みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
今回も専門医がお答えシリーズ大腸編「炎症性腸疾患について」になります。
と、その前に・・・
名古屋市天白区の内科、消化器内科、消化器内視鏡、胃カメラ、大腸カメラ、コロナの検査、コロナワクチン、日帰り大腸ポリープ切除といえば天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。
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暇つぶしによろしければお聞きください。
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炎症性腸疾患(IBD)とは?
炎症性腸疾患はinflammatory bowel disease(IBD)と呼ばれ、主に潰瘍性大腸炎とクローン病のふたつが代表的です。残念ながら一度罹患すると長期にわたって病気と付き合わなければなりません。そのなかでも状態が悪い時期(活動期)と比較的落ち着いている時期(寛解期)があります。最近では遺伝子学的や腸内細菌叢の異常などの要因をもとに免疫異常が起こり発症するのではないかとして研究が進んできており、むしろ先進国に多い病気のため衛生環境などよりも食の欧米化などが関連している可能性があります。
IBDの有病率は?
日本では平成以降に急激に患者が増加しており、潰瘍性大腸炎で約20万人、クローン病で7万人を超える患者さんがおり、若い人に起こりやすいのも特徴です。厚生労働省の指定する難病で国による医療費の補助などが積極的に行われています。難病という括りのなかでも比較的患者の多い疾患といえます。
IBDの原因は?
確実な解明はできておりませんが、むしろ先進国に多いため衛生環境の悪さなどは原因となっておりません。その点はヘリコバクターピロリ菌などと違う点でしょうか。遺伝子異常、環境要因、腸内細菌叢の異常などを背景に、免疫システムの異常が起こることで発症すると考えられています。特に日本人においては昔と比べると生活習慣が変わってきており、欧米的な食生活などがなんらかの機序で免疫システムに異常をきたすことで発症することが考えられます。
IBDの症状は?
代表的な症状は血便で、特に潰瘍性大腸炎の患者さんには多いです。クローン病では下痢や腹痛の他に、肛門に炎症がおこるのが特徴的です。
しかし潰瘍性大腸炎の約半数、クローン病は85%以上が血便を認めず、原因のわからない下痢や腹痛、体重減少や微熱が続くことなど、あまり特徴的な症状に乏しいことが挙げられます。血便が出るような人は医療機関に受診することが多いと思いますが、下痢や体重減少などでは確実に病院に受診したほうがいいか悩むこともあるでしょう。そのため大したことないと思っても早めに医療機関、特に大腸カメラなどがすぐできるところに相談する必要があります。
IBDの診断は?
医師による診察でIBDをはじめとする大腸に関わる疾患が疑われた場合は、やはり大腸カメラが必要になってきます。大腸カメラでは腸粘膜が剥がれて潰瘍になっていないか、出血やむくみの状態はどうかなどを映像で確認し、必要に応じて腸の組織を採取し顕微鏡での検査を行います。大腸カメラは診断と炎症の状態を確認するのに必須の検査といえます。潰瘍性大腸炎の場合は大腸カメラで診断や治療につながる情報が得られますが、クローン病の場合は必ずしも大腸カメラだけではわからないことがあるので小腸も観察できる特殊な内視鏡を用いることもあります。さらに膿瘍などが疑われた場合にはCTやMRIで追加の検査が必要になります。いずれにしてもIBDの診断には大腸カメラが欠かせないことになっています。また、IBD以外にも下痢や腹痛をきたす疾患はたくさんあります。そのためIBDの診断には専門医が大腸カメラを用いて慎重に行う必要があります。
【大事なこと】
最近では胃カメラから洗腸剤を投入する、下剤を飲まない大腸カメラを売りにしているクリニックが散在しますが、当院は対応しておりません。理由として、いいブログを発見したのでご紹介させていただきます。
かくたに内視鏡消化器内科クリニック 角谷宏先生
→危険!警告!不正!下剤を飲まない大腸内視鏡検査
IBDの治療
一度IBDと診断されてしまった場合は、長期的な薬の服用や定期的な大腸カメラで慎重に経過を見ていく必要があります。また残念ながら将来的な発癌の可能性もありますので十分に気をつけなければなりません。
IBDの治療方針は、潰瘍性大腸炎とクローン病でもちろん異なりますが、共通して言えることは重症度、炎症の範囲、活動的なのかそれとも落ち着いているのかによって様々な病状の区分があり、それぞれにあわせた免疫機能を抑制や調整する治療薬の選択を行いますので非常に複雑な治療と言えます。そのため最初に出された薬をずっと飲み続ければいいのではなく、その後の変化に合わせて専門医が微調整を加えていかなければなりません。また薬の種類も近年格段に増えており、それぞれの使い分けも患者さん一人一人にあわせて変えていかなければなりませんので、このような微調整には知識と経験が必要になります。またいずれの薬も一定以上の副作用がありますので安易な導入や変更はリスクが伴います。残念ながら薬での内科的治療がうまくいかない場合や大腸に穴が空いてしまう穿孔や大腸からの出血などがコントロールできない患者さんは外科手術で大腸を摘出せざるを得ないケースがあります。このようなケースではすぐに高度医療機関に紹介する必要があります。外科手術も癌の手術より複雑になることがあり、より熟練した医療機関である必要があるため、当院では各大学病院と協力しながら患者さんの状態にあわせて対応をしております。このように非常に複雑で時間経過による変化も非常に大切ですから、結果的に継続的な大腸カメラを行う必要性が出てきます。大腸カメラはどんなに上手な人がやってもある程度痛みや不快感を生じてしまいますので当院では積極的に鎮静薬などを用いて患者さんの負担を減らす工夫をしています。
専門医から皆様へ
大腸カメラを得意とする当院のIBD治療について
当院ではやはり患者さんに負担の少ない大腸カメラを消化器内視鏡専門医がスムーズに実施できます。非常に苦痛などの負担を伴う大腸カメラを最先端の機械を使いながら痛みや不快感を抑え、さらに希望があれば鎮静薬を用いて眠っている間に施行することもできます。
非常に複雑な診断や病期の推定から薬を選んだり適切な治療をしていく必要があります。そのために何回も行わなければならない大腸カメラの負担を軽減することが使命と思っております。
全ては患者さんの「検査しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和3年10月6日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医
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