名古屋市天白区原にあります、天白橋内科内視鏡クリニックです。原駅から徒歩約二分のところにあり、無料駐車場もあります。名古屋市天白区原にあります、天白橋内科内視鏡クリニックです。原駅から徒歩約二分のところにあり、無料駐車場もあります。

ブログ

細菌は悪!?人間の味方「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」とは?

名古屋市天白区の天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。

プロフィール→https://tenpakubashi-cl.com/staff/

当院に受診しようか迷われている方で、当院のGoogle口コミに対する返事に違和感を感じる方もおられると思います。
一度当院の口コミに関する考え方をお目通し頂き、ご理解いただけるのであれば院長と相性がいいと思います。
口コミに対する思い→ここから

みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。

 


今回は人間と細菌との良い関係、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)について解説していきます。

細菌というとどんなイメージがあるでしょうか?今の社会を見ると、そこに細菌があると知ったら、ついついアルコール除菌をしてしまいたくなりますよね。そのお気持ちは非常にわかるのですが、私たちは菌の上に成り立っている動物であるというのも事実です。


腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)というとすごく難しく聞こえるかもしれません。腸内細菌叢はいわば「私たちの腸の中にある細菌の社会」のことをいいます。「細菌なんて不衛生だから全部殺菌してしまいたい」というお気持ちになられる方もいるかもしれませんが、実は腸内細菌を殺すことによって、ある種の病気が増えることが分かっています。

そこで今回は腸内細菌叢とは何なのか、腸内細菌叢が壊れるとどうなるのか、良い腸内細菌叢を作っていくために気を付けなければならないことを解説していきます。

腸内細菌叢の重要性

 人間の腸の中にはかならず腸内細菌がいて、良い働きをする腸内細菌が、悪影響をおよぼす菌へのバリアとなっています。さらに正常な腸内細菌叢は、様々な免疫機能に関与しているといわれます。現在いろんなところで研究が進んでいるところではありますが、良い腸内細菌がアレルギーや肥満、糖尿病などのリスクを下げてくれるのではないかとも考えられています。

腸内細菌叢が壊れるとどうなるか

正常な腸内細菌叢が壊れてしまうと、おなかや全身に関わる様々な病気が増えることが分かっています。
代表例として炎症性腸疾患があげられます。炎症性腸疾患は完全には解明されていませんが、腸内細菌叢の変化が発症と関連しているのではないかと考えられています。通常下痢などを引き起こす病気は、衛生環境の悪さと関連することがあります。つまりなんらかの有害な菌やウイルスが体の中に入ってしまった結果起こることが多いです。
しかし、この炎症性腸疾患とよばれる潰瘍性大腸炎やクローン病などは、衛生環境の整った先進国に増えているという不思議な病気なのです。衛生環境が良くなればなるほど、同時に、医療の発展している国であればあるほど、炎症性腸疾患にかかりやすいのです。衛生面が整いすぎると、ある種の有益な菌が摂取されなくなったり、また抗菌薬とよばれる薬を飲むことによって、本来身体を守るのに必要であった菌までいなくなってしまうなどの理由が考えられるでしょう。
また安易な抗菌薬の使用によって、抗菌薬の効かない菌(耐性菌)だけが生き残り、悪さをしてしまいます。例えばクロストリジウム属と呼ばれる種類の菌は、通常全く悪影響の無いほど力の弱い菌なのですが、抗菌薬が効きにくいという特徴を持ちます。抗菌薬の使用に伴って、多くの腸内細菌がいなくなっていくなか、クロストリジウムは生き残ります。そして、クロストリジウムを抑える菌がいなくなったとたんに腸炎を起こすことがあります。人間社会でも上から抑えていた人が、いなくなったとたんに起こる人間関係のトラブルのようなことはたくさんありますよね。一度クロストリジウムの腸炎を引き起こしてしまった患者さんは、その後さらに特殊な抗菌薬が必要となり、また良い腸内細菌まで壊されて、、、と腸内細菌叢が正常に戻るのが非常に大変になりますから、そもそもそうならないようにすることが大切です。

参考

ここで抗菌薬(抗生剤、抗生物質)について少し解説を加えます。医師でも抗菌薬に詳しい人と、詳しくないけれどもなんとなく処方している人がいます。
一般に、細菌とウイルスは全く別物で、抗菌薬はウイルスには効きません。もちろんコロナもウイルスの部類になるので、コロナの治療薬は抗ウイルス薬と呼ばれます。抗ウイルス薬というのは帯状疱疹ウイルスやインフルエンザ、コロナウイルスの治療薬など非常に限られています。一般にいう「風邪」は、以前からあるコロナウイルスであったり、RSウイルス、ライノウイルスなどが原因となり、いずれもウイルスの感染症ですから、抗菌薬が効かないというのは当然ですね。
たしかに発熱の原因として、細菌性肺炎や腎盂腎炎(膀胱炎が悪化したような尿路感染症)や胆嚢炎などは抗菌薬が必要であることが多いです。しかし、10~40代の元気な人たちがかかる風邪には本当に抗菌薬が必要でしょうか?多くのケースでは単なる風邪であることが確率的に多いでしょうし、レントゲンを撮って肺炎がないような熱・咳・鼻水のような典型的な風邪症状の場合はウイルス感染症が原因であることが多いですので、根本的に抗菌薬は効きません。
ちなみに、ウイルスと菌が別物であると知っている人は非常に限られているようで、コロナ対策で「空間除菌」なんていう全く理解できない商品もありますので十分注意してください。
抗菌薬は点滴と飲み薬、外用薬など複数の形があります。外来で良く処方されるのは抗菌薬の飲み薬ですが、ものによっては体に吸収しにくいものがあり、腸内細菌を殺すだけのほとんど意味のない飲み方をさせている医者も残念ながら多くいます。
私からおすすめするのは、健康で重症化するリスクの低い方たちの単なる風邪は、抗菌薬(抗生剤、抗生物質)を飲まない、もし何らかの理由で抗菌薬を使うとしても整腸薬と一緒に飲んだり、点滴にするなど正常な腸内細菌叢を壊さない工夫が必要だということです。

良い腸内細菌叢を作るには

 良い腸内細菌叢を作るには、適切な菌が入った食べ物や薬(サプリメント)を飲む必要があります。代表的なのは乳酸菌で、ヨーグルトや発酵食品に多く含まれます。また糖化菌とよばれる菌も重要で、納豆菌がその代表です。つまり普段の食事からでも良い腸内細菌が摂取できますので、サプリメントなどにたよらなくても積極的に発酵食品を取ることから始めてみてはいかがでしょうか。
 もちろん、みなさんのおなかの調子にあわせて、良い腸内細菌が入った整腸薬を処方することもできますから、お腹の症状は是非お気軽にご相談ください。


全ては患者さんの「もっと早く検査や治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。


詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。

令和4年5月13日 天白橋内科内視鏡クリニック 院長 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医

ホームページ(←こちらをクリック)
その他のブログ一覧(←こちらをクリック)


〜その他当院の取り組み〜

思いつきでオリコン1位、ミリオン獲得のミュージシャンの方にクリニックのテーマ曲を作っていただきました。
暇つぶしによろしければお聞きください。
→Trust〜水明〜(クリック)

あとYouTube動画も増やしていきますので、チャンネル登録をお願いします。
→天白橋内科内視鏡クリニックYouTubeチャンネル