みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
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天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。
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最近若くても肝機能異常で受診される方がとっても多いです。しかもアルコール飲まない方が多い。カロリーオーバーによる脂肪肝がめちゃくちゃ多いですので放置しないようにしてください。
今回の内容は、検診で指摘される肝機能低下など肝臓数値の異常について放置するとどうなる?などを解説します。
健康診断を受けて「肝臓の機能が落ちています」と言われる人も多くいらっしゃるかと思います。肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、肝機能が低下してきてもあまり症状が出ないため健康診断などで定期的に肝機能を確認し、問題がある場合には早めに対応する必要があります。
そこで今回は肝機能の指標や、異常が指摘された場合にどのようなことが考えられるのか、また肝機能低下を放置しているとどのようなことが起こるのかについて解説します。
◯肝機能の指標(数値)AST・ALT・γGTPについて
検診などで肝臓の機能が落ちていないかどうかを確認するための指標として用いられるのが血液検査です。血液検査の項目のうち肝臓の機能を確認するために一般的に使われるのがAST・ALT・γGTPです。
ASTとALTは肝細胞で、γGTP胆道で作られる酵素です。肝臓でアミノ酸の代謝に関わる働きをしています。これらの酵素は肝臓の細胞内に存在します。
通常でも肝臓の細胞は多少壊れたり作られたりしているので。 血液中にこれらの酵素は多少存在しますが、肝臓に負担がかかったり肝疾患にかかったりすることで、肝臓の細胞が多く壊れると血液中に漏れ出てきて血液中に存在する量が多くなります。つまりAST・ALT・γGTPが多く血液中に存在するということは普段より肝臓の細胞に負担がかかっているということがわかるのです。
それぞれの酵素について少し見てみましょう。ASTは肝臓に多く存在しますがそれ以外にも筋肉や赤血球にも含まれます。ALTは主に肝臓に含まれますので、健康な人ではややASTが多くなります。γGTPは肝臓の他に腎臓や膵臓の細胞に含まれ、これらの臓器の障害や胆道系の閉塞でも上昇します。
γGTPの特徴として、アルコールに反応して、強い肝障害を起こしていなくても上昇し、アルコールをやめるとすぐに改善するという特徴があります。γGTPが高いと言われたときには飲酒量が多くなっていないか確認すると良いでしょう。
肝臓は体の中の様々な代謝(生物がエネルギーを取り込んだり不要なものを外部に排出する働き)に関わっています。また体の中の有害な物質を無毒化する働きもしています。
これらの働きが損なわれることで様々な症状が出現します。しかし、肝臓はある程度ダメージを受けても働きを失わずに対応することができる予備能を持っています。そのためダメージが蓄積してもなかなか症状が出ず、「沈黙の臓器」ともいわれています。症状が出ないうちに治療するのが非常に重要ですが、疑わしい症状が出たらすぐに検査や治療を受ける必要があります。肝臓が悪くなったときの症状について見ていきましょう。
・倦怠感
肝臓が悪くなると体の様々な代謝が低下してしまいます。そのため、エネルギーをうまく利用することができなかったり体に悪い物質を無毒化することができなくなるために、だるさを感じることがあります。
・むくみ
肝臓で合成される物質の中にアルブミンというタンパク質があります。このアルブミンは物質の運搬や、血液の濃度を調整する働きがあります。アルブミンが少なくなって血液の濃度が薄くなると血管から血液の水分が漏れ出てしまいます。これがむくみに繋がります。更にひどくなるとお腹の中に水がたくさん貯まる腹水となります。
・肝性脳症
タンパク質を代謝するときに副産物としてアンモニアが生成されます。アンモニアは人体に有害なので肝臓で無毒な尿素に変換され、尿に排出されます。肝臓の機能が低下するとアンモニアが脳に作用して意識障害などの症状を引き起こします。
・静脈瘤
肝臓には様々な臓器から血液が流れ込みます。肝臓が悪くなるとこの血液が流れ込んでくる静脈である門脈の圧力が高まります。その結果食道などに存在する静脈に静脈瘤(コブ)ができます。この静脈瘤は破裂のリスクがあり、気づかずにいて破裂すると吐血などを引き起こし命に関わります。
肝機能低下を指摘されたらこれらの症状が出現する前に治療を始めたり医師の指示に従って生活を改めましょう。
◯まとめ
今回は肝機能について解説しました。検診を定期的に受けて肝機能が低下していないか確認することが重要で、もし以上を指摘されたら症状がなくても放置せずに医師に相談しましょう。
全ては患者さんの「もっと早く検査や治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
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令和3年10月25日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医
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