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子宮頚がんワクチンは打った方がいいの?打つ種類は?

あなたは今、子宮頸がんという病名に、漠然とした不安を感じていませんか?

実は、子宮頸がんは早期発見・早期治療で治癒の可能性が高いがんです。20代後半から40代前半の女性に多く、性交渉によるHPV感染が主な原因ですが、HPVに感染しても必ず発症するわけではありません。

早期には自覚症状がほとんどないため、定期的な検診とHPVワクチン接種が重要です。この記事では、子宮頸がんの原因、HPVとの関係、初期症状、そして予防法までを分かりやすく解説します。

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子宮頸がんを正しく理解する3つのポイント

子宮頸がんという病名を耳にすると、不安な気持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。私自身、医師として多くの患者さんを診察する中で、子宮頸がんは早期発見・早期治療によって治る可能性が高いがんということを実感しています。原因や初期症状、進行について正しく理解することで、不安を軽減し、適切な行動につなげることができます。まずは、子宮頸がんについて一緒に学んでいきましょう。

子宮頸がんとはどんな病気?

子宮頸がんは、子宮の入り口部分である子宮頸部にできるがんです。子宮は、赤ちゃんを育てるための臓器で、入り口の部分が子宮頸部、奥の方が子宮体部と呼ばれています。子宮頸がんは、子宮頸部の細胞がHPVウイルス感染などをきっかけとして、がん細胞に変化し、増殖することで発生します。

子宮頸がんは、20代後半から40代前半の女性に多く見られます。これは、性交渉によるHPV感染の機会が増える時期と重なるためだと考えられています。思春期に初交を経験した女性が、数年から数十年後に子宮頸がんを発症するケースを数多く見てきました。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検診が非常に重要です。

子宮頸がんの原因とHPVについて

子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。HPVは、性交渉によって感染するありふれたウイルスで、100種類以上もの型があります。その中で、子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVは約15種類存在し、特にHPV16型と18型は子宮頸がん全体の約70%を占めています。これは、インフルエンザウイルスにも様々な型があるのと同じようなイメージです。

HPVに感染しても、必ず子宮頸がんになるわけではありません。多くの場合、免疫の働きによってHPVは自然に排除されます。例えるなら、風邪を引いても自然に治癒するのと同じです。しかし、高リスク型HPVに持続感染すると、子宮頸部の細胞ががん化する可能性が高くなります。これは、風邪をこじらせて肺炎になってしまうようなものです。高リスク型HPVの感染を予防するために、HPVワクチン接種が推奨されています。

子宮頸がんの初期症状と進行について

子宮頸がんは、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。進行すると、不正出血、おりものの異常、性交痛、下腹部痛、腰痛などの症状が現れることがあります。不正出血は、生理以外の時や性交後に出血することがあります。例えば、生理が終わって1週間後に少量の出血があったり、性交後にティッシュに血が付着する、といったケースです。おりものは、量が増えたり、水っぽくなったり、膿のようなおりものが出たり、色が変わったり、においが強くなったりすることがあります。性交痛は、性交中に痛みを感じたり、性交後に鈍痛が続くことがあります。

これらの症状は、他の婦人科疾患でも起こることがあります。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症、性感染症などが挙げられます。そのため、必ずしも子宮頸がん特有の症状とは限りません。しかし、これらの症状が続く場合や気になることがあれば、放置せずに早めに医療機関を受診することが大切です。子宮頸がんは、早期に発見し治療すれば治る可能性が高いがんです。定期的な検診と、少しでも気になる症状があれば、すぐに医師に相談しましょう。

子宮頸がんの予防と早期発見のために

子宮頸がんは、早期発見と適切な予防によって防ぐことができるがんです。まさに、「早期発見、早期治療」が鍵となる病気です。私自身、医師として、子宮頸がん検診やHPVワクチン接種で多くの女性を診察してきましたが、正しい知識を持つことで、不安を軽減し、健康を守ることができるということを実感しています。今回は、子宮頸がんの予防と早期発見のための具体的な方法について、わかりやすく解説していきます。

子宮頸がん検診の重要性

子宮頸がん検診は、子宮頸部の細胞を採取し、顕微鏡で観察することで、がん細胞やその前段階の異常細胞がないかを調べる検査です。子宮頸がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検診による早期発見が非常に重要です。20歳以上の方は、2年に1回、定期的に受診しましょう。自治体によっては、無料または低額で受診できるクーポン券が配布されています。

検診を受けることは、まるで家の定期点検のようなものです。定期点検を怠ると、小さな不具合が大きな問題に発展してしまう可能性があります。子宮頸がん検診も同様に、定期的に受けることで、早期発見・早期治療につながり、子宮の温存にも繋がることがあります。

HPVワクチンの種類と効果

HPVワクチンは、子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンです。HPVは性交渉によって感染するありふれたウイルスで、多くの女性が感染を経験します。HPVには100種類以上の型がありますが、その中で高リスク型HPVと呼ばれる一部の型が子宮頸がんの原因となります。HPVに感染しても、ほとんどの場合は免疫の働きによって自然に排除されます。しかし、高リスク型HPVに持続感染すると、子宮頸部の細胞ががん化するリスクが高まります。

現在、日本では2価、4価、9価の3種類のHPVワクチンが承認されています。2価ワクチンはHPV16型と18型、4価ワクチンは16型、18型に加え、性器いぼの原因となる6型と11型、9価ワクチンはさらに5つの高リスク型HPV(31、33、45、52、58型)にも効果があります。つまり、9価ワクチンはより広範囲のHPV型をカバーし、子宮頸がんの約90%を予防できると期待されています。これは、家の鍵を複数持つようなものです。鍵の種類が多ければ多いほど、家への侵入を防ぐことができるのと同じように、より多くのHPV型をカバーするワクチンほど、子宮頸がんの予防効果が高まります。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン研究の最新動向によると、最も発がん性の高いHPVはHPV-16型であり、がんを引き起こすHPV型の多くを占めています。またHPV-18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型も子宮頸がんの原因となることが十分に証明されており、ウイルス様粒子に集合すると、HPV型特異的な中和抗体を誘導するL1タンパク質がすべての市販のHPVワクチンの基礎を形成しています。

ワクチン接種の費用とスケジュール

HPVワクチンは、定期接種として公費で接種することができます。2023年度からは9価HPVワクチンが定期接種の対象となりました。接種スケジュールは、初回接種、1~2ヶ月後の2回目接種、6ヶ月後の3回目接種です。費用は、自治体によって異なりますが、多くの場合、無料または低額で接種できます。

ワクチン 対象年齢 費用
9価HPVワクチン(シルガード9) 小学校6年生~高校1年生相当 定期接種のため無料

定期接種は、いわば健康を守るためのプレゼントのようなものです。プレゼントを受け取ることで、将来の子宮頸がんのリスクを減らすことができます。

キャッチアップ接種について

キャッチアップ接種とは、過去にHPVワクチンを接種する機会を逃した人に向けて、一定期間、無料で接種できる制度です。2025年3月までは、1997年4月2日~2008年4月1日生まれの女性が対象となります。HPVワクチンの接種は、性交渉経験の有無に関わらず効果があります。既にいくつかの型のHPVに感染していたとしても、他の型の新たな感染を防ぐことができます。まだ接種が完了していない人は、この機会にぜひ接種を検討しましょう。キャッチアップ接種は、子宮頸がん予防の大切なチャンスです。

キャッチアップ接種は、過去に接種できなかった人にとって、健康を取り戻すためのリカバリーのようなものです。スポーツで怪我をした後、リハビリをして競技に復帰するように、キャッチアップ接種を受けることで、子宮頸がん予防の軌道に戻ることができます。

 

子宮頸がんの治療法とそれぞれのメリット・デメリット

子宮頸がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)、患者さんの年齢や健康状態、妊娠・出産の希望など、様々な要因を考慮して決定されます。主な治療法として、手術療法、放射線療法、化学療法の3つが挙げられます。HPV感染が原因となる子宮頸がんは、HPV16型や18型など、複数の高リスク型HPVが関与しています。これらの型は子宮頸がん全体の約70%を占めており、HPVワクチンで予防可能な型も含まれています。

  • 手術療法: がんのステージが早期(0期や1期の一部)の場合、手術療法が第一選択となることが多いです。病変が子宮頸部に限局している場合は、円錐切除術という子宮頸部の一部を切除する方法が選択されることもあります。この方法は、将来の妊娠・出産の可能性を残せる大きなメリットがあります。私自身も、妊娠を希望する若い患者さんに円錐切除術を行い、その後無事に出産されたケースを複数経験しています。一方、がんが進行している場合は、子宮全摘出術が必要となる場合もあります。子宮全摘出術では、子宮とともに卵巣や卵管、周囲のリンパ節なども摘出することがあります。子宮を失うことは女性にとって大きな決断ですが、命を守るためには必要な場合もあります。手術療法は、身体への負担が大きいというデメリットもありますが、がん病巣を直接取り除くことができるため、根治が期待できる治療法です。

  • 放射線療法: 手術が難しい場合や、手術後に再発予防のために用いられる治療法です。放射線は、がん細胞のDNAを損傷し、増殖を抑制する効果があります。放射線療法は、体外照射と腔内照射の2種類があります。体外照射は、体の外から放射線を照射する方法で、腔内照射は、子宮頸部に放射線源を挿入する方法です。放射線療法は、副作用として、吐き気や下痢、倦怠感、皮膚炎などが起こる可能性があります。しかし、これらの副作用は、放射線の照射範囲や線量、患者さんの体質などによって大きく異なります。医師は、副作用を最小限に抑えながら、効果的な治療を行うよう努めます。

  • 化学療法: 抗がん剤を用いてがん細胞を攻撃する治療法です。進行した子宮頸がんの場合や、再発・転移した場合に用いられることが多いです。化学療法は、点滴で抗がん剤を投与する方法が一般的です。抗がん剤は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため、副作用として、脱毛や吐き気、倦怠感、白血球減少などが起こる可能性があります。しかし、近年では副作用の少ない抗がん剤も開発されており、支持療法も進歩しているため、副作用をコントロールしながら治療を継続することが可能です。

治療期間と費用について

治療期間と費用は、がんの進行度、選択した治療法、入院期間などによって大きく異なります。手術療法の場合、入院期間は数日から数週間程度、費用は数十万円程度かかることがあります。放射線療法や化学療法の場合、治療期間は数週間から数ヶ月程度、費用も数十万円から数百万円程度かかる場合があります。

健康保険が適用されるため、患者さんの自己負担額は医療費の1~3割となります。また、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を抑えることも可能です。治療費については、ご心配な方も多いと思いますので、遠慮なくご相談ください。

よくある質問と回答

患者さんからよく寄せられる質問をまとめました。

  • Q. HPVに感染しても必ず子宮頸がんになるわけではありませんか?

    A. その通りです。HPVは非常にありふれたウイルスで、多くの女性が生涯のうち一度は感染すると言われています。HPVに感染しても、ほとんどの場合、免疫の働きによって自然に排除されます。しかし、高リスク型HPVに持続感染すると、子宮頸部の細胞ががん化するリスクが高まります。

  • Q. HPVワクチンを接種済みですが、子宮頸がん検診は必要ですか?

    A. はい、必要です。HPVワクチンはいくつかの型のHPV感染を予防できますが、すべての型を予防できるわけではありません。定期的な検診で早期発見・早期治療につなげることが重要です。

  • Q. 子宮頸がん検診で異常が見つかったら、必ず子宮頸がんになるのですか?

    A. いいえ、必ずしも子宮頸がんになるわけではありません。異常が見つかった場合は、コルポスコピー検査や組織診など、さらに詳しい検査を行い、適切な処置を行います。

  • Q. 子宮頸がんと診断されたら、妊娠・出産はできなくなりますか?

    A. がんの進行度や治療法によっては、妊娠・出産が難しくなる場合があります。妊娠・出産を希望する場合は、医師とよく相談することが大切です。早期であれば、妊娠・出産に影響の少ない治療法を選択できる可能性も十分にあります。

まとめ

子宮頸がんはHPVウイルス感染が主な原因で、20代後半〜40代前半に多く発症する。初期は自覚症状が少ないため、定期的な検診が重要となる。

HPVは性交渉で感染する一般的なウイルスで、多くの場合、免疫により排除される。しかし、高リスク型HPVの持続感染は子宮頸がんのリスクを高める。

子宮頸がん検診は20歳以上で2年に1回推奨され、自治体によっては無料または低額で受診可能。HPVワクチンは9価ワクチンが定期接種となり、小学校6年生〜高校1年生相当が対象。キャッチアップ接種は1997年4月2日〜2008年4月1日生まれの女性が対象。

治療法は、手術、放射線、化学療法があり、がんの進行度や患者の状況により選択される。費用は健康保険適用で自己負担は1〜3割。高額療養費制度も利用可能。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


 

令和6年11月9日 

天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

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参考文献

  • Williamson AL. Recent Developments in Human Papillomavirus (HPV) Vaccinology. Viruses 15, no. 7 (2023).

追加情報

[title]: Recent Developments in Human Papillomavirus (HPV) Vaccinology.,

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン研究の最新動向

【要約】

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がん、陰茎がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、および口咽頭がんを含む、がんの5%の原因とされています。
  • 最も発がん性の高いHPVはHPV-16であり、がんを引き起こすHPVタイプの多くを占めています。
  • HPVタイプ18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、および59も子宮頸がんの原因となることが十分に証明されています。
  • ウイルス様粒子に集合すると、HPVタイプ特異的な中和抗体を誘導するL1タンパク質は、すべての市販のHPVワクチンの基礎を形成しています。
  • 現在、3種類の2価ワクチン、2種類の4価ワクチン、1種類の9価ワクチンの計6種類の予防用HPVワクチンが承認されています。
  • 2価ワクチンは、子宮頸がんの70%以上に関与するHPVタイプ16と18から保護します。
  • 予防接種は性交デビュー前に子供を対象としていますが、現在はキャッチアップキャンペーンが行われており、HPV感染と疾患の減少に役立つことが示されています。
  • 子宮頸部病変または反復性呼吸器乳頭腫症の治療後の成人のHPVワクチン接種は、再発に影響を与えました。
  • 性別中立的なワクチン接種は、集団免疫を高め、男性と女性の感染を予防します。
  • HPVワクチンは、HIV感染者でも免疫原性がありますが、ワクチンの長期的な影響について、さらなる研究が必要です。
  • また、追加のブースターが必要かどうかを判断する必要があります。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37515128,

[quote_source]: and Williamson AL. “Recent Developments in Human Papillomavirus (HPV) Vaccinology.” Viruses 15, no. 7 (2023): .