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肺炎球菌ワクチンは打った方がいいの?

咳が長引く、熱が高い、息苦しい…。もしかしたら、それは肺炎のサインかもしれません。肺炎は肺の炎症で、重症化すると入院や命に関わる危険性も。実は、肺炎は身近な病気で、初期症状は風邪とよく似ているため、見過ごされがちです。この記事では、肺炎の症状・原因・危険性、そして肺炎球菌ワクチンの効果など、重要なポイントを4つの項目でわかりやすく解説します。ご自身や家族の健康を守るための知識として、ぜひ最後までお読みください。

【この記事の著者のご紹介】
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肺炎の症状・原因・危険性を知る4つのポイント

咳が長引く、熱も高い、息苦しい…。これらの症状に覚えはありませんか?もしかしたら、それは肺炎のサインかもしれません。

肺炎は、肺に炎症が起こる病気です。放っておくと重症化し、入院が必要になるケースや、命に関わる危険性も潜んでいます。

肺炎は早期発見・早期治療が重要です。この記事では、肺炎の症状や原因、危険性について、4つのポイントでわかりやすく解説します。ご自身やご家族の健康を守るためにも、ぜひ最後までお読みください。

肺炎の主な症状

肺炎の初期症状は風邪と非常によく似ており、見分けるのが難しいケースが多いです。

例えば、咳、発熱、痰、息苦しさなど、風邪の症状と共通しているため、多くの方が「ただの風邪だろう」と安易に考えてしまいがちです。

しかし、肺炎の場合はこれらの症状がより強く、長引く傾向があります。咳は、最初は乾いた咳だったのが、次第に痰を伴うようになり、痰の色も透明から黄色、緑色、そして場合によっては血が混じることもあります。

また、発熱も38度以上の高熱が続くことが多く、息苦しさは安静時にも感じたり、少し動いただけで息が上がってしまうこともあります。

さらに、倦怠感や食欲不振、胸の痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛といった全身症状を伴うこともあります。

特に高齢者の方の場合、これらの症状がはっきりと現れず、何となくぼんやりしている、食欲が落ちているといった変化だけで肺炎が進行しているケースもあるので、注意が必要です。

私が診察した患者さんの中にも、最初は「少し風邪気味かな?」と訴えて来院された方が、実は肺炎だったというケースが少なくありません。

風邪かな?と思ったら、早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが大切です。

肺炎の原因となる病原体

肺炎は様々な病原体によって引き起こされます。主な原因となるのは、細菌、ウイルス、そして真菌の3種類です。

細菌性の肺炎で最も多いのは、肺炎球菌という細菌です。その他、インフルエンザ菌b型(Hib)や肺炎桿菌、レジオネラ菌なども原因となります。

ウイルス性の肺炎は、インフルエンザウイルスやRSウイルス、コロナウイルスなど、風邪の原因となるウイルスが引き起こすことがあります。

真菌はカビの一種で、健康な人では肺炎を起こすことは稀ですが、免疫力が低下している人では、アスペルギルスやニューモシスチス・イロベチイなどの真菌が原因で肺炎になるケースがあります。

免疫力が低下している状態とは、例えば、高齢者の方、HIV感染者、臓器移植を受けた方、抗がん剤治療を受けている方などが挙げられます。

このように、肺炎の原因は多岐にわたるため、原因を特定し、適切な治療法を選択することが重要となります。

肺炎の危険性と合併症

肺炎は適切な治療を行えば多くは改善しますが、重症化すると命に関わる危険性があります。特に高齢者の方や、糖尿病、心臓病、呼吸器疾患などの基礎疾患がある方は重症化しやすい傾向があります。

肺炎の重症化は、地域獲得肺炎においても重要な問題であり、死亡率の高さにも繋がります。

肺炎が重症化すると、呼吸不全に陥り、人工呼吸器が必要となるケースもあります。また、肺だけでなく、血液を通して全身に炎症が広がり、敗血症という命に関わる危険な状態になることもあります。

その他、肺炎をきっかけに、脳症、心不全、腎不全などの合併症を引き起こす可能性もあります。

高齢者の方では、肺炎が原因で認知症が悪化したり、寝たきりになってしまうケースも少なくありません。

肺炎は決して軽く見てはいけない病気です。

肺炎の種類と特徴

肺炎は原因となる病原体や感染した場所、症状などによって、様々な種類に分けられます。

細菌性肺炎は、高熱や咳、痰などの症状が特徴的です。ウイルス性肺炎は、比較的症状が軽いことが多いですが、重症化することもあります。マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという細菌によって起こり、咳や発熱、頭痛などの症状が特徴です。

また、感染経路や場所によって、病院で感染する院内肺炎と、地域で感染する市中肺炎に分けられます。院内肺炎は、入院中に免疫力が低下している状態で感染しやすく、多剤耐性菌による感染が問題となっています。市中肺炎は日常生活の中で感染する肺炎です。

このように肺炎には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なるため、医師による適切な診断と治療が不可欠です。

肺炎球菌ワクチンの効果と種類

肺炎は、誰もがかかる可能性のある身近な病気です。特に小さなお子さんやお年寄りの方は、肺炎にかかると重症化しやすいので注意が必要です。肺炎には様々な原因がありますが、中でも肺炎球菌という細菌によって引き起こされる肺炎は非常に多く、重症化しやすい傾向があります。この肺炎球菌による肺炎を予防するために有効な手段が、肺炎球菌ワクチンです。

肺炎球菌ワクチンの効果と持続期間

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌が原因となる様々な病気を防ぐためのワクチンです。肺炎球菌は肺炎だけでなく、髄膜炎(脳を包む膜の炎症)や菌血症(血液中に細菌が侵入すること)など、命に関わる重篤な疾患を引き起こす可能性があります。これらの病気を予防するために、肺炎球菌ワクチンは重要な役割を果たします。

肺炎球菌ワクチンの効果の持続期間はワクチンによって異なり、多糖体ワクチンは5年以上効果が持続する一方、結合型ワクチンは数年効果が持続すると言われています。実は、肺炎は医療現場でも罹患率と死亡率の高い疾患として認識されており、特に高齢者や基礎疾患のある方は重症化のリスクが高いのです。肺炎球菌ワクチンは、こうした重症化のリスクを減らす上で非常に有効な手段となります。

肺炎球菌ワクチンの種類(多糖体ワクチン、結合型ワクチン)

肺炎球菌ワクチンには、大きく分けて「多糖体ワクチン」と「結合型ワクチン」の2種類があります。多糖体ワクチンは、肺炎球菌の表面にある「多糖体」という成分から作られています。2歳以上のお子さんから大人まで、幅広い年齢層の方に接種できます。

もう一つは結合型ワクチンで、これは多糖体ワクチンに「タンパク質」を結合させて作られています。このタンパク質が免疫反応を高める働きをするため、生後2ヶ月から接種することが可能です。2歳未満のお子さんには結合型ワクチンが推奨されています。

肺炎球菌ワクチンの接種スケジュールと費用

肺炎球菌ワクチンの接種スケジュールと費用は、ワクチンの種類や年齢、自治体によって異なります。多糖体ワクチンは通常1回の接種で効果が得られます。結合型ワクチンは数回に分けて接種する必要があり、接種スケジュールは年齢によって異なりますので、医師にご確認ください。

費用については多くの自治体で補助金制度が設けられています。お住まいの自治体の窓口、または医療機関にお問い合わせください。当院でも接種可能ですので、お気軽にご相談ください。

名古屋市天白区のワクチン接種場所(当院含む)

名古屋市天白区には、肺炎球菌ワクチンを接種できる医療機関が複数あります。当院である天白橋内科内視鏡クリニックでも接種可能です。当院は名古屋市営地下鉄鶴舞線「原駅」から徒歩2分とアクセスも便利で、提携駐車場も完備しておりますので、お車でもご来院いただけます。名古屋市天白区にお住まいの方は、ぜひ当院へご相談ください。予約方法や診療時間については、お電話またはホームページでご確認ください。

助成制度の対象者

名古屋市では高齢者肺炎球菌の定期予防接種の対象者に該当しない次の1から3までをすべて満たす方に独自の費用助成を行っています。

  1. 名古屋市に住民登録がある方
  2. 接種日において満66歳以上の方
  3. 過去にニューモバックス(23価)高齢者肺炎球菌予防接種を受けたことがない方

接種回数

1回

(注)過去にニューモバックス(23価)高齢者肺炎球菌予防接種を受けたことがある方はこの制度の対象となりません。

自己負担金(医療機関で支払う金額)

4,000円

自己負担金の免除制度について

生活保護世帯に属する方、市民税非課税世帯に属する方、または中国残留邦人等に対する支援給付の受給者の方のいずれかに該当する方は自己負担金の免除制度があります。

詳しくは以下のページをご覧ください。

副反応と注意点

肺炎球菌ワクチンは安全なワクチンですが、まれに副反応が起こることがあります。主な副反応としては、注射部位の痛みや腫れ、発熱などが挙げられます。これらの副反応は通常数日以内に治まります。ただし、気になる症状が続く場合は医師に相談しましょう。過去に肺炎球菌ワクチンで重いアレルギー反応が出たことがある方は、接種を受けることができません。持病のある方や妊娠中の方は、医師に相談してから接種するようにしてください。

肺炎の予防と治療

肺炎は、肺に炎症が起こり、呼吸機能が低下する病気です。誰しもが罹患する可能性がありますが、特に小さなお子さんやお年寄りの方、あるいは持病をお持ちの方は重症化しやすい傾向があります。肺炎は早期発見・早期治療が重要です。この章では、肺炎の予防策と治療法について、天白橋内科内視鏡クリニック院長の立場から、現場の知見を交えながら詳しく解説します。

家庭でできる肺炎の予防対策

肺炎は、細菌やウイルスといった病原体が肺に侵入することで発症します。そのため、家庭では、これらの病原体の侵入を防ぐ対策が重要になります。地域獲得肺炎の予防には、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種が有効です。

手洗い・うがいは、最も基本的な予防策です。外出から戻った時や食事の前、トイレの後など、こまめに行うことで、手に付着した病原体の体内への侵入を防ぎます。流水と石鹸で丁寧に洗い、うがい薬や水でしっかりとうがいをしましょう。

規則正しい生活習慣も、肺炎予防に繋がります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、免疫力を高め、病原体への抵抗力を強化します。睡眠不足や偏った食事、運動不足は免疫力を低下させ、肺炎を含む様々な感染症のリスクを高めますので、毎日の生活習慣を見直してみましょう。

室内の湿度管理も大切です。乾燥した空気は、喉の粘膜を乾燥させ、病原体が侵入しやすくなります。冬場は特に乾燥しやすいので、加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、適切な湿度を保ちましょう。50~60%程度の湿度が理想的です。

禁煙も、肺炎予防には欠かせません。タバコは、肺の機能を低下させ、病原体への抵抗力を弱めます。また、受動喫煙も同様に健康に悪影響を与えるため、周囲への配慮も必要です。

私が診察した患者さんの中には、風邪をこじらせて肺炎になったケースや、インフルエンザに感染した後に肺炎を発症したケースも少なくありません。風邪やインフルエンザを軽視せず、しっかりと治すことが肺炎予防に繋がります。

肺炎の治療法(抗菌薬、酸素吸入など)

肺炎の治療は、原因となる病原体や重症度によって異なります。細菌性肺炎の場合、抗菌薬が第一選択となります。原因菌に合わせた適切な抗菌薬を、医師の指示通りに服用することが重要です。自己判断で服用を中断すると、肺炎が再発したり、薬剤耐性菌が出現する可能性があります。

ウイルス性肺炎の場合、抗ウイルス薬が使用されることもありますが、多くの場合は対症療法が中心となります。解熱剤や鎮咳薬などで症状を緩和し、安静にして自然治癒を待ちます。十分な水分補給も重要です。

重症化した肺炎では、入院が必要となるケースもあります。呼吸困難が強い場合は、酸素吸入や人工呼吸器管理が行われます。また、脱水症状や栄養状態の悪化が見られる場合は、点滴による輸液が行われます。

肺炎の治療期間は、症状の重さや年齢、基礎疾患の有無などによって異なりますが、一般的には1~2週間程度です。高齢者や基礎疾患のある方は、回復に時間がかかることもあります。

他の呼吸器疾患との違い(風邪、インフルエンザなど)

肺炎は、風邪やインフルエンザと初期症状が似ているため、自己判断で安易に考えてしまいがちです。しかし、肺炎はこれらの疾患よりも重症化しやすく、適切な治療を受けなければ命に関わることもあります。

風邪は、くしゃみや鼻水、喉の痛み、咳などの症状が特徴で、通常は数日で自然に治まります。インフルエンザは、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状に加え、咳や鼻水などの症状も現れます。

一方、肺炎は、高熱が長く続き、咳や痰、息苦しさなどの呼吸器症状が顕著です。胸の痛みを伴う場合もあります。高齢者の方では、これらの典型的な症状が出ない場合もあり、食欲不振や倦怠感といった非特異的な症状のみで発症することもあります。

風邪やインフルエンザかな?と思っても、症状が改善しない場合や、息苦しさを感じる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。特に、高齢者や基礎疾患のある方は、肺炎を重症化させやすいので注意が必要です。

まとめ

肺炎は、肺の炎症で、咳、高熱、息苦しさ等の症状が現れます。風邪と似ていますが、症状が強く長引くのが特徴です。肺炎球菌やインフルエンザウイルスなど様々な病原体が原因で、高齢者や基礎疾患のある方は重症化しやすいので注意が必要です。

肺炎の予防には、手洗い・うがい、規則正しい生活習慣、適切な湿度管理、禁煙が有効です。また、肺炎球菌ワクチン接種も効果的です。

治療は原因や重症度により異なり、抗菌薬や抗ウイルス薬、酸素吸入などを行います。早期発見・早期治療が重要なので、少しでも異変を感じたら医療機関を受診しましょう。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


 

令和6年11月9日 

天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

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参考文献

  • Rothberg MB. Community-Acquired Pneumonia. Annals of internal medicine 175, no. 4 (2022): ITC49-ITC64.

追加情報

[title]: Community-Acquired Pneumonia.,

[summary]: ## 【タイトル】 地域獲得肺炎

【要約】

  • 地域獲得肺炎は、罹患率と死亡率の高い重要な疾患です。
  • 細菌、ウイルス、または真菌が原因となる可能性があります。
  • 肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、COVID-19ワクチンによる予防が可能です。
  • 診断には、レントゲンで浸潤影が認められることに加え、症状の聴取と身体診察が必要です。
  • 検査結果は治療方針を決定する上で役立ちます。
  • 治療の重要なポイントは、適切な施設の選択、適切な抗生物質または抗ウイルス薬の迅速な投与、適切な呼吸管理、培養結果が陰性になったら治療の縮小、経口療法への切り替え、治療期間の短縮などです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35404672,

[quote_source]: and Rothberg MB. “Community-Acquired Pneumonia.” Annals of internal medicine 175, no. 4 (2022): ITC49-ITC64.