めます。
RSウイルス感染症を甘く見てはいけません。重症化すると肺炎や気管支炎を引き起こし、入院が必要になるケースもあります。
そこで、重症化予防の切り札として期待されているのが、RSウイルスワクチン「アレックスビー(AREXVY)」です。当クリニックでは、内科全般の診療に加え、内視鏡専門医として消化器系の疾患にも精通しております。健康に関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
アレックスビーのワクチン接種における効果と有効率
アレックスビーは、2023年に承認されたばかりの新しいワクチンです。60歳以上の高齢者を対象とした大規模な臨床試験では、RSウイルスに関連する下気道疾患の発症リスクを約83%減少させることが示されました。これは、1,000人中約6人が発症するところを、ワクチン接種によって1人にまで減らせるということです。
さらに、重症化リスクについても、約94%の減少効果が確認されています。つまり、100人中約10人が重症化するところを、ワクチン接種で1人未満に抑えられる可能性があるのです。
また、2024年に発表された別の研究では、アレックスビーを1回接種するだけで、2シーズンにわたって効果が持続することが明らかになりました。2シーズンにわたる有効性は、発症リスクの減少が約67%、重症化リスクの減少が約79%と、依然として高い数値を維持しています。
副作用とリスクを理解する
アレックスビーは、多くの臨床試験で安全性が確認されています。しかし、他のワクチンと同様に、接種後に副反応が現れる可能性はあります。主な副反応としては、注射部位の痛み、赤み、腫れなどがあります。その他、倦怠感や頭痛、筋肉痛などが現れる方もいます。
これらの副反応は、通常は軽度で一時的なものです。数日以内に自然に治まることがほとんどですので、過度に心配する必要はありません。ただし、症状が長く続く場合や、気になる症状が現れた場合は、速やかに医師に相談してください。
まれではありますが、アナフィラキシーのような重いアレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。過去にアレックスビーの成分や他のワクチンでアレルギー反応を起こしたことがある方は、接種前に必ず医師に相談するようにしてください。
予防接種後の経過観察と注意点
アレックスビー接種後は、数日間は体調の変化に注意を払いましょう。副反応として発熱や倦怠感などが現れる場合もありますので、無理せず安静にすることが大切です。激しい運動や長時間の入浴は避け、十分な休息と水分補給を心がけてください。
接種後すぐに激しい運動をすると、注射部位の痛みや腫れが悪化する可能性がありますので、控えるようにしてください。通常、副反応は数日で治まりますが、症状が改善しない場合や、新たな症状が現れた場合は、ためらわずに医療機関に相談してください。
当クリニックは、地下鉄原駅より徒歩2分、提携駐車場も完備しています。風邪症状や生活習慣病の管理はもちろんのこと、内視鏡検査や美容医療まで、幅広く対応しております。RSウイルスワクチン接種後の経過観察やご相談にも対応しておりますので、ご不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
RSウイルスワクチン接種の具体的な手続き
RSウイルスワクチン接種は、意外にシンプルな手続きで完了します。当クリニックのように、地域のかかりつけ医で接種できるケースも増えてきていますので、まずはお気軽にご相談ください。ワクチン接種によってRSウイルス感染症の重症化リスクを減らし、より安心して日常生活を送れるようサポートいたします。当クリニックは、内科全般を診療しており、風邪症状や生活習慣病の管理にも対応しております。内視鏡専門医として、消化器系の疾患にも精通しておりますので、総合的な視点から皆様の健康をサポートさせていただきます。お気軽にご相談ください。
接種可能な医療機関の検索方法
RSウイルスワクチン「アレックスビー(AREXVY)」を接種できる医療機関を探す方法はいくつかあります。ご自身に合った方法で探してみてください。
- インターネットで検索する
自治体や医療機関の情報サイトで、ワクチン接種可能な医療機関を検索できます。「RSウイルスワクチン 接種 名古屋市」のように、ワクチン名と地域名で検索すると絞り込みやすくなります。
- 自治体に問い合わせる
お住まいの自治体の保健所や相談窓口に電話で問い合わせる方法も有効です。直接担当者に質問できるので、インターネットでの検索が難しい方にもおすすめです。
- かかりつけ医に相談する
普段からお世話になっているかかりつけ医があれば、まずは相談してみましょう。当クリニックのように、内科全般を診療しているクリニックでもRSウイルスワクチン接種に対応している場合があります。かかりつけ医であれば、あなたの健康状態や持病を把握しているので、より適切なアドバイスを受けられます。
予約方法と必要事項
RSウイルスワクチンを接種するには、事前の予約が必要です。予約方法は医療機関によって異なりますが、電話やウェブサイトから予約できる場合が多いです。予約時に必要な情報は、氏名、生年月日、連絡先、健康保険証の情報などです。
接種当日は、健康保険証、診察券(お持ちの方)、予診票をご持参ください。予診票は、医療機関のウェブサイトからダウンロードできる場合もありますので、事前に記入しておくと当日の手続きがスムーズです。肩を出しやすい服装で来院すると、接種もスムーズに行えます。
接種後は、15~30分ほど院内で待機し、体調に変化がないかを確認します。万が一、体調に異変を感じた場合は、すぐにスタッフにお知らせください。
費用と保険の適用についての注意点
2024年8月現在、RSウイルスワクチン「アレックスビー(AREXVY)」は公費助成の対象ではなく、自費診療となります。費用は医療機関によって異なりますが、
当院では1回あたり
33000円(税込)です。
妊娠中の女性へのワクチン接種は、生まれた乳児のRSウイルス関連下気道疾患のリスクを低減する可能性が示唆されています。しかし、一方で早産のリスク増加との関連性も懸念されている研究結果も存在します。現時点では、早産や新生児死亡のリスク増加とワクチンとの因果関係は明確に証明されていませんが、現在も研究が進められています。
また、妊娠中に別の種類のRSウイルスワクチン(2価プレファージョンFワクチン)を接種することで、乳幼児における重症RSウイルス関連下気道疾患による医療機関への受診を予防する効果が確認されています。安全性についても問題は確認されていません。
費用や助成制度、ワクチンの種類、妊娠中の接種に関する安全性など、最新の情報は厚生労働省や自治体のウェブサイト、または接種を希望する医療機関に直接お問い合わせください。医師とよく相談した上で、ワクチン接種を受けるかどうかを判断することが大切です。
まとめ
50歳を過ぎると、免疫力の低下や生活習慣病などにより、RSウイルス感染症の重症化リスクが高まります。風邪と間違えやすいRSウイルス感染症は、肺炎や気管支炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性も。
しかし、重症化予防に効果的なのが、RSウイルスワクチン「アレックスビー(AREXVY)」です。臨床試験では、発症リスクを大幅に減らし、重症化も抑える効果が確認されています。
50代の方も、近い将来ワクチン接種が可能になる可能性があります。健康への不安がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、最新情報を確認しましょう。 早期の対応が、健康で安心できる生活を送るために大切です。 当クリニックでは、内科全般、内視鏡検査、そして健康に関するご相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。
全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和7年4月21日
天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
参考文献
- Dieussaert I, Hyung Kim J, Luik S, Seidl C, Pu W, Stegmann JU, Swamy GK, Webster P and Dormitzer PR. “RSV Prefusion F Protein-Based Maternal Vaccine – Preterm Birth and Other Outcomes.” The New England journal of medicine 390, no. 11 (2024): 1009-1021.
- Papi A, Ison MG, Langley JM, Lee DG, Leroux-Roels I, Martinon-Torres F, Schwarz TF, van Zyl-Smit RN, Campora L, Dezutter N, de Schrevel N, Fissette L, David MP, Van der Wielen M, Kostanyan L, Hulstrøm V and AReSVi-006 Study Group. “Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults.” The New England journal of medicine 388, no. 7 (2023): 595-608.
- Phijffer EW, de Bruin O, Ahmadizar F, Bont LJ, Van der Maas NA, Sturkenboom MC, Wildenbeest JG and Bloemenkamp KW. “Respiratory syncytial virus vaccination during pregnancy for improving infant outcomes.” The Cochrane database of systematic reviews 5, no. 5 (2024): CD015134.
- Kampmann B, Madhi SA, Munjal I, Simões EAF, Pahud BA, Llapur C, Baker J, Pérez Marc G, Radley D, Shittu E, Glanternik J, Snaggs H, Baber J, Zachariah P, Barnabas SL, Fausett M, Adam T, Perreras N, Van Houten MA, Kantele A, Huang LM, Bont LJ, Otsuki T, Vargas SL, Gullam J, Tapiero B, Stein RT, Polack FP, Zar HJ, Staerke NB, Duron Padilla M, Richmond PC, Koury K, Schneider K, Kalinina EV, Cooper D, Jansen KU, Anderson AS, Swanson KA, Gruber WC, Gurtman A and MATISSE Study Group. “Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants.” The New England journal of medicine 388, no. 16 (2023): 1451-1464.
- Ison MG, Papi A, Athan E, Feldman RG, Langley JM, Lee DG, Leroux-Roels I, Martinon-Torres F, Schwarz TF, van Zyl-Smit RN, Verheust C, Dezutter N, Gruselle O, Fissette L, David MP, Kostanyan L, Hulstrøm V, Olivier A, Van der Wielen M, Descamps D and AReSVi-006 Study Group. “Efficacy and Safety of Respiratory Syncytial Virus (RSV) Prefusion F Protein Vaccine (RSVPreF3 OA) in Older Adults Over 2 RSV Seasons.” Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America 78, no. 6 (2024): 1732-1744.
追加情報
[title]: RSV Prefusion F Protein-Based Maternal Vaccine – Preterm Birth and Other Outcomes.
RSVのプレフュージョンFタンパク質ベースの母親用ワクチン-早産およびその他の成果。 【要約】
- 背景
- 妊娠中のRSV(呼吸性細胞垂直感染症ウイルス)のワクチン接種は、乳児のRSV疾患を予防するかもしれない。
- プレフュージョンFタンパク質ベースの母親用ワクチン(RSVPreF3-Mat)の有効性と安全性のデータが必要。
- 方法
- 妊婦を対象にした第3相試験を実施。
- 妊婦は、妊娠24週0日から妊娠34週0日の間にRSVPreF3-Matまたはプラセボを2:1の割合で無作為に割り当てられた。
- 主要アウトカムは、乳児の生後から6か月までの期間における医学的評価に基づくRSV関連の下気道疾患(いずれかまたは重症)および乳児の生後から12か月までの期間における安全性。
- ワクチン群での早産のリスクがプラセボ群よりも高かったため、募集およびワクチン接種は早期に停止され、早産の安全性信号の探索的分析が行われた。
- 結果
- 分析対象は5328人の妊婦と5233人の乳児。
- 目標募集数の約10,000人の妊婦と乳児には達しなかった。
- ワクチン群の乳児3426人とプラセボ群の乳児1711人が生後から6か月まで追跡。
- いずれかの医学的評価に基づくRSV関連の下気道疾患を発症した乳児は、ワクチン群が16人、プラセボ群が24人であり、ワクチンの有効性は65.5%。
- 重症の医学的評価に基づくRSV関連の下気道疾患を発症した乳児は、ワクチン群が8人、プラセボ群が14人であり、ワクチンの有効性は69.0%。
- ワクチン群では6.8%の乳児(3494人中237人)が早産し、プラセボ群では4.9%の乳児(1739人中86人)が早産(相対リスク1.37)。
- 新生児死亡はワクチン群で0.4%(3494人中13人)、プラセボ群で0.2%(1739人中3人)であり、早産の割合がワクチン群で高かったために不均衡が見られた(相対リスク2.16)。
- その他の安全性信号は観察されなかった。
- 結論
- 安全性の懸念により募集が早期に停止されたこの試験の結果、候補の母親用RSVワクチンはプラセボよりも乳児における医学的評価に基づくRSV関連の下気道疾患のリスクは低かったが、早産のリスクは高かった。
- (GlaxoSmithKline Biologicalsによる資金提供、ClinicalTrials.gov番号、NCT04605159。)
- (c)2024 Massachusetts Medical Society. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38477988
[quote_source]: Dieussaert I, Hyung Kim J, Luik S, Seidl C, Pu W, Stegmann JU, Swamy GK, Webster P and Dormitzer PR. “RSV Prefusion F Protein-Based Maternal Vaccine – Preterm Birth and Other Outcomes.” The New England journal of medicine 390, no. 11 (2024): 1009-1021.
[title]: Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults.
【要約】
- 60歳以上の成人24,966人を対象とした国際的な第3相プラセボ対照試験において、AS01Eアジュバント添加RSVプレフュージョンFタンパク質ワクチン(RSVPreF3 OA)の単回投与の有効性が評価された。
- 主要評価項目は、RSVシーズン中のRT-PCRで確認されたRSV関連下気道疾患に対するワクチンの有効性であった。
- RSVPreF3 OAワクチン単回投与によるRT-PCRで確認されたRSV関連下気道疾患に対するワクチン有効率は82.6%(95%信頼区間:57.9~94.1%)であった。プラセボ群では1000参加者年あたり5.8件に対し、ワクチン群では1.0件であった。
- 重症RSV関連下気道疾患に対する有効率は94.1%(95%信頼区間:62.4~99.9%)、RSV関連急性呼吸器感染症に対する有効率は71.7%(95%信頼区間:56.2~82.3%)であった。
- RSV A型およびB型サブタイプ間で有効性に差は認められなかった。様々な年齢層や併存疾患のある参加者においても高い有効性が確認された。
- ワクチンはプラセボより反応原性が高かったものの、報告された有害事象の大部分は一過性で軽度から中等度であった。重篤な有害事象や潜在的な免疫介在性疾患の発生率は両群で同等であった。
- 結論として、RSVPreF3 OAワクチン単回投与は許容できる安全性を示し、RSVサブタイプや基礎疾患の有無に関わらず、60歳以上の成人におけるRSV関連急性呼吸器感染症および下気道疾患、ならびに重症RSV関連下気道疾患を予防した。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36791160
[quote_source]: Papi A, Ison MG, Langley JM, Lee DG, Leroux-Roels I, Martinon-Torres F, Schwarz TF, van Zyl-Smit RN, Campora L, Dezutter N, de Schrevel N, Fissette L, David MP, Van der Wielen M, Kostanyan L, Hulstrøm V and AReSVi-006 Study Group. “Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults.” The New England journal of medicine 388, no. 7 (2023): 595-608.
[title]: Respiratory syncytial virus vaccination during pregnancy for improving infant outcomes.
妊娠中のRSVワクチン接種による乳児の病状改善 【要約】
- 背景: RSV(Respiratory syncytial virus)は乳児の下気道感染の主要な原因であり、妊娠中のRSVワクチン接種は乳児の病状負担を軽減する予防策として注目されています。
- 目的: 乳児のRSV病を予防するための妊娠中のRSVワクチン接種の有効性と安全性を評価すること。
- 方法: 2022年10月21日にCochrane Pregnancy and Childbirth’s Trials Registerと他の2つの試験登録簿を検索しました。2023年7月27日にはMEDLINE、Embase、CENTRAL、CINAHL、他の2つの試験登録簿を検索しました。さらに、検索した研究の参考文献リストと学会発表の内容も調査しました。
- 選択基準: 年齢を問わず、妊娠中の女性を対象に、妊娠中のRSVワクチン接種とプラセボまたは無介入を比較したランダム化比較試験(RCT)を含めました。主要アウトカムは乳児の臨床的または病院で確認されたRSV疾患による入院です。
- 結果: 17,991人の妊婦を含む6つのRCT(25の研究報告)を分析しました。ワクチンは4つの研究ではRSV pre-Fタンパクワクチン、2つの研究ではRSV Fタンパクナノ粒子ワクチンでした。すべての研究でプラセボ(塩水、製剤バッファ、無菌水)と比較されました。妊娠中のRSVワクチン接種は、実験室で確認されたRSV疾患による乳児の入院を減少させます(リスク比(RR)0.50、95%信頼区間(CI)0.31〜0.82、4つのRCT、12,216人の乳児、高い品質の証拠)。プラセボ群での乳児の入院リスクは1000人あたり22件であるため、ワクチン接種を受けた妊婦からの乳児については1000人あたり11件の入院減少となります(15件減少から4件減少)。 【出典】 The Cochrane Collaboration. Published by John Wiley & Sons, Ltd. 2024に著作権があります。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38695784
[quote_source]: Phijffer EW, de Bruin O, Ahmadizar F, Bont LJ, Van der Maas NA, Sturkenboom MC, Wildenbeest JG and Bloemenkamp KW. “Respiratory syncytial virus vaccination during pregnancy for improving infant outcomes.” The Cochrane database of systematic reviews 5, no. 5 (2024): CD015134.
[title]:
妊娠中の2価プレファージョンFワクチンによるRSV感染症予防の有効性 【要約】
- 背景: 妊娠中のワクチン接種が新生児や乳幼児のRSV(呼吸器合胞体ウイルス)関連下気道疾患の負荷を軽減することができるかどうかは不確定である。
- 方法: 18か国で実施された第3相二重盲検試験において24〜36週の妊婦を対象にワクチン群とプラセボ群に1:1で無作為に割り付けた。二次評価をもとにした主評価事項は、出生後90・120・150・180日以内に評価された医療機関受診による重症RSV関連下気道疾患と乳幼児における咳喘息・気管支炎等のRSV関連下気道疾患である。ワクチン効力が主評価項目に関して20%を上回る場合は成功規準である(90日で99.5%信頼区間[CI]; それ以降の期間では97.58% CI)。
- 結果: この中間解析において、1つの主要評価点に関してワクチン効力の成功規準が達成された。3682人の妊婦がワクチンを受け取り、3676人がプラセボを受け取った。評価された乳幼児は、それぞれ3570人と3558人であった。ワクチン群の妊婦の乳幼児6人とプラセボ群の乳幼児33人で、出生後90日以内に重症下気道疾患が発生した(ワクチン効力81.8%、99.5% CI 40.6〜96.3); それぞれ19人と62人で、出生後180日以内に発生した(ワクチン効力69.4%、97.58% CI 44.3〜84.1)。咳喘息・気管支炎等のRSV関連下気道疾患に関しては、出生後90日以内にワクチン群の乳幼児24人とプラセボ群の乳幼児56人に発生した(ワクチン効力57.1%、99.5% CI 14.7〜79.8); この結果は統計的成功規準を満たさなかった。母体または24か月以下の乳幼児における有害事象の発生率は、ワクチン群(女性の13.8%、乳幼児の37.1%)とプラセボ群(女性の13.1%、乳幼児の34.5%)で類似していた。
- 結論: 妊娠中にRSVpreFワクチンを接種することで、乳幼児の医療機関受診を必要とする重症RSV関連下気道疾患を予防することができ、安全性にも問題がなかった。【Pfizerの支援; MATISSE ClinicalTrials.gov番号、NCT04424316参照】 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37018474
[quote_source]: Kampmann B, Madhi SA, Munjal I, Simões EAF, Pahud BA, Llapur C, Baker J, Pérez Marc G, Radley D, Shittu E, Glanternik J, Snaggs H, Baber J, Zachariah P, Barnabas SL, Fausett M, Adam T, Perreras N, Van Houten MA, Kantele A, Huang LM, Bont LJ, Otsuki T, Vargas SL, Gullam J, Tapiero B, Stein RT, Polack FP, Zar HJ, Staerke NB, Duron Padilla M, Richmond PC, Koury K, Schneider K, Kalinina EV, Cooper D, Jansen KU, Anderson AS, Swanson KA, Gruber WC, Gurtman A and MATISSE Study Group. “Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants.” The New England journal of medicine 388, no. 16 (2023): 1451-1464.
[title]: Efficacy and Safety of Respiratory Syncytial Virus (RSV) Prefusion F Protein Vaccine (RSVPreF3 OA) in Older Adults Over 2 RSV Seasons.
2シーズンにわたる高齢者を対象としたRSV予防ワクチンの効果と安全性の評価 【要約】
- 背景: RSV予防のためのアジュバンテッドRSVプレフュージョンFタンパク質ベースのワクチン (RSVPreF3 OA) が、1シーズンにわたるRSV関連の下気道疾患 (RSV-LRTD) に対して60歳以上の患者で有効であることが示されている。本研究では、1回のRSVPreF3 OA投与と1年後の2回目の投与 (RSV_revaccination群)、または1回の投与のみ (RSV_1dose群) に対するRSV-LRTDの効果と安全性を2シーズンにわたって評価した。
- 方法: この第3フェーズの二重盲検試験では、60歳以上の患者を対象に、RSVPreF3 OAまたはプラセボを1シーズン前にランダムに投与した。RSVPreF3 OA投与者は、2シーズン目の前にRSVPreF3 OAとプラセボのいずれかを再度ランダムに投与された。1シーズン目にプラセボを受けた参加者も2シーズン目にはプラセボを受けた。RSV-LRTDに対する両ワクチン投与スケジュールの効果は2シーズンを組み合わせて評価された。
- 結果: 効果の解析は24,967人の参加者 (RSV_1dose: 6,227人、RSV_revaccination: 6,242人、プラセボ: 12,498人) を含んだ。中央値の効果追跡は17.8か月であった。1回のRSVPreF3 OA投与による2シーズンの効果は、RSV-LRTDに対して67.2% (97.5% CI: 48.2-80.0%)、重症RSV-LRTDに対して78.8% (95% CI: 52.6-92.0%) であった。1回の投与に続く再投与による2シーズンの効果は、RSV-LRTDに対して67.1% (97.5% CI: 48.1-80.0%)、重症RSV-LRTDに対して78.8% (95% CI: 52.5-92.0%) であった。再投与の副反応/安全性は、1回目の投与と同様であった。
- 結論: RSVPreF3 OAの1回の投与は、60歳以上の患者において2シーズンにわたってRSV-LRTDに対して有効であることが示された。しかし、全体の研究人口においては、1回目の投与後1年経過しても再投与は追加の効果をもたらさないようである。
- 臨床試験登録番号: ClinicalTrials.gov: NCT04886596.
- 著作権情報: © The Author(s) 2024. Published by Oxford University Press on behalf of Infectious Diseases Society of America.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38253338
[quote_source]: Ison MG, Papi A, Athan E, Feldman RG, Langley JM, Lee DG, Leroux-Roels I, Martinon-Torres F, Schwarz TF, van Zyl-Smit RN, Verheust C, Dezutter N, Gruselle O, Fissette L, David MP, Kostanyan L, Hulstrøm V, Olivier A, Van der Wielen M, Descamps D and AReSVi-006 Study Group. “Efficacy and Safety of Respiratory Syncytial Virus (RSV) Prefusion F Protein Vaccine (RSVPreF3 OA) in Older Adults Over 2 RSV Seasons.” Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America 78, no. 6 (2024): 1732-1744.