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喘息といえば呼吸器内科ですね。どのようなタイミングで専門医に診てもらうのがいいですか?

息苦しさ、咳、胸の締め付け…、これらの症状に悩まされていませんか? もしかしたら、それは喘息のサインかもしれません。日本では、喘息の患者数は増加傾向にあり、小児から成人まで幅広い年齢層で発症する身近な病気となっています。 実は、風邪と勘違いして放置してしまうケースも多く、適切な治療が遅れてしまうことも少なくありません。このコラムでは、喘息の症状や原因、そして最新の診断方法と治療法まで、具体的な症例を交えながら分かりやすく解説します。喘息を正しく理解し、適切な治療を受けることで、快適な日常生活を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。

【この記事の著者のご紹介】
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内視鏡といえば天白橋。内科もやっぱり天白橋。天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。

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喘息の症状と原因を知る3つのポイント

誰でも、急に息苦しくなったり、咳が止まらなくなったりしたら、とても不安になりますよね。もしかしたら喘息かも…と心配になる方もいるかもしれません。

この章では、喘息の症状や原因、そして重症度について、お子さんにもわかりやすく説明します。喘息は、慢性的な下気道の炎症によって引き起こされる病気であり、この炎症は上気道にも関連していることがあります。つまり、鼻炎持ちの方は喘息にもなりやすいということです。きちんと治療すれば、日常生活にほとんど支障なく過ごすことができる病気です。まずは、喘息について正しく理解することから始めてみましょう。

喘息の代表的な症状

喘息の代表的な症状は、まるで笛を吹くように「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音がする呼吸(喘鳴)です。これは、気管支という空気の通り道が狭くなってしまうために起こります。まるで、ストローをギュッとつぶして息を吸おうとしているような状態です。私は診察の際、聴診器でこの音を注意深く聞いています。

その他にも、咳が続いたり、胸が締め付けられるように苦しくなったりすることもあります。特に、夜寝ているときや、朝起きたときに咳が出やすいという場合は、喘息の可能性が高いでしょう。風邪をひいた後などに咳が長引く場合も、喘息が隠れているかもしれません。

例えば、5歳の男の子が夜中に咳き込んで眠れないとします。お母さんは風邪だと思って様子を見ていましたが、咳は一向に治まりません。日中は比較的元気なのですが、夜になると決まって咳き込むのです。これは小児喘息の典型的な症状です。

また、30代の女性が、ジョギングを始めたら息苦しくなり、「ゼーゼー」という音がするようになったとします。これは運動誘発性喘息の可能性があります。運動によって気管支が刺激され、収縮することで呼吸困難が起こるのです。

症状 具体的なイメージ 臨床現場での確認ポイント
喘鳴(ぜんめい) 笛を吹くような「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音 聴診器で呼吸音を聴診し、喘鳴の有無や程度を確認します。
特に夜間や早朝にひどくなる 咳の頻度、持続時間、性質(乾性咳嗽か湿性咳嗽か)などを問診します。
胸の締め付け 胸がぎゅーっと苦しくなる感じ 患者さんの訴えをよく聞き、痛みの部位や程度を確認します。
呼吸困難 息苦しさを感じる 呼吸数、呼吸の深さ、チアノーゼの有無などを観察します。

これらの症状は、常に出ているとは限りません。風邪をひいたときや、運動をした後、ハウスダストや花粉が多い場所に行った後などに症状が出やすくなります。

喘息を引き起こす原因

喘息の原因は多様であり、完全に解明されていない遺伝子と環境の相互作用が関与していると考えられています。大きく分けると「アレルギー性の喘息」と「非アレルギー性の喘息」の2つのタイプがありますが、実際には両者が複雑に絡み合っているケースも多いです。

アレルギー性の喘息は、ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛など、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)によって症状が現れます。たとえば、ダニがたくさんいる布団で寝たり、花粉が飛んでいる時期に外で遊んだりすると、喘息発作が起きやすくなります。アレルギー性の喘息は、遺伝的要因も影響しており、ご両親がアレルギー体質の場合、お子さんもアレルギー性の喘息になりやすい傾向があります。

非アレルギー性の喘息は、風邪などのウイルス感染や、タバコの煙、冷たい空気、激しい運動、ストレスなどが原因で起こります。例えば、普段は症状がないのに、風邪をひいた後だけ咳や喘鳴が出始めるというケースは、ウイルス感染が喘息の引き金になっていると考えられます。

原因の種類 具体的な例 臨床現場での確認ポイント
アレルギー性 ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛、カビなど アレルギー検査(血液検査や皮膚テスト)を実施し、アレルゲンを特定します。
非アレルギー性 ウイルス感染、タバコの煙、冷たい空気、運動、ストレスなど 症状出現のきっかけや状況、生活習慣などを詳しく問診します。

喘息の重症度分類

喘息の症状の重さには個人差があり、症状が軽い人もいれば、重い人もいます。症状が軽いからといって放置すれば重症化のリスクがあります。適切な治療のためにも、早期発見・早期治療が大切です。

喘息の重症度は、症状の頻度や強さ、治療への反応などによって、いくつかの段階に分類されます。この分類は、治療方針を決める上で重要な指標となります。

重症度 症状の頻度 症状の強さ 臨床現場での評価
間欠型 時々症状が出る 軽い 症状が週に2回未満で、夜間の発作も月に2回未満の場合
軽症持続型 週に数回症状が出る 中等度 症状が週に2回以上で、夜間の発作が月に3~4回の場合
中等症持続型 毎日症状が出る 強い 毎日症状があり、夜間の発作も頻繁に起こる場合
重症持続型 常に症状が出ている 非常に強い 常に症状があり、日常生活に大きな支障が出ている場合

重症度によって、適切な治療法が異なります。医師は、患者さんの症状や検査結果などを総合的に判断して、重症度を決定し、治療方針を立てます。

喘息の診断と治療法4つのポイント

息を吸うたびにゼーゼー、ヒューヒューと音がする、咳が止まらない、胸が締め付けられるように苦しい…。これらの症状は、喘息の可能性を示唆しています。喘息は、気管支という空気の通り道が炎症を起こして狭くなり、呼吸困難を引き起こす病気です。適切な診断と治療を受けなければ、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。この章では、喘息の診断と治療法について、4つのポイントに絞って詳しく解説します。

喘息の診断方法

喘息の診断は、患者さんとの対話から始まります。「いつから症状が出始めたのか」「どのような時に症状が悪化するのか」「家族にアレルギー疾患を持つ人はいるか」など、些細なことでもお伝えいただくことが重要です。例えば、私は診察の際、「家の中にペットを飼っていますか?」「家の近くに工場や交通量の多い道路はありますか?」といった質問もしています。一見関係ないように思える情報も、診断の手がかりになることがあるからです。

次に、聴診器を用いて呼吸音を聴診します。喘息の特徴的な音である喘鳴(ぜんめい)の有無や程度を確認します。喘鳴は、空気の通り道である気管支が狭くなっているため、空気が通り抜ける際にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が発生する現象です。私は、この音を注意深く聞き分け、喘息の可能性を探ります。

身体診察に加えて、肺の機能を調べる検査も重要です。代表的な検査としてスパイロメトリーがあります。この検査では、思いっきり息を吸い込み、その後一気に息を吐き出すことで、肺活量や1秒量(1秒間に吐き出せる空気の量)などを測定します。これらの数値から、気管支の狭窄の程度を客観的に評価することができます。また、ピークフローメーターという簡易的な機器を用いて、自宅で定期的に肺活量を測定していただくこともあります。毎日の記録をつけることで、症状の変化を把握し、治療効果を判断するのに役立ちます。

さらに、アレルギーが喘息の原因となっている可能性を調べるために、血液検査でアレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定することもあります。ダニ、ハウスダスト、花粉など、様々なアレルゲンに対するアレルギー反応の有無を調べます。また、胸部レントゲン検査を行い、肺炎などの他の呼吸器疾患を除外することもあります。これらの検査結果を総合的に判断することで、正確な診断に繋げます。

喘息の治療方針

喘息の治療は、症状の重症度、発作の頻度、治療への反応性などを考慮し、患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療計画を立てます。画一的な治療ではなく、患者さんのライフスタイルやご希望も尊重しながら、最適な治療法を選択します。

治療の目標は、喘息の症状をコントロールし、日常生活に支障がないようにすることです。さらに、発作を予防し、肺の機能を維持・改善することも目指します。治療には、薬物療法と非薬物療法があり、これらの治療法を組み合わせることで、より効果的な治療を提供します。

薬物療法(吸入薬、内服薬など)

喘息の薬物療法で最も一般的に使用されるのが吸入薬です。吸入薬は、気管支に直接薬を届けることができるため、効果が高く、副作用が少ないという利点があります。吸入薬には、発作を鎮めるための薬と、発作を予防するための薬があり、症状に合わせて使い分けます。

吸入ステロイド薬は、気管支の炎症を抑える薬です。喘息は慢性的な炎症性疾患であるため、炎症を抑えることが喘息治療の重要な柱となります。β2刺激薬は、気管支を広げる薬で、発作時の呼吸困難を速やかに緩和する効果があります。

吸入薬には、粉末状の薬剤を吸入するドライパウダー吸入器や、霧状の薬剤を吸入するネブライザーなど、様々な種類があります。患者さんの年齢や症状、ライフスタイルに合わせて、最適な吸入器を選択します。吸入薬以外にも、飲み薬や注射薬を使用する場合もあります。

非薬物療法(生活指導、環境整備など)

喘息の症状を悪化させる原因を特定し、それを避けるように指導します。ダニやハウスダスト、花粉などが原因となっている場合は、こまめな掃除や換気を心がけ、空気清浄機を使用することも有効です。アレルギーの原因となるペットを飼っている場合は、寝室へのペットの出入りを制限する、もしくは飼育を控えるなどの対策が必要となることもあります。

タバコの煙や大気汚染物質も喘息を悪化させるため、禁煙を推奨します。大気汚染がひどい日は外出を控え、屋内での活動を中心にすることをお勧めします。規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動も喘息の症状改善に効果的です。

適度な運動は心肺機能を高め、喘息の症状を改善する効果が期待できます。ただし、激しい運動は逆に喘息発作を引き起こす可能性があるため、無理のない範囲で行うことが重要です。水泳などのように、呼吸が比較的安定しやすい運動がお勧めです。

喘息は慢性的な病気ですが、適切な治療を行うことで、症状をコントロールし、日常生活を快適に送ることが可能です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

天白橋内科内視鏡クリニックでの喘息治療3つのメリット

息苦しさや咳、胸の締め付けといった喘息の症状は、日常生活に大きな負担をかけるだけでなく、放置すると重篤な発作につながる危険性もあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。天白橋内科内視鏡クリニックでは、患者様一人ひとりに寄り添った丁寧な診療と、最新の知見に基づいたオーダーメイドの治療を提供することで、喘息をコントロールし、快適な日常生活を送れるようサポートいたします。

呼吸器内科の専門医による適切な診断と治療

当クリニックには、呼吸器内科の専門医である提携病院があり、院長が診察に困った際はそちらにご紹介させていただき診察してもらっています。

そのクリニックはこちら→こちら

患者様に合わせたオーダーメイド治療

喘息の治療は、画一的なアプローチではなく、患者様一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療が重要です。症状の重症度、発作の頻度、年齢、生活習慣、治療への希望などを総合的に考慮し、最適な治療計画を立案します。

薬物療法では、吸入ステロイド薬、気管支拡張薬、ロイコトリエン拮抗薬など、様々な薬剤の中から、患者様に最適な種類や量、使用方法を決定します。例えば、症状が軽い場合は、発作時に使用する薬のみでコントロールできる場合もありますが、症状が重い場合は、毎日定期的に薬を使用する必要があります。また、薬剤の種類も、吸入薬、飲み薬、注射など様々であり、患者様の年齢やライフスタイル、病状の進行度合いなどを考慮して選択します。小児喘息の場合、吸薬が難しいお子様もいるため、内服薬やネブライザー治療を選択することもあります。

非薬物療法としては、アレルゲンの除去、禁煙指導、呼吸法の指導なども行います。例えば、ダニが原因と考えられる喘息の患者様には、寝具やカーペットの掃除方法、ダニ対策グッズの使い方などを具体的にアドバイスいたします。また、患者様の日々の記録に基づいて、治療効果の確認や治療計画の見直しを随時行います。

アクセス良好で通いやすい環境

天白橋内科内視鏡クリニックは、名古屋市営地下鉄鶴舞線「原駅」より徒歩2分というアクセス良好な立地にあり、通院の負担を軽減できます。喘息の治療は継続的な通院が必要となるケースが多いため、通いやすい環境は治療の継続に大きく貢献します。継続的に治療を受けることで、症状をコントロールし、発作を予防し、日常生活の質を向上させることができます。喘息は慢性疾患であるため、継続的な管理が重要です。通院しやすい環境は、患者様の治療継続をサポートし、より良い治療効果につながります。

また、当クリニックでは、風邪などの一般的な内科診療や内視鏡検査も行っておりますので、喘息以外の症状でもお気軽にご相談いただけます。何かお困りのことがございましたら、いつでもご相談ください。

まとめ

喘息の症状・原因・重症度、診断・治療法、天白橋内科内視鏡クリニックでの治療メリットについて解説されています。

喘息は、気管支の慢性的な炎症で空気の通り道が狭くなり、呼吸困難を引き起こす病気です。症状は喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー音)、咳、胸の締め付け、呼吸困難など。原因はアレルギー性と非アレルギー性があり、ダニやハウスダスト、花粉、ウイルス感染、タバコの煙、冷たい空気などが挙げられます。重症度は症状の頻度や強さで分類されます。

診断は、問診、聴診、肺機能検査、アレルギー検査などで行います。治療は、症状の重症度や患者さんの状態に合わせたオーダーメイド治療で、薬物療法と非薬物療法を組み合わせます。薬物療法には吸入薬(ステロイド薬、β2刺激薬など)、飲み薬、注射薬などがあります。非薬物療法はアレルゲン除去、禁煙指導、生活指導などです。

天白橋内科内視鏡クリニックでは、喘息専門医による適切な診断・治療、患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療、アクセス良好で通いやすい環境を提供しています。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


 

令和6年11月28日 

天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

 

参考文献

  • Mims JW. “Asthma: definitions and pathophysiology.” International forum of allergy & rhinology 5 Suppl 1, no. (2015): S2-6.

追加情報

[title]: Asthma: definitions and pathophysiology.,

[summary]: ## 【タイトル】 喘息:定義と病態生理

【要約】

  • 喘息は、下気道の慢性炎症を特徴とする一般的な疾患です。
  • 上気道の炎症性疾患を持つ人では、慢性的な下気道の炎症がより多く見られます。
  • 喘息に対する科学的な理解は進歩を続けており、上気道または下気道の炎症を治療する医療従事者にとって、喘息の定義と病態生理を理解することは重要です。
  • 喘息は、診断が不足し治療が不足している、異質な疾患です。
  • 喘息の診断に必要なスキルは容易に習得でき、効果的な治療法も利用可能であるにもかかわらず、喘息の診断と治療は不足しています。
  • 慢性的な鼻腔または副鼻腔の炎症を持つ患者の管理を効率的に行うためには、医療従事者は喘息についての理解が必要です。
  • 本稿では、喘息の定義、可能性のある病因、炎症プロファイル、病態生理、サブタイプ、および重複する疾患について、現在の喘息の概念に焦点を当てて解説します。
  • 喘息は、完全に解明されていない異質な遺伝子と環境の相互作用から生じる慢性炎症性疾患です。
  • 喘息では、気道の閉塞と気管支過敏性に変動が見られます。
  • 臨床的には、喘息患者は、喘鳴、咳、胸の締め付け感、息切れなどの症状を繰り返して経験します。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26335832,

[quote_source]: and Mims JW. “Asthma: definitions and pathophysiology.” International forum of allergy & rhinology 5 Suppl 1, no. (2015): S2-6.