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喉が痛い!内科耳鼻 科どっちに行けばいいの?

「喉の痛み」…誰しも一度は経験するありふれた症状ですが、その原因は多岐に渡り、適切な対処をしないと重篤な合併症を引き起こす可能性もあることをご存知でしょうか? ただの風邪と安易に考えて放置していたら、実は命に関わる危険な病気が隠れていた、なんてことも。

本記事では、喉の痛みの原因をウイルス感染、細菌感染、その他(アレルギー、逆流性食道炎など)の3つに分類し、それぞれの特徴や具体的な症例を交えて解説します。さらに、家庭でできる対処法から、市販薬、病院での治療、そして緊急受診が必要な悪化のサインまで、医師の視点から詳しくご紹介します。

統計によると、咽頭炎は家族医学の診療所ではよく見られる症状で、特に溶連菌感染症は適切な治療を行わないと急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

この記事を読むことで、あなたの喉の痛みが一体何に由来するものなのか、そしてどのように対処すべきなのかが明確になるはずです。 健康管理の第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

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喉が痛い時の原因と症状3選

喉が痛いというのは、本当につらいものです。唾を飲み込むだけでも激痛が走り、食事もままならず、夜も眠れないほど苦しいこともありますよね。私自身も、医師として働く中で、喉の痛みで診察に訪れる患者さんを数多く見てきました。実は「喉が痛い」といっても、その原因は実に様々です。原因によって適切な対処法も異なってきますので、まずは何が原因で喉が痛むのかを一緒に考えていきましょう。

ウイルス感染:風邪、インフルエンザなど

喉の痛みの原因として最も多いのはウイルス感染です。風邪やインフルエンザのウイルスが喉の粘膜に付着し、炎症を起こすことで痛みを生じます。喉の奥に小さなトゲが刺さっているようなチクチクとした痛みや、ヒリヒリと焼けるような痛み、乾燥したような痛みなど、痛みの種類も様々です。

風邪やインフルエンザの場合、喉の痛みだけでなく、他の症状を伴うことが多いです。例えば、くしゃみ、鼻水、咳、発熱、倦怠感などです。これらの症状はウイルスが体内で増殖しているサインといえます。

ウイルス感染による喉の痛みは、多くの場合、安静にして十分な水分補給を行い、体を休めることで1週間程度で自然に治ります。しかし、症状が長引く場合や悪化する場合は、医療機関への受診をお勧めします。

例えば、5歳の男の子が38度の発熱と喉の痛みを訴えて来院したケースがありました。診察の結果、アデノウイルスによる咽頭炎と診断しました。高熱が続いたため、解熱剤を処方し、自宅療養を指示しました。数日後には熱も下がり、喉の痛みも軽快しました。このように、ウイルス感染による喉の痛みは多くの場合、対症療法で改善します。

インフルエンザウイルスは、他のウイルス感染と異なり、抗ウイルス薬が処方される場合があります。これは合併症のリスクが高い高齢者や基礎疾患を持つ方、妊婦さんなどは特に重症化しやすいためです。

細菌感染:溶連菌感染症、扁桃炎など

ウイルス感染だけでなく、細菌感染も喉の痛みの原因となります。代表的なものとして、溶連菌感染症や扁桃炎が挙げられます。

溶連菌感染症は溶血性連鎖球菌という細菌によって引き起こされる感染症で、喉の激しい痛みや高熱、頭痛、吐き気などを伴います。のどの奥が真っ赤に腫れ上がり、白い膿が付着していることもあります。扁桃炎は、扁桃腺に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす病気で、喉の痛みや発熱、扁桃腺の腫れ、白い膿などが特徴です。

細菌感染による喉の痛みは、抗生物質による治療が必要になります。自己判断で市販薬を服用するのではなく、必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。放置すると、重症化したり、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症を引き起こしたりする可能性があります。合併症は稀ですが、放置すると命に関わる危険性もあるため注意が必要です。

以前、10代の女性が3日間続く高熱と激しい喉の痛みで来院されたケースがありました。診察の結果、溶連菌感染症と診断し、抗生物質を処方しました。適切な治療を行った結果、合併症を起こすことなく回復しました。細菌感染の場合、迅速な診断と治療が重要です。

その他:アレルギー、逆流性食道炎など

ウイルスや細菌感染以外にも、アレルギーや逆流性食道炎なども喉の痛みの原因となることがあります。

アレルギー性鼻炎や花粉症などのアレルギー疾患がある場合、アレルゲンに反応して喉が炎症を起こし、痛みを感じることがあります。ハウスダストやダニ、ペットの毛などが原因で、季節を問わず喉の痛みやイガイガ感に悩まされる方もいます。

また、逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで、食道や喉に炎症を起こし、痛みや不快感を引き起こします。胸やけや胃もたれ、喉の痛み、咳などの症状が現れます。特に食後や就寝時に症状が悪化しやすい傾向があります。

これらの場合、それぞれの原因に対する治療を行うことが必要です。アレルギーの場合は、抗アレルギー薬の服用やアレルゲンの除去が有効です。逆流性食道炎の場合は、胃酸を抑える薬の服用や生活習慣の改善が重要です。脂肪分の多い食事やカフェイン、アルコール、喫煙などは症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

咽頭炎は、咽頭とその周辺組織の炎症によって引き起こされる喉の痛みで、家族医学の診療所ではよく見られる症状です。咽頭炎は、ウイルス、細菌、または真菌の感染によって引き起こされます。ウイルス性の咽頭炎は多くの場合自然に治癒しますが、細菌性や真菌性の感染症は通常、抗菌療法が必要です。原因となる微生物を特定するために、迅速抗原検出検査や喉の培養検査が臨床所見とともに用いられます。Streptococcus pyogenes(溶血性連鎖球菌)による咽頭炎は、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、特に注意が必要です。

喉の痛みの対処法4選と受診の目安

喉の痛みは、日常生活に支障をきたす本当につらい症状です。私自身も医師として、喉の痛みで悩む患者さんを多く診てきました。一口に「喉が痛い」と言っても、その痛み方は様々です。チクチクするような痛み、ヒリヒリと焼けるような痛み、何かが詰まっているような違和感など、痛みの種類も程度も人それぞれです。今回は、家庭でできるケアから病院での治療、そして悪化のサインまで、喉の痛みに対する対処法を4つご紹介いたします。

家庭でのケア:うがい、加湿、水分補給

まずはご家庭でできるケアから始めましょう。うがい、加湿、水分補給は喉の痛みを和らげるための基本的な方法です。まるで喉の乾燥地帯にオアシスを作るように、これらのケアは効果を発揮します。

  • うがい: 水うがいだけでも効果がありますが、イソジンなどのうがい薬を使用すると、より効果的に喉の炎症を抑えることができます。うがい薬は、殺菌効果によって喉についた細菌を洗い流す役割を果たします。1回30秒ほどを目安に、1日数回うがいを行いましょう。5歳の女の子が風邪で喉が痛いと言ってきた時、私はまずうがいを勧めます。うがいは、まるで喉の汚れを落としてくれる洗車のようなものです。
  • 加湿: 乾燥した空気は喉の粘膜を刺激し、痛みを悪化させます。加湿器を使って部屋の湿度を50~60%に保つようにしましょう。冬場などは特に乾燥しやすいため、加湿は非常に重要です。もし加湿器がない場合は、濡れタオルを干すだけでも効果があります。以前、乾燥したオフィスで長時間過ごしたことで喉の痛みを訴える患者さんがいました。加湿器を勧めたところ、症状がかなり改善されました。
  • 水分補給: こまめな水分補給は、喉の乾燥を防ぎ、炎症を和らげる効果があります。常温の水やぬるま湯、ノンカフェインのお茶などがおすすめです。冷たい飲み物や刺激の強い飲み物は、かえって喉を刺激する可能性があるので避けましょう。脱水症状を防ぐためにも、こまめな水分補給を心がけてください。

市販薬:トローチ、鎮痛剤など

家庭でのケアで改善しない場合は、市販薬を試してみるのも良いでしょう。ドラッグストアなどで手軽に購入できます。市販薬は、専門家のアドバイスなしに購入できる手軽さがメリットですが、症状に合っていない薬を使用すると効果が得られないばかりか、副作用のリスクも出てきます。

  • トローチ: 喉の痛みを直接和らげる効果があります。舐めると時に口の中が潤うので、乾燥対策にもなります。様々な種類があるので、好みの味や効果で選んでみましょう。以前、舞台俳優の患者さんが声が出にくくなった際に、トローチを処方したところ、症状が改善し、無事に舞台に立つことができました。
  • 鎮痛剤: 喉の痛みや発熱に効果があります。アセトアミノフェンやイブプロフェンなど、様々な種類の鎮痛剤があります。ただし、鎮痛剤はあくまで症状を抑えるための対症療法であり、根本的な治療にはなりません。薬剤師に相談して、自分に合ったものを選びましょう。

病院での治療:抗生物質、消炎鎮痛剤など

喉の痛みが長引く場合や、高熱などの症状がある場合は、病院を受診しましょう。医師の診察を受けて、適切な治療を受けることが大切です。自己判断で治療を遅らせると、症状が悪化したり、合併症を引き起こす可能性があります。咽頭炎は、ウイルス、細菌、または真菌の感染によって引き起こされます。ウイルス性の原因は、しばしば自然に治癒しますが、細菌性および真菌性の感染症は通常、抗菌療法を必要とします。迅速抗原検出検査と喉の培養は、臨床所見とともに、原因となる微生物を特定するために使用できます。Streptococcus pyogenes による咽頭炎は、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの重篤な合併症を伴うため、最も懸念される疾患の一つです。

  • 抗生物質: 細菌感染が原因の喉の痛みに効果があります。医師の処方箋が必要なので、自己判断で服用することは避けましょう。例えば、溶連菌感染症と診断された場合は、抗生物質の服用が必須となります。適切な抗生物質を適切な期間服用することで、合併症のリスクを減らすことができます。
  • 消炎鎮痛剤: 喉の痛みや炎症を抑える効果があります。市販薬よりも強力な薬を処方してもらえる場合もあります。

悪化のサイン:高熱、呼吸困難、強い痛みなど

喉の痛みが悪化すると、命に関わる危険性もあります。以下の症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。特に、呼吸困難は窒息の危険性もあるため、一刻を争う場合があります。

  • 高熱: 38度以上の高熱が続く場合は、早急に病院を受診しましょう。高熱は、体がウイルスや細菌と戦っているサインです。放置すると、脱水症状や他の合併症を引き起こす可能性があります。
  • 呼吸困難: 息苦しさや呼吸が速くなるなどの症状がある場合は、すぐに救急車を呼びましょう。呼吸困難は、気道が狭くなっている可能性を示唆しており、非常に危険な状態です。
  • 強い痛み: 喉の痛みが激しく、水や食べ物を飲み込むのが困難な場合は、早急に病院を受診しましょう。強い痛みは、炎症が重症化している可能性があります。
  • その他: 意識がもうろうとする、けいれんを起こす、発疹が出るなどの症状が現れた場合も、すぐに救急車を呼びましょう。これらの症状は、重篤な感染症やアレルギー反応の可能性を示唆しています。

上記の対処法を試しても改善しない場合や、症状が悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。天白橋内科内視鏡クリニックでは、喉の痛みに対する適切な診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

天白橋内科内視鏡クリニックでの喉の痛みの診療

喉の痛みは、日常生活に大きな支障をきたす症状です。一口に「喉が痛い」と言っても、軽い違和感から、水を飲むのも辛いほどの激痛まで、その程度は様々です。原因も多岐にわたり、適切な治療を受けるためには、何が原因で喉が痛むのかを正しく見極めることが重要です。天白橋内科内視鏡クリニックでは、患者様一人ひとりの症状に寄り添い、丁寧な診察と適切な検査に基づいて、最適な治療を提供することを心がけています。

まずは発熱外来でしっかりと検査
詳細はこちら→天白橋の発熱外来

診療時間とアクセス

天白橋内科内視鏡クリニックは、名古屋市営地下鉄鶴舞線「原駅」から徒歩2分の場所に位置し、近隣には提携駐車場もございますので、公共交通機関やお車どちらでもアクセスが容易です。何かご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。

診療時間はこちら→診療時間


具体的な診療内容:診察、検査、治療

当クリニックでは、まずインフルエンザとコロナの検査から始めます。看護師が「いつから喉が痛いのか」「どのような痛みか(チクチクする、ヒリヒリする、締め付けられるなど)」「他に症状はあるか(発熱、咳、鼻水など)」など、詳しくお聞きすることで、痛みの原因を探っていきます。咽頭炎は、ウイルス、細菌、真菌によって引き起こされる可能性があり、細菌性および真菌性感染症は通常、抗菌療法が必要です。Streptococcus pyogenes による咽頭炎は、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの重篤な合併症を伴う可能性があるため、迅速な診断と適切な治療が重要となります。

検査と問診後、喉の奥が赤く腫れている場合は、溶連菌感染症の迅速抗原検出検査を行うことがあります。これは、綿棒で喉を軽く擦るだけの簡単な検査で、数分で結果が分かります。

検査結果に基づいて、適切な治療を行います。ウイルス性の咽頭炎であれば、安静、十分な水分補給、喉の痛みを和らげる薬を処方します。細菌性の咽頭炎であれば、原因菌に合った抗生物質を処方します。アレルギーが原因の場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を処方することがあります。また、逆流性食道炎が疑われる場合は、胃酸を抑える薬を処方し、生活習慣の指導を行います。

症状が改善しない場合や、悪化する場合は、再診していただき、治療方針を見直すこともあります。患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供することで、一日も早く喉の痛みから解放され、快適な日常生活を送れるようサポートさせていただきます。

よくある質問:費用、予約方法など

当クリニックは各種保険を取り扱っております。初診の方は保険証をお持ちください。費用は、診察内容や検査の有無によって異なります。おおよその費用については、お気軽にお問い合わせください。

予約は、お電話またはインターネットで受け付けております。待ち時間を短縮するために、ご予約いただくことをおすすめします。

まとめ

喉の痛みは様々な原因で起こり、適切な対処法が異なります。

ウイルス感染による喉の痛みは、安静と水分補給で多くは改善しますが、細菌感染の場合は抗生物質が必要になります。アレルギーや逆流性食道炎も原因となることがあります。

家庭では、うがい、加湿、水分補給が有効です。市販薬としてトローチや鎮痛剤もありますが、長引く場合や高熱を伴う場合は医療機関を受診しましょう。

受診の目安は、高熱、呼吸困難、強い痛みなどです。医療機関では、診察、検査に基づき、抗生物質や消炎鎮痛剤など適切な治療が行われます。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


 

令和6年11月9日

天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

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参考文献

  • Sykes EA, Wu V, Beyea MM, Simpson MTW, Beyea JA. Pharyngitis: Approach to diagnosis and treatment. Canadian family physician Medecin de famille canadien 66, no. 4 (2020): 251-257.

追加情報

[title]: Pharyngitis: Approach to diagnosis and treatment.,

咽頭炎:診断と治療へのアプローチ

【要約】

  • 本論文は、家族医向けに咽頭炎の診断と治療に関する最新のアプローチを提供することを目的とする。
  • 論文では、重要な症状、検査方法、一般的な原因の概要を詳しく説明する。
  • 本論文は、1989年から2018年の間に発表された査読済み文献と著者の臨床経験に基づいている。
  • 咽頭炎による喉の痛みは、家族医学の診療所ではよくある症状であり、咽頭とその周辺組織の炎症が原因である。
  • 咽頭炎は、ウイルス、細菌、または真菌の感染によって引き起こされる。
  • ウイルス性の原因は、しばしば自然に治癒するが、細菌性および真菌性の感染症は通常、抗菌療法を必要とする。
  • 迅速抗原検出検査と喉の培養は、臨床所見とともに、原因となる微生物を特定するために使用できる。
  • Streptococcus pyogenes による咽頭炎は、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの重篤な合併症を伴うため、最も懸念される疾患の一つである。
  • したがって、標的治療を提供するためには、咽頭炎の慎重な診断が必要である。
  • 咽頭炎の診断には、詳細な病歴が重要である。
  • 迅速抗原検出検査は、抗生物質の投与を考慮する場合にのみ行うべきである。
  • 医師は、咽頭炎に対する抗生物質の投与を控え、回復が遅れたり、S pyogenes 感染のリスクが高まったりすることはない。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32273409,

[quote_source]: Sykes EA, Wu V, Beyea MM, Simpson MTW and Beyea JA. “Pharyngitis: Approach to diagnosis and treatment.” Canadian family physician Medecin de famille canadien 66, no. 4 (2020): 251-257.