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更年期にプラセンタが効く?婦人科に行くか内科に行くか?

40代後半から50代にかけて訪れる更年期。 平均閉経年齢51歳の前後10年間、心身に様々な変化が現れます。ほてりやのぼせ、発汗といった身体的症状から、イライラや不安感といった精神的症状まで、その症状は多岐に渡り、日常生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。

更年期障害の症状は他の病気と似ている場合もあり、自己判断は危険です。 例えば、動悸や息切れは心臓病、気分の落ち込みはうつ病のサインの可能性も。 この記事では、更年期障害の症状や原因、更年期障害と似た症状を示す他の病気との違い、そして様々な治療法について詳しく解説します。 具体的な症状例や治療法の選択肢を知ることで、更年期をより快適に過ごすためのヒントが見つかるはずです。

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更年期障害の症状と原因を知る3つのポイント

更年期は、女性にとって人生の大きな転換期です。この時期は、ホルモンバランスの変動によって心身に様々な変化が現れます。「もしかして更年期障害?」と感じたら、まずは更年期について正しく理解することが大切です。更年期障害の症状や原因、更年期障害と似た症状を示す他の病気との違いについて、詳しく見ていきましょう。更年期は、卵巣機能が低下していくことで起こる一連の身体的・精神的な変化を指します。平均閉経年齢は51歳で、更年期は閉経前後の約10年間を指します。個人差はありますが、40代後半から症状が出始める方が多いです。更年期は誰にでも訪れる自然なライフステージの一部です。

更年期障害の代表的な症状5選(ほてり、のぼせ、発汗、イライラ、不安感など)

更年期障害の症状は実に多様で、人によって全く違います。同じ女性でも、お母様と娘さんで症状が全く異なるということも珍しくありません。代表的な症状としては、ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)、イライラ、不安感、不眠、めまい、頭痛、動悸、肩こり、腰痛、疲労感などがあります。

例えば、ホットフラッシュの場合、まるでサウナの中にいるように突然顔が熱くなり、汗が噴き出すように感じることがあります。これは、自律神経の調節機能が乱れることによって起こります。私の患者さんの中には、真冬でもホットフラッシュで汗だくになり、困っている方もいらっしゃいました。

また、感情の起伏も激しくなります。例えば、普段は温厚な方が些細なことで怒りっぽくなったり、急に不安に襲われたり、理由もなく涙が止まらなくなったりするケースもあります。

その他にも、夜中に何度も目が覚めてしまう、日中も常にだるい、物忘れがひどくなる、集中力が続かないなど、日常生活に支障をきたす様々な症状が現れることがあります。

症状 具体的な例
ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗) 暑いわけでもないのに、顔や上半身がカーッと熱くなり、大量の汗が出る。冬でも窓を開けてしまうほど汗が止まらない。
精神症状 些細なことでイライラする、急に不安になる、訳もなく涙が出る、気分が落ち込む、やる気が出ない、集中できない。これまで出来ていた家事が億劫になる。
身体症状 めまいがする、頭が痛い、心臓がドキドキする、眠れない、肩こりや腰痛がひどくなる、疲れやすい、関節が痛む、膣が乾燥する。家事や仕事に集中できず、ミスが増える。

更年期の症状は個人差が大きく、症状の出方も様々です。これらの症状は更年期障害以外にも、甲状腺機能亢進症や自律神経失調症など、他の病気でも似たような症状が現れることがあるため、自己判断は危険です。医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが重要です。

なぜ更年期障害が起こる?女性ホルモンとの関係

更年期障害の主な原因は、卵巣機能の低下に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の減少です。エストロゲンは、女性の体と心の健康を維持するために非常に重要な役割を果たしています。血管や骨を丈夫に保ったり、コレステロール値を調整したり、自律神経のバランスを整えたりする働きがあります。脳の働きにも影響を与え、記憶力や集中力、気分を安定させる役割も担っています。

更年期になると、このエストロゲンの分泌量が急激に減少します。すると、体と心のバランスが崩れ、様々な症状が現れるのです。これは、オーケストラの指揮者が突然いなくなり、演奏がバラバラになってしまうような状態です。

更年期障害と似た症状の病気(うつ病、甲状腺機能亢進症など)との違い

更年期障害の症状は他の病気の症状と似ていることが多く、注意が必要です。例えば、イライラや不安、気分の落ち込みといった症状はうつ病とよく似ています。また、ほてりや発汗、動悸といった症状は甲状腺機能亢進症の症状と似ています。

更年期障害の症状は多岐にわたるため、自己判断は難しく、他の病気が隠れている可能性もあります。45歳頃から更年期障害の症状が出始めることが多い一方、更年期に差し掛かる年代では、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病も発症しやすくなります。

ご自身の症状が更年期障害によるものなのか、他の病気によるものなのかを自己判断せず、医療機関を受診して適切な検査を受けることが大切です。血液検査などでホルモン値を測定したり、他の病気がないかを調べたりすることで、更年期障害かどうかを正確に診断することができます。更年期障害と診断された場合でも、長期的な影響として骨粗鬆症や心血管疾患のリスクが高まるため、注意が必要です。

更年期障害の検査と治療法4つの選択肢

更年期は、女性ホルモンのバランスが大きく変化する時期です。この時期特有の症状は、日常生活に様々な影響を及ぼすことがあります。しかし、更年期障害は適切な検査と治療によって症状をコントロールし、より快適に過ごすことが可能です。更年期障害における検査と治療の選択肢について、分かりやすく解説します。

婦人科と内科、更年期障害で受診するならどっち?

「更年期かも?」と感じたら、婦人科を受診するのが一般的です。婦人科は女性の健康に関する専門家なので、更年期障害の症状にも精通しています。しかし、更年期障害の症状は多岐にわたり、他の病気の症状と似ている場合も少なくありません。

例えば、動悸や息切れは更年期障害だけでなく、心臓病や甲状腺の病気の可能性もあります。当クリニックにも、動悸で来院された患者さんが、検査の結果、心臓に問題が見つかったケースがありました。また、気分の落ち込みやイライラは、更年期障害だけでなく、うつ病の症状である可能性もあります。

更年期に差し掛かる年代は、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病も発症しやすくなります。更年期障害の症状だと思っていたものが、実はこれらの生活習慣病が原因だったというケースも少なくありません。

このように、更年期障害の症状は他の病気の症状と複雑に絡み合っていることが多く、自己判断は危険です。どの科を受診すべきか迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談しましょう。必要に応じて、婦人科や他の専門科への紹介状を書いてもらうとスムーズです。天白橋内科内視鏡クリニックでは、内科的疾患の検査や治療も行っておりますので、更年期障害の症状でお悩みの方も、お気軽にご相談ください。

更年期障害の検査方法(問診、血液検査、ホルモン検査など)

更年期障害の検査では、まず問診から始めます。いつからどのような症状があるのか、症状の頻度や程度、日常生活への影響などを詳しく伺います。過去の病歴や服薬状況、生活習慣(食事、睡眠、運動など)についても確認します。

次に、血液検査を行います。血液検査では、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロンなど)の血中濃度を測定します。加えて、甲状腺ホルモンや血糖値、コレステロール値なども測定し、他の病気が隠れていないかを確認します。血液検査の結果は、更年期障害の診断だけでなく、適切な治療法を選択するためにも重要な情報となります。

ホルモン検査としては、血液検査に加えて、尿検査や唾液検査を行う場合もあります。これらの検査結果と問診の内容を総合的に判断し、更年期障害の診断を行います。更年期障害の診断には明確な基準はありません。医師は、患者さんの症状や検査結果、そして生活への影響などを考慮して診断を下します。

更年期障害の治療法の種類(ホルモン補充療法、漢方薬、プラセンタ療法など)

更年期障害の治療法は多様であり、患者さんの症状や生活への影響、そして希望に合わせて最適な治療法を選択します。代表的な治療法には、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、プラセンタ療法などがあります。

ホルモン補充療法(HRT)は、減少した女性ホルモンを補充する治療法です。飲み薬、貼り薬、塗り薬など様々な種類があり、患者さんの状態に合わせて選択します。HRTは更年期症状の緩和に非常に効果的ですが、血栓症などのリスクも伴います。医師とよく相談し、定期的な検査を受けながら進めることが重要です。英国では約100万人の女性が更年期症状の管理にHRTを使用しているという報告もあります。

漢方薬は、複数の生薬を組み合わせた薬です。体質改善を図りながら更年期症状を緩和します。HRTとは異なり、穏やかに作用するのが特徴です。患者さんの体質や症状に合わせて、適切な漢方薬を選択します。

プラセンタ療法は、プラセンタ(胎盤)から抽出されたエキスを注射、内服、点滴などで投与する治療法です。更年期症状の改善や自律神経の調整、免疫力の向上などが期待されます。

更年期障害の治療は、症状が完全になくなるまで続けるというよりも、症状をコントロールし、日常生活を快適に送れるようにすることを目標とします。更年期も、明るく元気に過ごせるように、一緒に治療を進めていきましょう。

プラセンタ療法の効果と副作用、費用相場

プラセンタ療法は、更年期障害の治療法の一つとして近年注目されています。プラセンタとは胎盤のことで、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど様々な栄養素や成長因子が豊富に含まれています。これらの成分が、更年期症状の緩和、自律神経の調整、免疫力の向上、美肌効果などに繋がると考えられています。プラセンタ療法には、注射、内服、点滴など様々な投与方法があります。当クリニックでは注射によるプラセンタ療法を行っており、患者さんの状態に合わせて適切な投与量や投与間隔を決定します。

プラセンタ療法の副作用として、注射部位の発赤やかゆみ、まれに発熱や倦怠感が報告されています。費用相場は医療機関によって異なりますが、当院では1回1000円程度です。プラセンタ療法は更年期障害以外にも、様々な疾患に効果があるとされています。更年期障害でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

天白橋内科内視鏡クリニックでの更年期治療

更年期は、女性ホルモンの分泌量が低下していくことで、心身に様々な変化が現れる時期です。ちょうど人生の季節の変わり目と言えるでしょう。天白橋内科内視鏡クリニックでは、更年期に伴う様々な症状に対して、主にプラセンタを接種させていただくことで皆様効果を感じてらっしゃいます。どうぞお気軽にご相談ください。

更年期障害に対する当院の診療方針

更年期障害の症状は非常に多様で、一人として同じ症状の患者様はいません。

ホルモン補充療法(HRT)のような西洋医学的な治療法に加え、漢方薬やプラセンタ療法、エクソソーム点滴療法など、様々な治療の選択肢があります。HRTは更年期症状の改善に非常に効果的ですが、血栓症などのリスクも伴います。英国では約100万人の女性が更年期症状の管理にHRTを使用しているという報告もありますが、患者様によってはHRTが適さない場合もあります。

更年期の症状は人それぞれであり、画一的な治療ではなく、患者様にとって最適な治療法を見つけることが重要だと考えています。更年期は、卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌が減少し、様々な症状が現れる時期です。ホルモン補充療法(HRT)は更年期症状の改善に有効ですが、個人差があり、潜在的なリスクも存在します。

例えば、40代後半のAさんは、ホットフラッシュとイライラ感が強く、日常生活に支障が出ていると訴えて来院されました。Aさんの症状や生活スタイル、そして治療に対する希望を考慮し、HRTを選択しました。定期的な検査を行いながらHRTを継続した結果、Aさんの症状は大幅に改善し、仕事にも復帰することができました。

一方で、50代前半のBさんは、ホットフラッシュは軽度でしたが、強い不安感に悩んでいました。BさんはHRTに抵抗があったため、漢方薬による治療を選択しました。Bさんの体質や症状に合わせた漢方薬を処方した結果、不安感は軽減し、穏やかな日々を取り戻すことができました。

このように、患者様一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最適な治療法を選択することで、更年期症状の改善を目指しています。

といっても当院は内科なので基本的にはプラセンタか漢方薬しか選択肢がないので難しい場合は婦人科にご紹介させていただきます。

プラセンタ療法について(当院での費用、治療の流れなど)

プラセンタ療法とは、ヒト胎盤から抽出されたエキスを注射、内服、点滴などで投与する治療法です。プラセンタには、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど、様々な栄養素や成長因子が豊富に含まれており、これらの成分が更年期症状の緩和、自律神経の調整、免疫力の向上、美肌効果などに良い影響を与えると考えられています。

当院では、プラセンタ注射による治療を行っています。注射によるプラセンタ療法は、他の投与方法と比較して効果が現れやすいという特徴があります。また、副作用として、注射部位の発赤やかゆみ、まれに発熱や倦怠感が報告されていますが、重篤な副作用はほとんどありません。

費用は1回あたり1000円程度です。治療の流れとしては、まず医師による問診と診察を行います。その際に、現在お悩みの症状や過去の病歴、アレルギーの有無などを詳しくお伺いします。その後、患者様の状態に合わせて適切なプラセンタの投与量や投与間隔を決定します。プラセンタ療法は更年期障害には保険診療となりますので、費用や治療期間については、お気軽にお問い合わせください。

 

アクセス方法と診療時間(名古屋市営地下鉄鶴舞線「原駅」より徒歩2分、提携駐車場完備)

天白橋内科内視鏡クリニックは、名古屋市営地下鉄鶴舞線「原駅」2番出口より徒歩2分の場所にございます。また、近隣には提携駐車場もございますので、お車でも安心してご来院いただけます。

更年期症状でお悩みの方は、どうぞお気軽にご来院ください。ご予約は、お電話または当院のウェブサイトからお願いいたします。

よくある質問(FAQ)

Q. 更年期障害と診断されたら、どのくらいの頻度で通院すれば良いですか?

A. 症状や治療法によって異なりますが、症状が強い場合は、最初は1~2週間に1回のペースで通院していただくことが多いです。症状が安定してきたら、月1回程度の通院で経過観察を行います。プラセンタ療法は、更年期障害の治療目的では保険適用です。

Q. プラセンタ療法は保険適用になりますか?

A. 更年期障害に対するプラセンタ療法は、基本的に保険適用となります。費用については、お気軽にお問い合わせください。

Q. ホルモン補充療法の副作用が心配です。

A. ホルモン補充療法は、適切な量と方法で用いれば、副作用は最小限に抑えられます。当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて、最適な治療法をご提案いたしますので、ご安心ください。更年期障害の治療は、症状が完全に消失するまで続けるというよりも、症状をコントロールして日常生活を快適に送れるようにすることを目標とします。更年期を明るく元気に過ごせるように、一緒に治療を進めていきましょう。

まとめ

更年期障害の症状、原因、治療法について解説した記事のまとめです。

更年期障害は、卵巣機能の低下によるエストロゲン減少が主な原因で、ほてりやのぼせ、イライラ、不安感など多様な症状が現れます。これらの症状は他の病気と類似している場合があり、自己判断は危険です。婦人科をはじめ、必要であれば他の診療科も受診し、適切な検査を受けることが重要です。

治療法には、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、プラセンタ療法などがあり、症状や個々の状況に合わせて選択されます。HRTは効果的ですがリスクも伴うため、医師と相談が必要です。プラセンタ療法は栄養素や成長因子を豊富に含み、更年期症状の緩和などに効果が期待されます。

更年期障害は適切な治療で症状をコントロールし、快適に過ごせるようになります。更年期だからと諦めず、専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


 

令和6年11月19日 

天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

参考文献

  • Vigneswaran K, Hamoda H. Hormone replacement therapy – Current recommendations. Best practice & research. Clinical obstetrics & gynaecology 81, no. (2022): 8-21.

追加情報

[title]: Hormone replacement therapy – Current recommendations.,

ホルモン補充療法:最新の推奨事項

【要約】

  • 更年期は女性の生殖機能の終わりを示す主要なライフイベントであり、短期・長期的な影響を及ぼします。平均年齢は51歳です。

  • 更年期症状は卵巣内の卵子の枯渇による慢性的なエストロゲン欠乏状態が原因です。短期的な症状としては更年期症状、長期的な影響としては骨や心血管系の健康への悪影響があります。

  • Women’s Health Initiative StudyやMillion Women Studyの発表後、ホルモン補充療法(HRT)の処方は大幅に減少しましたが、現在も約100万人の英国女性が更年期症状の管理のためにHRTを使用していると推定されています。

  • 本論文は、更年期女性のHRT使用に関する最新の推奨事項をまとめたものです。更年期症状の改善におけるHRTの利点と、長期的な続発症の管理におけるHRTの潜在的な役割について論じています。

  • HRTに関連する潜在的なリスクに関する証拠についても検討しています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35000809,

[quote_source]: Vigneswaran K and Hamoda H. “Hormone replacement therapy – Current recommendations.” Best practice & research. Clinical obstetrics & gynaecology 81, no. (2022): 8-21.