みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
内視鏡といえば天白橋。内科もやっぱり天白橋。天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。
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病院やクリニックの待合室で、苛立ちを隠せない患者の姿を目にすることは珍しくありません。
日本の医療機関では待ち時間が長いことが慢性的な問題となっています。
しかし、待ち時間があると分かっているにもかかわらず、待たされて激怒する患者が後を絶たないのはなぜなのでしょうか。
その背景には、現代社会が抱える複雑な心理と制度的な課題が存在します。
1. 時間価値の変容とストレス社会
現代人は時間に追われています。技術の進歩により、情報やサービスが瞬時に手に入る時代になりました。
その結果、人々は「待つこと」に対して以前よりも忍耐力を失いつつあります。
忙しい日常の中で、計画外の待ち時間は大きなストレスとなり、感情的な反応を引き起こす要因となります。
2. 期待と現実のギャップ
患者は病院に行く際、できるだけスムーズに診察を受けたいと期待します。
予約システムの普及やオンラインでの待ち時間確認など、利便性が向上している一方で、実際には予定通りに進まないことも多々あります。
この「期待と現実のギャップ」が不満や怒りを増幅させるのです。
3. 体調不良による感情の不安定化
病院を訪れる患者は、身体的な不調や不安を抱えています。
そのため、通常よりも感情が不安定になりやすい状態です。
待ち時間が長引くことで症状が悪化したり、不安が増したりすることで、苛立ちや怒りが表面化しやすくなります。
4. コミュニケーション不足
医療スタッフからの十分な情報提供や説明がない場合、患者は「無視されている」「軽視されている」と感じることがあります。
待ち時間の理由や予測を知らされないことで、不信感や不満が募り、激怒する原因となります。
5. 医療制度への不満の表出
待ち時間への怒りは、個々の医療機関だけでなく、日本の医療制度全体への不満の表れでもあります。
例えば、診療報酬制度や医師不足、過密スケジュールなど、構造的な問題が背景にあることを多くの人が認識していますが、解決の糸口が見えない現状に苛立ちを感じているのです。
6. 社会的ストレスのはけ口
現代社会では、職場や家庭でのストレスが蓄積しやすくなっています。
普段は我慢していても、些細なきっかけでそのフラストレーションが爆発することがあります。
待ち時間の苛立ちは、そのはけ口として現れている可能性があります。
7. メディアの影響
テレビやインターネットで報道される医療事故や不祥事により、医療機関への信頼が揺らいでいる側面もあります。
ネガティブな情報が先行することで、患者は医療機関に対して疑心暗鬼になりやすく、些細な遅れや不手際に過敏に反応してしまうのです。
解決への道筋
コミュニケーションの強化が鍵となります。
医療スタッフが待ち時間の理由や予測を丁寧に説明することで、患者の不安や苛立ちを軽減できます。
また、待合環境の改善や予約システムの最適化も有効です。
さらには、社会全体で医療現場の現状を理解し、医療資源の適正配分や制度改革を進めることが求められます。
おわりに
待ち時間に激怒する患者が増加している現状は、個人の問題だけでなく、社会全体のストレスや医療制度の課題を映し出しています。
患者と医療者が相互理解を深め、共に解決策を模索することで、この問題は緩和されるでしょう。
心の余裕を持ち、お互いを思いやる社会の実現が求められています。
全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和6年9月25日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医