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骨粗鬆症が心配になってきた!内科に行く?それとも整形外科?

あなたは最近、階段を上る時に息切れを感じたり、少しの段差でつまずきやすくなったりしていませんか?もしかしたら、それは骨粗鬆症のサインかもしれません。 実は、50歳以上の女性では約2人に1人、男性でも約4人に1人が骨粗鬆症、あるいはその予備軍と言われています。 骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気で、初期には自覚症状がほとんどありません。 知らないうちに進行し、くしゃみや軽い転倒で骨折してしまうことも…。 この記事では、骨粗鬆症の症状や原因、そして内科と整形外科、どちらを受診すべきかなど、具体的な情報をお届けします。 ご自身の骨の健康、一緒に見直してみませんか?

【この記事の著者のご紹介】
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骨粗鬆症を理解する3つのポイント

骨粗鬆症は、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。加齢とともに誰にでも起こりうる現象ですが、特に女性は閉経後に女性ホルモンの分泌が減少することで骨量が急激に減少し、骨粗鬆症のリスクが高まります。若いから大丈夫、と安心している方もいるかもしれませんが、食生活の乱れや運動不足など、現代社会の生活習慣は骨の健康にも悪影響を及ぼします。ご自身の骨の健康状態について、一緒に考えてみましょう。

骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨の微細構造が変化することで、骨強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。骨は、一見すると硬くて変化がないように思えますが、実は常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という新陳代謝を繰り返しています。若い頃は骨形成が骨吸収を上回っているため、骨量は増加し、骨は強く保たれます。しかし、加齢とともに骨形成が追いつかなくなり、骨吸収が骨形成を上回るようになると、骨密度は徐々に低下し、骨粗鬆症へと進行していきます。

骨粗鬆症になると、骨がスカスカのもろい状態になり、まるで乾燥した麩菓子のように、少しの衝撃でも簡単に折れてしまいます。健康な骨はビスケットのように緻密で強度があるため、簡単には折れません。骨粗鬆症が進行すると、くしゃみや咳といった日常の動作でさえ、骨折の引き金になることがあります。特に骨折しやすい部位は、背骨(脊椎)、手首、大腿骨近位部(太ももの付け根)です。高齢者の場合、これらの骨折は寝たきりの原因となるだけでなく、生活の質を著しく低下させ、健康寿命を縮めることにも繋がります。

私の患者さんの中にも、くしゃみをした拍子に肋骨を骨折した方や、軽い転倒で手首を骨折した方がいらっしゃいました。一見些細なことが大きな怪我に繋がるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

骨粗鬆症の症状:初期症状と進行した症状

骨粗鬆症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、初期にはほとんど自覚症状がありません。自覚症状が現れにくい病気であるため、知らないうちに病気が進行し、骨折をきっかけに初めて骨粗鬆症と診断されるケースも少なくありません。まるで忍者のごとく静かに進行していくため、注意が必要です。

初期症状としては、背中や腰の痛み、姿勢の変化(猫背気味になる)、身長が縮むといったことが挙げられます。しかし、これらの症状は加齢による変化と区別がつきにくいため、見過ごされてしまうことも多いです。進行すると、わずかな衝撃でも骨折しやすくなるだけでなく、背骨の圧迫骨折により背中が丸くなり、呼吸機能の低下や食欲不振などを引き起こすこともあります。

例えば、私のクリニックに通院されている70代の女性は、長年腰痛に悩まされていましたが、加齢によるものだと思い込んでいました。しかし、ある日、軽い段差につまずいて転倒し、大腿骨を骨折。その後の検査で骨粗鬆症と診断されました。このように、骨折を経験して初めて骨粗鬆症に気づくケースは少なくありません。

骨粗鬆症の原因とメカニズム:加齢、遺伝、生活習慣など

骨粗鬆症の主な原因は加齢、遺伝、生活習慣です。加齢は誰にも避けられないものですが、遺伝や生活習慣は、ある程度自分でコントロールすることができます。

加齢に伴い、骨を作る骨芽細胞の働きが弱まり、骨を壊す破骨細胞の働きが相対的に強くなるため、骨量は減少します。閉経後の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで骨吸収が促進され、骨量が急激に減少します。

遺伝的要因も骨粗鬆症の発症に大きく関わっています。両親が骨粗鬆症の場合、子供も骨粗鬆症になりやすい傾向があります。これは、骨密度や骨の質などが遺伝的に影響を受けるためです。

生活習慣も骨粗鬆症のリスクを高める要因となります。カルシウムやビタミンDの不足は骨の形成を阻害します。カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、緑黄色野菜などに多く含まれています。ビタミンDは鮭やマグロなどの魚類、きのこ類、卵などに多く含まれ、日光を浴びることで体内で合成することもできます。過度な飲酒や喫煙も骨密度を低下させる要因となるため、注意が必要です。また、運動不足は骨への刺激を減少させ、骨密度を低下させる原因となります。逆に、適度な運動は骨を強く保つために重要です。

例えば、食生活の欧米化やダイエットによる栄養不足、運動不足、喫煙といった生活習慣は、骨粗鬆症のリスクを高めます。骨粗鬆症は生活習慣病の一つと言えるでしょう。日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などを心がけることが大切です。

骨粗鬆症の診断と治療法

骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行していることも少なくありません。

骨粗鬆症は、高齢化社会の日本で増加の一途を辿っています。特に高齢の女性は、閉経後の女性ホルモンの減少により骨密度が低下しやすく、骨粗鬆症のリスクが高まります。50歳以上の女性では約2人に1人、男性では約4人に1人が骨粗鬆症、あるいはその予備軍であるといわれています。

早期発見・早期治療が大切ですので、骨粗鬆症が心配な方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。この記事では、骨粗鬆症の診断方法と治療法、そして受診する科についてご説明します。

骨粗鬆症の診断方法:骨密度検査、血液検査など

骨粗鬆症の診断には、主に骨密度検査が用いられます。骨密度検査では、骨の強さを測ることで骨粗鬆症の程度を調べます。骨密度検査にはいくつか種類がありますが、広く行われているのはDEXA法(デキサ法)と呼ばれる方法です。DEXA法は、X線を使って腰の骨や太ももの骨の骨密度を測定します。痛みもなく、短時間で検査が完了します。

DEXA法では、若年成人の平均骨密度と比較した値であるYAM(若年成人平均値)と比較して、骨密度を評価します。YAMの70%未満を骨粗鬆症、70~80%を骨減少症と診断します。骨減少症は、骨粗鬆症の予備軍と言える状態で、将来的に骨粗鬆症へと進行するリスクが高い状態です。

その他、血液検査で骨代謝マーカーを調べることもあります。骨代謝マーカーとは、骨が作られたり壊されたりする時に血液中に出てくる物質のことです。これらの物質の量を調べることで、骨の状態を詳しく知ることができます。代表的な骨代謝マーカーには、骨形成の指標となるALPやBGP、骨吸収の指標となるCTXなどがあります。

例えば、私のクリニックでは70代の女性が定期的に骨密度検査を受けています。彼女は当初、骨減少症と診断されましたが、その後、生活習慣の改善や薬物療法により、骨密度が維持できています。このように、定期的な検査と適切な治療によって、骨粗鬆症の進行を抑制し、骨折のリスクを減らすことが可能です。

骨粗鬆症の治療法:薬物療法、運動療法、食事療法

骨粗鬆症の治療は、薬物療法、運動療法、食事療法の3つの柱で行われます。薬物療法で骨密度を高める薬を服用するとともに、運動療法で骨を強くし、食事療法で骨に必要な栄養を補給します。すべての治療法は骨粗鬆症を治癒するものではなく、あくまで進行を遅らせたり骨折を防いだりする効果を期待するものです。治療を中断すると、再び骨密度が低下してしまう可能性があるため、継続的な治療が必要となります。

  • 薬物療法: 骨粗鬆症の治療薬には、骨の吸収を抑えるビスフォスフォネート製剤や、骨を作るのを助ける副甲状腺ホルモン製剤など、様々な種類があります。患者さんの状態に合わせて、最適な薬剤を選択する必要があります。私のクリニックでは、患者さん一人ひとりの病状や生活習慣を考慮し、副作用のリスクも踏まえた上で、最適な薬剤を提案するようにしています。

  • 運動療法: 適度な運動は骨を強くします。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動や、軽いダンベルトレーニングなどの筋力トレーニングが効果的です。無理のない範囲で行うことが大切です。例えば、私の患者さんの中には、毎日30分のウォーキングを継続することで、骨密度が改善した方がいらっしゃいます。

  • 食事療法: カルシウムやビタミンDを積極的に摂りましょう。カルシウムは牛乳やヨーグルト、小魚などに多く含まれています。ビタミンDは鮭やさんまなどの魚、きのこ類、卵に多く含まれています。バランスの良い食事を心がけることも重要です。カルシウムやビタミンDが不足すると、骨粗鬆症のリスクが高まるだけでなく、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

内科と整形外科:どちらを受診すべき?

骨粗鬆症は、内科、整形外科、婦人科などで診療しています。どの科を受診すれば良いか迷う方もいるかもしれません。まずは、かかりつけの内科を受診するのが良いでしょう。内科では、骨粗鬆症の検査や治療はもちろん、他の病気の有無も確認できます。必要に応じて、整形外科や他の専門の医療機関を紹介してもらえます。整形外科は、骨粗鬆症が原因で骨折した場合の治療を行います。

天白橋内科内視鏡クリニックでの骨粗鬆症の診療内容

当クリニックでは、骨密度測定装置を用いてDEXA法による骨密度検査を実施しています。また、患者様の状態に合わせた薬物療法、運動療法、食事療法の指導も行っております。骨粗鬆症の予防や治療に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。特に骨折を経験した方は、骨の脆弱性と将来の骨折リスク増加の警告サインかもしれませんので、ご相談ください。

骨粗鬆症の予防と日常生活の注意点

骨粗鬆症は、知らないうちに進行し、骨折してから気づくことも多い病気です。しかし、予防や早期発見、適切な治療によって、健康な生活を送ることは十分に可能です。

この章では、骨粗鬆症の予防方法や日常生活での注意点、そして家族に骨粗鬆症の方がいる場合の注意点について、わかりやすく解説します。

骨粗鬆症は、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨折を経験するまで自覚症状がないことが多く、「沈黙の病気」とも呼ばれています。

高齢化社会の日本では、骨粗鬆症の患者数は増加の一途を辿っています。50歳以上の女性では約2人に1人、男性では約4人に1人が骨粗鬆症、あるいはその予備軍であるという統計も出ています。私のクリニックにも、骨粗鬆症の患者さんは多く来院されます。

ご自身の骨の健康状態について、一緒に考えてみましょう。

骨粗鬆症の予防方法:食事、運動、転倒予防など

骨粗鬆症の予防には、「食事」「運動」「転倒予防」の3つの柱が大切です。バランスの良い食事で骨の材料を補給し、運動で骨を鍛え、転倒を防ぐことで骨折のリスクを減らすことができます。まるで家を建てるように、骨の健康も土台作りが重要です。

1. 食事:バランスの良い食事を心がけ、カルシウムとビタミンDをしっかり摂りましょう。

カルシウムとビタミンDは、骨の形成に欠かせない栄養素です。カルシウムは牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、小松菜やほうれん草などの緑黄色野菜、豆腐や納豆などの大豆製品、干しエビやイワシなどの魚介類に多く含まれています。ビタミンDは鮭やさんま、しらす干しなどの魚介類、卵やきのこ類に多く含まれています。

私のクリニックに通院している患者さんの中には、毎日牛乳を飲む習慣を身につけることで、骨密度が改善した方がいらっしゃいます。また、日光浴もビタミンDの生成を促すため効果的です。1日15分ほど、日光に当たるように心がけましょう。

2. 運動:骨に適度な刺激を与える運動を習慣にしましょう。

運動は、骨に適度な刺激を与え、骨密度を維持・向上させる効果があります。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、骨の形成を促進します。筋力トレーニングは、筋肉を鍛えることで骨への負荷を高め、骨を強くします。

例えば、私の患者さんの中には、週に3回、30分程度のウォーキングを継続することで、骨密度が改善し、骨折のリスクを軽減できた方がいらっしゃいます。

3. 転倒予防:家の中や外出先で、転倒を防ぐ工夫をしましょう。

転倒は骨折の大きな原因となります。家の中や外出先で、転倒を防ぐための工夫をしましょう。家の中では、床に物を置かないように整理整頓し、カーペットの端をきちんと直しましょう。階段には手すりをつけることも有効です。外出先では、歩きやすい靴を選び、段差に注意しましょう。必要に応じて、杖や歩行器を使用することも検討しましょう。

骨粗鬆症と診断された場合の生活上の注意点

骨粗鬆症と診断されたら、日常生活でさらに注意が必要です。適切な治療を継続することで、骨粗鬆症の進行を抑制し、骨折のリスクを減らすことができます。

  • 定期的な検査: 医師の指示に従って、定期的に骨密度検査を受け、骨の状態を把握しましょう。
  • 薬物療法: 医師から処方された薬は、指示通りにきちんと服用しましょう。自己判断で中断するのは危険です。薬物療法は骨粗鬆症の治療の柱の一つであり、骨折リスクを大幅に減少させることができます。
  • 運動療法: 医師や理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で運動を行いましょう。運動は骨を強くし、転倒予防にも効果的です。
  • 食事療法: 栄養バランスの良い食事を摂り、カルシウムやビタミンDが不足しないように気をつけましょう。栄養は骨の健康を支える基盤となります。
  • 転倒予防: 日常生活の中で、転倒のリスクを減らす工夫をしましょう。段差に注意したり、滑りにくい靴を履いたり、家の中の整理整頓をしたりするだけでも、転倒のリスクを大きく減らすことができます。

骨折のリスクを減らすための対策

骨粗鬆症になると、骨折のリスクが高まります。骨折を予防するためには、日常生活における様々な対策が重要です。

  • 栄養バランスの良い食事: カルシウムやビタミンDをはじめ、骨の健康に必要な栄養素をバランス良く摂取しましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングも効果的です。運動は骨を強くするだけでなく、バランス能力の向上にも繋がります。
  • 禁煙: 喫煙は骨密度を低下させる原因となります。禁煙は骨の健康だけでなく、全身の健康にも繋がります。
  • 過度な飲酒は控える: アルコールは骨の形成を阻害します。適量を守り、過度な飲酒は控えましょう。
  • 転倒予防: 家の中や外出先での転倒を防ぐことで、骨折のリスクを減らすことができます。家の中の整理整頓、滑りにくい靴の着用、手すりの設置など、できることから始めてみましょう。

家族に骨粗鬆症の患者がいる場合の注意点

家族に骨粗鬆症の方がいる場合、遺伝的な要因から、あなたも骨粗鬆症のリスクが高い可能性があります。特に両親が骨粗鬆症の場合、子供も骨粗鬆症になりやすい傾向があります。

  • 定期的な骨密度検査: 定期的に骨密度検査を受け、ご自身の骨の状態を把握しましょう。早期発見・早期治療は、骨粗鬆症の進行を抑制するために重要です。
  • 生活習慣の見直し: バランスの良い食事、適度な運動、禁煙、節酒を心がけましょう。健康的な生活習慣は、骨粗鬆症の予防だけでなく、全身の健康にも繋がります。
  • 転倒予防: 家の中や外出先での転倒を防ぐために、安全な住環境を整えましょう。段差をなくしたり、手すりを設置したりするなど、できることから始めてみましょう。
  • 家族の理解とサポート: 家族が骨粗鬆症の場合、周囲の理解とサポートが重要です。一緒に食事や運動に取り組んだり、通院に付き添ったりすることで、心強い支えとなるでしょう。

ご自身の生活習慣を見つめ直し、骨粗鬆症の予防・改善に繋がる行動を心がけましょう。そして、少しでも不安を感じたら、医療機関に相談することをお勧めします。

まとめ

骨粗鬆症は骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。加齢、遺伝、生活習慣などが原因で、特に閉経後の女性はリスクが高まります。初期には自覚症状がほとんどないため、骨折をきっかけに発見されることも多いです。

骨粗鬆症の診断には骨密度検査が用いられ、治療は薬物療法、運動療法、食事療法の3本柱です。内科、整形外科、婦人科などで診療を行っています。かかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうと良いでしょう。

予防には、カルシウムやビタミンDを摂取するバランスの良い食事、骨に適度な刺激を与える運動、そして転倒予防が重要です。家族に骨粗鬆症の方がいる場合は、自身もリスクが高い可能性があるため、定期的な検査と生活習慣の見直しが必要です。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


 

令和6年11月13日 

天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

参考文献

  1. LeBoff MS, Greenspan SL, Insogna KL, Lewiecki EM, Saag KG, Singer AJ, Siris ES. “The clinician’s guide to prevention and treatment of osteoporosis.” Osteoporosis international 33, no. 10 (2022): 2049-2102.

追加情報

[title]: The clinician’s guide to prevention and treatment of osteoporosis.,

骨粗鬆症の予防と治療に関する臨床医向けガイド

【要約】

  • 骨粗鬆症は米国および世界で最も一般的な代謝性骨疾患です。
  • 骨粗鬆症は骨折を合併するまで無症候性です。
  • 骨折は、骨折を経験する個人に莫大な医療的および個人的な負担をかけ、経済的に大きな損失をもたらします。
  • 50歳以上の成人における新規骨折は、特に最初の骨折から1年後に、その後の骨折のリスクが顕著に高まることを示唆しています。
  • 患者が不運な事故と認識しているものが、かなりの外傷の結果であっても、骨の脆弱性と将来の骨折のリスクの増加を示す警告サインとみなされる場合があります。
  • 骨粗鬆症性骨折で最も一般的な臨床的または無症候性の椎体骨折は、追加の椎体骨折のリスクが5倍、他の部位での骨折のリスクが2〜3倍増加します。
  • 治療されていない骨粗鬆症は、しばしば障害や早死につながる、再発性の骨折の悪循環につながる可能性があります。
  • 適切な患者では、効果的な骨折予防薬による治療は骨折を予防し、転帰を改善します。
  • プライマリケアの提供者と専門医は、骨折を特定し、実証された骨粗鬆症の介入を開始できる重要なゲートキーパーです。
  • 骨粗鬆症の検出、診断、および治療は、すべての成人医療施設において日常的な慣行であるべきです。
  • 骨粗鬆症の予防と治療に関する正確な情報を提供するために、骨健康と骨粗鬆症財団(BHOF)(旧国立骨粗鬆症財団)は、1999年に初めて臨床医向けガイドを発行しました。
  • その後、骨粗鬆症の診断技術と治療法が大幅に改善されました。
  • これらの進歩にもかかわらず、患者のケアには懸念すべきギャップが残っています。
  • リスクのある患者は、しばしば骨折確率を確立するためにスクリーニングされず、骨折予防について教育されていません。
  • 最も懸念されるのは、骨折を経験した高リスクの女性および男性の大多数が診断されず、効果的なFDA承認の治療を受けていないことです。
  • 適切な治療を処方された人でも、処方通りに薬を服用する可能性は低い。
  • 臨床医向けガイドは、閉経後の女性と50歳以上の男性における骨粗鬆症の予防、リスク評価、診断、および治療に関する簡潔な推奨事項を提供します。
  • これは、骨密度測定の適応症だけでなく、薬物療法のための骨折リスクしきい値も含まれています。
  • 現在、骨を構築または骨の分解を減少させる薬剤は、発生する骨折を大幅に減少させます。
  • すべての骨折予防薬は治療しますが、病気を治癒するわけではありません。
  • 薬剤が中止されると、骨格の劣化は遅かれ早かれ再開されます。非ビスホスホネートでは早く、ビスホスホネートでは遅く再開されます。
  • 骨密度が正常に達した場合でも、骨粗鬆症と骨折のリスクの上昇は依然として存在します。
  • 後続のDXA Tスコアが-2.5を超えていても、骨粗鬆症の診断は持続します。
  • 骨折を回避するためには、継続的なモニタリングと戦略的な介入が必要です。
  • 薬物療法に加えて、十分なカルシウムとビタミンDの摂取、喫煙と過度のアルコール摂取の回避、体重をかけたり抵抗を訓練する運動、転倒予防が、骨折予防の手段に含まれます。
  • 可能な場合は、このガイドの推奨事項はRCTからの証拠に基づいています。ただし、関連する公開されたデータと専門家の臨床経験からのガイダンスは、RCTの証拠が現在不足しているか、年齢や罹患率のためにRCT参加の対象とならなかった多くの骨粗鬆症患者には適用できない分野における推奨事項の基礎を提供します。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35478046,

[quote_source]: LeBoff MS, Greenspan SL, Insogna KL, Lewiecki EM, Saag KG, Singer AJ and Siris ES. “The clinician’s guide to prevention and treatment of osteoporosis.” Osteoporosis international : a journal established as result of cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA 33, no. 10 (2022): 2049-2102.